最弱テイマーの成り上がり～役立たずテイマーは実は神獣を従える【神獣使い】でした。今更戻ってこいと言われてももう遅い～

18

数日後。俺たちは無事に神殿に到着した。門の前で見張りをしている神官に話しかける。

「すみません、大神官様とお話しさせて頂きたいのですが？」

しかし彼は首を横に振った。そして言う。

「申し訳ございませんが、そのような方はおりません」

「……え？ ですがこの神殿を管理しているのは大神官様ではないのですか！？」

アイリス姫は驚きの声を上げる。その言葉にも彼は無反応だった。

「それでは失礼します」

俺たちはその場を去った。

（どういうことだ？）

俺は疑問に思いながら神殿内に入る。中では数人の神官が働いていたが、俺たちに気づくと睨みつけてきた……まるで敵意を抱いているような様子だ。

（嫌な予感がするな……）

そう思った時だった……突然、爆発音が響いた！

「きゃああ！！」

アイリス姫の悲鳴が聞こえる！振り返ると建物の一部から煙が上がっているのが見えた！

「姫様！？」

慌てて駆け寄ると、そこには傷つき倒れたアイリス姫の姿があった！

「姫様、しっかりしてください！！」

俺は呼びかけるが返事はない……彼女は気を失っているようだ。すると後ろから笑い声が聞こえた！振り返るとそこには一人の男が立っていた……見覚えのある顔だった。

「貴様は！」

「よぉ、また会ったな！」

その男は先日、村で会った邪教徒のリーダーだった！

「この神殿は我々【大神官様】と我々が乗っ取ったのだ！ だから大神官様以外誰もいないんだよ！！」

男が叫ぶと同時に、他の邪教徒たちが姿を現した……ざっと20人くらいだろうか？全員武装しており、その目は狂気に染まっているように見えた……。セレナさんがアイリス姫を守るように立ち塞がる。そして静かに口を開いた……その瞳には怒りの炎が燃えていた。

「あなたたち……覚悟はできているのでしょうね？」

セレナさんの全身から殺気が放たれる……邪教徒たちは一瞬怯んだが、すぐに武器を構えた。そして俺たちに向かって襲いかかってきた！

「姫様を守るんだ！」

俺は叫んだ！ すると後ろから援護射撃が飛んでくる！ミレーヌさんの魔法だ。彼女は杖を振るいながら叫んだ。

「あなたたちは私が守ってあげるわ！」

「私も忘れないでね～！」

アイリス姫を治癒しているエミリアさんも元気よく言った……彼女の手に光が宿る！ 次の瞬間、治癒の光がアイリス姫を包み込んだ。傷が癒えたようだ……良かった……！ 俺がホッとしていると邪教徒たちが襲いかかってくるのが見えたので、慌てて剣を振るった。

「うおおおおっ！！」

俺の剣技は見事に命中し、邪教徒の一人を倒した！しかしすぐに他の敵が襲ってくる！ 俺はなんとか敵の攻撃を避けつつ反撃する。しかし数が多くて対処しきれない……このままではやられる！ そう思った時、セレナさんが杖を掲げながら叫んだ。

「みなさん伏せてください！」

俺たちは咄嵯に床に伏せると、セレナさんの魔法が発動する……！ 眩い光が辺り一面に広がった！！ それは強力な浄化の光だった。邪教徒たちは光を受けると次々に倒れ伏した！

「やったか……？」

俺は立ち上がりながら呟く。だがセレナさんは険しい表情で言った。

「いえ、まだです……！」

見ると邪教徒たちは身体を起こして立ち上がっていた……その目は狂気に満ちている……！ 邪教徒たちは俺たちに向かって襲いかかってきた！

「くそっ……どうすれば！」

俺は焦る気持ちを抑えつつ、剣を構えた。するとアイリス姫が目を覚まし立ち上がると言った。

「カイトさん！私に任せてください！」

彼女は杖を構えると、呪文の詠唱を始めた。

「我、光の神子なり！浄化の炎よ、今ここに顕現せよ！」

アイリス姫が叫んだ瞬間、彼女の杖の先から巨大な炎が出現した！ それはまるで燃え盛る火の玉のようでもあった。その炎は一直線に飛び散り邪教徒たちを襲うとあっという間に包み込んだ！！

「ぐわああああ！！」

断末魔の声を上げながら邪教徒たちは消滅していく……やがて全員が消え去った時、そこには何も残っていなかった。俺は呆然とその光景を見つめていた。

「終わった……？」

俺が呟くとアイリス姫は笑顔を浮かべると言った。

「ええ、終わりました！ 皆さんのおかげですよ！」

「いえいえ……姫様のお力添えがあってこそです」

セレナさんが謙遜するように言うと、アイリス姫は嬉しそうに笑った。俺は思わず呟いた。

「やっぱりアイリス様は凄いですね……」

その言葉に彼女は少し照れたように頰を染めると、得意げに胸を張るのだった……