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数日後、俺たちが冒険者ギルドに向かうと、フードを被った一人の女性がやってくる。


「あなたがカイトね?」


「そうですが」


「お願い! 力を貸して!」


いきなり頭を下げる女性。話を聞くと、彼女はルシアといって、彼女の親友が毒にやられ、数日の命だという。


「治せるのは不死鳥の炎だけなの、不死鳥を扱えるのは【神獣使い】のあなただけと聞いたわ!」


「助けてやりたいけど、不死鳥は仲間にいないんだ」


「そんな……」


『ならば召喚すればよい。我の魔力を媒体に召喚し、契約させれば不死鳥を従えることが可能だ』


シロが提案する。たしかにそれが一番早い方法だろう。


「分かった」


俺はシロに魔力を注ぎ込み、召喚を行った。すると魔法陣が出現し、中から真紅の炎に包まれた鳥が現れる。それはまぎれもない不死鳥(フェニックス)だった。


「綺麗……」


セレナさんが見惚れている。確かに美しい姿だ。だが同時に恐ろしさも感じる。なぜならその赤い瞳からは強い意志を感じるからだ。


『わらわを呼び出したのはお前か?』 


不死鳥は俺を品定めするかのように見やる。


『ふむ、なかなかいい魔力を持っているな。気に入ったぞ』


「力を貸してくれるか?」


『いいだろう、契約成立だ』


こうして不死鳥を仲間に加えた俺たちは、早速ルシアの案内で森に向かうことになった。


「そろそろ到着します」


森を抜けると、そこは美しい湖があった。


「あれが私の親友です」


ルシアが指さしたのは角の生えた白い馬であった。あれはユニコーンだ。


「ユニコーンと友人だなんて、あなた何者なの……?」


「それよりも毒が全身を蝕んでいる。早く直さないと手遅れになる」


俺はユニコーンの傷口に手を置くと、不死鳥の力を借りて治癒の炎を発生させる。


「治癒の炎(ヒーリング・フォイアー)」


不死鳥の炎は傷を、そして体を蝕む毒を浄化していった。


『毒は消え去りました。感謝します』


すっかり元気になったユニコーンはお礼を言うように頭を下げてきた。


「ヴァイスを助けてくれて、本当にありがとう」


ルシアは目に涙を浮かべて喜んでいる。


「どうしてユニコーンと知り合ったの?」


「私、実はエルフなの」


フードを外すと、尖った耳が現れる。


「エルフであることが分かると迫害されるから隠していたんだけど、ヴァイスの命には代えられなかったわ」


それほど二人は強い絆で結ばれているのだろう。


『あなたと契約を結びましょう』


ヴァイスが俺の前で跪く。


「ありえない……プライドの高いユニコーンが人間に頭を下げるなんて……」


セレナさんを始めとする周囲の人たちは驚愕している。


「ねえ、カイト。お願いがあるの」


ルシアが何か言いたげに見つめてくる。


「何だ?」


「私をあなたの仲間に、入れてくれないかしら?」


「ルシアも……?」


「ええ、あなたと一緒に居ればきっと強くなれる気がするの。それに私もあなたの力になりたいわ」


「分かった。これからよろしくな、ルシア」


こうして新たな仲間が増えたのだった。
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