最弱テイマーの成り上がり～役立たずテイマーは実は神獣を従える【神獣使い】でした。今更戻ってこいと言われてももう遅い～

19

ある日のこと。冒険者ギルドにて依頼を受けていると、エミリアさんがやってくる。

「お弁当を届けに来ました」

「ありがとうございます！」

屋敷にエミリアさんが住むようになってから、家事全般をやってくれている。

「よぉ！ エミリアちゃん！ この間は怪我の治療、ありがとね！」

「いえいえ！ 無事に治ったなら良かったです！」

冒険者たちがエミリアさんに声をかけてくる。

「人気者ですね」

「俺たちが冒険に行っている間、困っている人を回復魔法で救ってくれているからな！」

アイリス姫も感心したように彼女を見る。

「ようやく見つけたぞ！」

突然、大きな声が聞こえた。声のする方向を見ると、そこには軍服を着た貴族のような男が立っていた。

「……何をしにきたのですか？」

「お前が急に必要になった。だから迎えに来た」

「帰らないわ……私はもうあなたとは無関係なの」

男は顔を真っ赤にすると、エミリアさんの頬を叩いた！ パシッと大きな音が鳴る……エミリアさんの顔には赤い手形がついてしまった。

「俺が命令したんだ！さっさとついてこい！！」

俺は怒りに震えた……エミリアさんが嫌がっているのに無理やり連れていこうとするなんて……！

エミリアさんは顔を手で押さえながら、男に向かって立ち上がりました。彼女の目には怒りと決意が宿っていました。

「私はもうあなたの所有物じゃありません。あなたの命令に従う義務はありません」

男はエミリアさんの言葉に怒りっぽく笑いながら、再び手を振り上げようとしましたが、そこに立ちはだかるように俺が飛び込みました。

「それ以上やるなら、覚悟しろ」

俺は冷静な口調で男に言い放ち、エミリアさんの身を守るために立ちはだかりました。

「お前、一体何者だ？」

「俺は彼女の仲間だ。お前が彼女に迷惑をかけるつもりなら、それを俺に通すことはできない」

エミリアさんは驚きと感謝の表情を浮かべ、困惑する男に向かって言葉を投げかけました。

「もう一度言います。私はここに留まります。あなたとの関係は終わりです」

男は激しい怒りを抱えながらも、冷静なエミリアさんと立ちはだかる俺の前で、何もできずに立ち尽くしていました。

その時、アイリス姫が静かに近づいてきて、男に対して言葉を投げかけました。

「ここは冒険者ギルドの管轄下です。私たちは法と秩序を守ります。あなたのやり方は許されません」

「邪魔だ……どけ！！」

男が殴りかかってくるが、俺はその手を掴んで、逆に殴り返す。

「ぐえっ！？」

男は吹き飛び、床に倒れる。俺は男の胸ぐらを掴むと、そのまま持ち上げた。

「二度と彼女に近づくな！！」

男は慌てて逃げようとするが、俺は逃さない！ そのまま壁まで引きずって行き、投げ飛ばした！ドガッという音と共に男は倒れた……

「……覚えておけよ。必ず貴様ら全員、打ち首にしてやるからな……！」

捨て台詞を残して男は去っていった……

「エミリアさん大丈夫ですか？」

「うん、ありがとう！」

彼女は笑顔を浮かべると、俺に抱き着いてきた。俺たちはお互いの無事を確かめ合うように抱擁を交わすのだった……