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文化祭から数週間後、私たちは隣国のアルカディア王国に旅立ちました。今回の目的は、王国最大の歌劇団のオーディションを受けることです。


道中は馬車での長旅になりましたが、私たちは新しい経験と興奮に満ち溢れていました。


「クロエちゃん、本当に楽しみだわ! 私たちの劇がどこまで通用するか……早く試してみたいわ」


お姉様の言葉に私も大きく頷きました。「はい! きっと良い結果が出ると思います!」


そしてついに目的地に到着しました。王都の街並みは美しく、まるでおとぎ話の世界に迷い込んだかのようでした。


「すごい……まるで夢の中にいるみたい……」


私たちは思わず息を呑みました。しかし、すぐにオーディション会場へ向かわなければなりませんでした。

オーディション会場は広く豪華なホールで行われていました。多くの劇団員が緊張の面持ちで待っており、私たち姉妹もその中に加わりました。


「さあ、いよいよね」とお姉様が言いました。


私は深呼吸をして心を落ち着けながら答えました。「はい、お姉様! 私たちの劇を精一杯演じましょう!」


オーディションが始まりました。審査員たちは私たちに注目し、その実力を測ろうとしています。


「それでは、一人ずつ順番に台詞を言ってください」という声が聞こえました。


お姉様が最初に立ち上がり、緊張した面持ちで口を開きました。「はい……私は女王様のために働く召使いの一人です……」

彼女の演技は素晴らしく、観客から大きな拍手を受けました。私も後に続き、自分の役になりきって台詞を発しました。

劇のシーンが進んでいくにつれて緊張も高まりましたが、私たちは必死に役を演じ切りました。そしてついにクライマックスを迎えます。


「さあ、私のために働きなさい!」とお姉様が叫び、私はそれに呼応して台詞を口にします。


「はい! 女王様のために働きましょう!」


そして劇はフィナーレを迎えます。私たちは全力で演じ切り、観客からは大きな拍手が起こりました。


「審査が終わるまでこちらでお待ち下さい」と審査員から声をかけられ、私たちは一旦控室に戻りました。


「クロエちゃん、素晴らしい演技だったわ!」とお姉様が言いました。「あのクライマックスの場面……本当に感動したわ」


私も感激のあまり涙が溢れそうでした。「ありがとうございます、お姉様! お姉様のおかげで私も役になりきることができました」


しばらくすると、審査員が再び現れました。「お待たせいたしました」と言いながら、一人ずつ結果を説明してくれました。


私たち姉妹は緊張しながらも耳を傾けました。そしてついに私たちの番がやってきました。


「お二方とも大変素晴らしかったです。特にあなたの演技には感動しました……」と審査員の一人が言いました。


その言葉に私は胸が高鳴りました。しかし、次の一言に私たちは凍りつきました。


「ですが……残念ながら今回はご期待に添えませんでした」


私たちは言葉を失い、呆然と立ち尽くしました。


「そんな……」お姉様が震えながら呟きました。


私は悔しさのあまり胸が張り裂けそうになり、涙が頬を伝いました。


審査員たちは申し訳なさそうに頭を下げながら言いました。「お二方には大変申し訳ありませんが、今回のオーディションはご期待に添えない結果となりました。ただ、お二方には才能がございますので、今後もぜひ研鑽を積んでいってください」


私たちは失意のうちにその場を後にしました。馬車の中でお姉様はずっと涙ぐんでおり、私も泣きたい気持ちでいっぱいでした。


「クロエちゃん……ごめんね……私がもっと上手だったら……」


私はお姉様を抱きしめながら言いました。


「いいえ、お姉様のせいじゃありません! 私たちには実力が足りなかっただけです」


審査員たちは私たちの演技を高く評価し、次回のチャンスを与えてくれましたが、私たち姉妹は心に大きな傷を負ってしまいました。

私たちはしばらく無言のまま家に帰りましたが、その夜はなかなか寝付けませんでした。


「クロエちゃん……」とお姉様が呟きました。「はい」と答える声が震えます。


「私……本当に悔しくて……」とお姉様は涙を流し始めました。私もつられて泣き出してしまいました。


二人は抱き合いながら泣き続けました。しかし涙は止まることなく流れ続けます。


「クロエちゃん……あなたは本当にすごいわ」とお姉様が言いました。


私は戸惑いながらも、お姉様の言葉を受け止めました。「そんな……私なんてまだまだ……」と言いかけると、彼女は首を振りながら言いました。


「いいえ、あなたは特別な才能を持っているのよ。その才能は誰にも真似できないものだと思うの。だから自信を持っていいのよ」


その言葉に私の心は少し軽くなりました。確かに私には他の誰にもない能力があるのかもしれない……そう思えたのです。


「お姉様、ありがとうございます。これからも一緒に頑張りましょう」と私は言いました。


お姉様は涙を拭いながら微笑みました。そして私たちは再び抱き合って泣き続けました。
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