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影狼騒動から数日後、私たちは冒険者ギルドで依頼をこなす日々を送っていました。
「このクエストなんかどうだ?」
カイトさんが一枚の依頼書を見せます。『新しく発見されたダンジョンの探索』という見出しです。
「面白そうですね!」リディアさんが目を輝かせます。
私は少し心配でしたが、この数日間でリディアさんの冒険者としての実力はかなり上がっていましたし、何よりカイトさんが言うのですから間違いありませんでしょう。私たちはその依頼を受けることを決めました。
ダンジョンはアーガスから少し離れた場所にある小さな山の中にありました。「この山の中に、本当にダンジョンがあるんですか?」と私は尋ねます。
「ああ、間違いないみたいだよ」
カイトさんはダンジョンの入り口らしき場所を指差しながら、説明を続けました。
「この辺りは昔から鉱山があった場所なんだが、最近になって深い場所で何か遺跡のようなものが見つかったらしい。そこで冒険者に探索を依頼することになったというわけだ」
「へぇ、遺跡ですか」リディアさんが興味深そうに覗き込みます。
入り口は確かに人工的に掘られた鉱山のようでしたが、奥に進むにつれて壁の様子が変わってきました。荒く削られた岩肌から、きれいに加工された石壁へと変化していったのです。
「これは……本物のダンジョンですね」私は思わず呟きました。
「気を引き締めていこう。新発見のダンジョンは何が出てくるかわからないからな」
カイトさんの言葉に、私たちは頷きます。ランタンの明かりを頼りに、私たちは静かに前進していきました。
突然、廊下の向こうで何かが光ったような気がします。
「あれは……」リディアさんが声を潜めます。
壁に埋め込まれた何かが、私たちのランタンの光を反射していました。近づいてみると、それは見たことのない文字で書かれた銘板のようなものでした。
「古代文字……?これは調査価値がありそうだな」カイトさんが真剣な表情で観察します。
しかし、その時です。私たちの背後から、かすかな物音が聞こえてきました……
「今の音、聞こえましたか?」私は小声で二人に尋ねます。
「うん」リディアさんが頷きました。「誰かいるみたい」
私たちは武器を構えながら、ゆっくりと音のする方に近づきました。するとそこには、大きな扉がありました。どうやらこの奥に誰かがいるようです。カイトさんが慎重に扉を開けようとしましたが……鍵がかかっています。仕方なく、私たちは周囲を探索することにしました。
しばらく歩くと分かれ道に差し掛かりましたが、どちらに進むべきかわかりませんでした。その時、再び背後から物音が聞こえてきました。
「またあの音だ……!」リディアさんが緊張した表情で言います。私たちは武器を構えて身構えました。
すると今度は、何かが軋むような音がしました……まるで足音のように聞こえます。
「まさか……」カイトさんが呟きました。
次の瞬間、私たちの前に現れたのは、巨大なゴーレムでした! 体高は10メートル以上はあるでしょうか?手には巨大なハンマーを持っています。その目は赤く光り輝いていて、明らかに敵意を持っているようでした。
「こいつはまずいな……」とカイトさんが呟きます。
私はすぐに呪文を唱え始めました。しかし、ゴーレムは私たちに向かって突進してきます!
「危ない!」リディアさんが私を突き飛ばしました。次の瞬間、彼女の体は壁に叩きつけられてしまいました。
「リディアさん!!」と私は叫びます。彼女はぐったりとしています。どうやら意識を失っているようです……
「くそっ……!」とカイトさんが悔しそうに言います。
彼は剣を構えてゴーレムと対峙しますが、明らかに劣勢です。このままでは二人ともやられてしまうかもしれません……。
「どうすれば……」私は必死に考えますが、頭が混乱して何も思いつきません。
その時です! 突然、ゴーレムの背後から人影が飛び出してきました。それは黒いローブに身を包んだ人物でした。手には杖を持ち、フードの奥から鋭い眼光が光っています。
「あれは……誰だ?」カイトさんが困惑しながら尋ねます。
しかし、その答えはすぐにわかりました。その人物は杖を高く掲げると、不思議な言葉を唱え始めました。その瞬間、杖の先から激しい光が放たれ、ゴーレムの体を覆い尽くしました。
「すごい……」カイトさんが感嘆の声を漏らします。
光が収まると、ゴーレムは動きを止めて地面に倒れ込みました。どうやら気絶しているようです。
私は急いでリディアさんの元へ駆け寄り、治癒呪文で傷を癒しました。幸いにも命に別状はないようでした……。
「ありがとうございます」と私はその人物に感謝の言葉を述べました。
「礼には及ばない」とその人物は言いました。その声は冷たく、どこか不気味さを感じました。
「あなたは一体……?」と私は恐る恐る尋ねます。
「私は光の使徒……」その人物は答えると、静かに闇の中へと消えていきました。
私はリディアさんを支えながら、呆然とその後ろ姿を見つめることしかできませんでした……。
「このクエストなんかどうだ?」
カイトさんが一枚の依頼書を見せます。『新しく発見されたダンジョンの探索』という見出しです。
「面白そうですね!」リディアさんが目を輝かせます。
私は少し心配でしたが、この数日間でリディアさんの冒険者としての実力はかなり上がっていましたし、何よりカイトさんが言うのですから間違いありませんでしょう。私たちはその依頼を受けることを決めました。
ダンジョンはアーガスから少し離れた場所にある小さな山の中にありました。「この山の中に、本当にダンジョンがあるんですか?」と私は尋ねます。
「ああ、間違いないみたいだよ」
カイトさんはダンジョンの入り口らしき場所を指差しながら、説明を続けました。
「この辺りは昔から鉱山があった場所なんだが、最近になって深い場所で何か遺跡のようなものが見つかったらしい。そこで冒険者に探索を依頼することになったというわけだ」
「へぇ、遺跡ですか」リディアさんが興味深そうに覗き込みます。
入り口は確かに人工的に掘られた鉱山のようでしたが、奥に進むにつれて壁の様子が変わってきました。荒く削られた岩肌から、きれいに加工された石壁へと変化していったのです。
「これは……本物のダンジョンですね」私は思わず呟きました。
「気を引き締めていこう。新発見のダンジョンは何が出てくるかわからないからな」
カイトさんの言葉に、私たちは頷きます。ランタンの明かりを頼りに、私たちは静かに前進していきました。
突然、廊下の向こうで何かが光ったような気がします。
「あれは……」リディアさんが声を潜めます。
壁に埋め込まれた何かが、私たちのランタンの光を反射していました。近づいてみると、それは見たことのない文字で書かれた銘板のようなものでした。
「古代文字……?これは調査価値がありそうだな」カイトさんが真剣な表情で観察します。
しかし、その時です。私たちの背後から、かすかな物音が聞こえてきました……
「今の音、聞こえましたか?」私は小声で二人に尋ねます。
「うん」リディアさんが頷きました。「誰かいるみたい」
私たちは武器を構えながら、ゆっくりと音のする方に近づきました。するとそこには、大きな扉がありました。どうやらこの奥に誰かがいるようです。カイトさんが慎重に扉を開けようとしましたが……鍵がかかっています。仕方なく、私たちは周囲を探索することにしました。
しばらく歩くと分かれ道に差し掛かりましたが、どちらに進むべきかわかりませんでした。その時、再び背後から物音が聞こえてきました。
「またあの音だ……!」リディアさんが緊張した表情で言います。私たちは武器を構えて身構えました。
すると今度は、何かが軋むような音がしました……まるで足音のように聞こえます。
「まさか……」カイトさんが呟きました。
次の瞬間、私たちの前に現れたのは、巨大なゴーレムでした! 体高は10メートル以上はあるでしょうか?手には巨大なハンマーを持っています。その目は赤く光り輝いていて、明らかに敵意を持っているようでした。
「こいつはまずいな……」とカイトさんが呟きます。
私はすぐに呪文を唱え始めました。しかし、ゴーレムは私たちに向かって突進してきます!
「危ない!」リディアさんが私を突き飛ばしました。次の瞬間、彼女の体は壁に叩きつけられてしまいました。
「リディアさん!!」と私は叫びます。彼女はぐったりとしています。どうやら意識を失っているようです……
「くそっ……!」とカイトさんが悔しそうに言います。
彼は剣を構えてゴーレムと対峙しますが、明らかに劣勢です。このままでは二人ともやられてしまうかもしれません……。
「どうすれば……」私は必死に考えますが、頭が混乱して何も思いつきません。
その時です! 突然、ゴーレムの背後から人影が飛び出してきました。それは黒いローブに身を包んだ人物でした。手には杖を持ち、フードの奥から鋭い眼光が光っています。
「あれは……誰だ?」カイトさんが困惑しながら尋ねます。
しかし、その答えはすぐにわかりました。その人物は杖を高く掲げると、不思議な言葉を唱え始めました。その瞬間、杖の先から激しい光が放たれ、ゴーレムの体を覆い尽くしました。
「すごい……」カイトさんが感嘆の声を漏らします。
光が収まると、ゴーレムは動きを止めて地面に倒れ込みました。どうやら気絶しているようです。
私は急いでリディアさんの元へ駆け寄り、治癒呪文で傷を癒しました。幸いにも命に別状はないようでした……。
「ありがとうございます」と私はその人物に感謝の言葉を述べました。
「礼には及ばない」とその人物は言いました。その声は冷たく、どこか不気味さを感じました。
「あなたは一体……?」と私は恐る恐る尋ねます。
「私は光の使徒……」その人物は答えると、静かに闇の中へと消えていきました。
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