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『スキル【神器作成】を獲得しました』


翌日、異世界の屋敷で俺は新しいスキルを手に入れた。


『神器作成:特定の素材を依代に、魔力で神器を作成することができる。作られる神器は、変換前の素材、術者の魔力によって影響を受ける』


「付与魔法の上位互換のスキルだな……」


俺はそう呟くと、早速新しいスキルを試してみることにした。


「素材は武器庫の武器を使おう。あそこなら協力な武器が沢山あるからな」


俺は早速武器庫へ向かった。そこで目に付いた大剣を一本手に取り、魔力を流し込む。すると大剣が淡い光を放ち始めた。俺はさらに魔力を注ぎ込んでみる。


「くっ……! 結構魔力を使うな……」


俺は額に汗を滲ませながら呟いた。魔力を流していくにつれて、刀身の光が強まっていく……そして最終的に虹色の輝きを放つようになった。


「よし! 成功だ!」


俺はガッツポーズをする。そして神器作成スキルでさらに魔力を注ぎ込んだ。すると大剣は輝きを増し、やがて完全に消滅する。代わりに俺の手には虹色に輝く剣が握られていた。


「これが神器……『魔剣ルシフェル』……」


俺はその美しさに見惚れていた。剣から放たれる虹色の輝きは、見ているだけで心が安らぐような不思議な感覚を与えてくれる。


「さっそく使ってみるか……」


外に出て、魔物を探す。すると全長10メートルを超える巨大なゴーレムが現れた。俺は魔剣ルシフェルを構えると、一気に距離を詰める。そしてすれ違いざまに斬り付けた。


「はあっ!」


気合いの声と共に放たれた一撃は、ゴーレムの巨体を真っ二つにする。ゴーレムはそのまま崩れ落ちると、跡形もなく消滅してしまった……。


(凄い威力だな……)


俺は改めて剣の威力に驚く。しかしまだ試し斬りが足りていないような気がしたので、今度は森の中に入っていった。しばらく進むと、体長50メートルを超える大蛇の魔物が姿を現す。


「あれにするか……」


俺は大蛇に向かって剣を構えた。そして一気に距離を詰めると、すれ違いざまに斬り付ける。


「せやっ!」


再び気合の声と共に放たれた一撃は、大蛇の胴体を真っ二つにした。だがそれだけではない。森の木々も次々と切り倒され、地面も大きく抉れていく。


(す、凄い威力だ……)


俺は改めて魔剣の威力に驚愕していた。


「そろそろ街へ戻るか……」


俺は森の外へ出ると、そのまま街へ向かって歩き出した。帰り道でも何度か魔物に襲われたが、そのたびにルシフェルで撃退していく。するとやがて街の門が見えてきた。門番は俺の顔を見ると、笑顔で迎えてくれる。


「おお! 勇者様!」


「どうも……」


俺は苦笑いを浮かべながら会釈をする。その後、魔剣ルシフェルを鑑定してもらった。その結果、この剣の等級が伝説級を超える神器であることが確定した。


「まさか神器を作られるとは……」


鑑定士は目を丸くして俺を見つめていた。そして小声で囁くように話しかけてくる。


「10億ゴールドで買い取ります」


「うちは20億ゴールド出します」


「30億」


「40億!」


商人たちが値段を吊り上げ始めた。俺は慌てて止めるように言う。


「い、いえ……売りませんよ! これは大切なものですから……」


「そ、そうですか……残念ですが仕方ありませんな……」


商人たちは渋々引き下がった。俺はホッと胸を撫で下ろす。


「代わりに珍しい素材を仕入れたら、優先的にうちに売ってください。勇者様の装備を作るためなら、いくらでも援助しますから」


「ええ、その時はお願いします」


屋敷に戻ると、エルフリーデが出迎えてくれる。


「お帰りなさいませ!」


「ただいま」


俺は微笑みながら言うと、早速神器を彼女に見せた。


「これを見てくれ! ついに新しい力を手に入れたんだ!」


俺が興奮気味に話すと、彼女は目を輝かせながら駆け寄ってくる。そして俺の手に持つ魔剣を見つめた。


「こ、これは……!?」


「ああ……神器の『魔剣ルシフェル』だ」


「凄いです! さすがご主人様です!」


エルフリーデは感動した様子で声を上げる。そんな彼女に俺は言った。


「この武器ならどんな相手でも倒せると思う」


「そうですね! もうご主人様を止める存在はいないと思います!」


「ああ、そうだな……」


俺は頷く。しかしエルフリーデは少し寂しげな表情を浮かべた。


「でも……少しだけ寂しいです」


「えっ?」


意外な言葉に俺は驚く。彼女は微笑みながら言葉を続けた。


「ご主人様が遠くに行ってしまうような気がして……このままお別れになってしまうんじゃないかと思ってしまって……」


エルフリーデは不安そうな表情を浮かべる。そんな彼女の頭を優しく撫でながら言った。


「大丈夫さ。俺はずっとここにいるよ」


「本当ですか……?」


上目遣いで見上げてくる彼女に、俺は笑顔で頷く。


「もちろん。だから安心してくれ」


「良かったです……!」


エルフリーデは心の底から嬉しそうな表情を浮かべた。その笑顔を見ていると、こちらまで幸せな気分になる……。


(この笑顔を守りたい……)


改めてそう思った瞬間だった。
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