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ある日のこと、いつものように書類仕事をしていると、ドアがノックされる。
「失礼するのじゃ」
入ってきたのは魔王アンリエッタだ。
「何の用だ?」
「実は早急に解決して欲しい問題があるのじゃ」
「問題?」
「実は、我が領地は深刻な食糧不足に陥っておるのじゃ……」
「それならアーガス商会の援助があるはずだろ?」
「外からの仕入れは限界はあるのじゃ。自給自足できればいいのじゃが……」
「無理なのか?」
「うむ……わらわの土地では、作物が育つ場所が限られているのじゃ。土地がやせているせいでな……」
「それで俺にどうしてほしいんだ?」
「そなたの魔法でなんとかして欲しいのじゃ」
「できるかわからんぞ? まあ、やるだけやってみるが」
俺たちは魔王領へ転移すると、早速畑へと向かった。
「ここか……」
目の前に広がる光景に俺は言葉を失った……土地は荒れ果てていて作物はあまり育っていない。土の上に枯れた草が生えており、明らかに作物の育ちが悪かった。
『これは酷いっすね……』
フィーネも呆れているようだ。
「とにかくやってみるか……」
俺は畑に【土壌改良】の魔法をかけた。すると見る見るうちに土が肥沃な状態へと変化していく……そして作物も瑞々しさを取り戻していった。
『おお! すごいっす!』
「まだまだ、これからだ……」
俺はさらに【成長促進】の魔法をかけると、作物はあっという間に成長し実をつけた。その量は通常の数倍はあるだろう……
「これでどうだ?」
アンリエッタの方を見ると、彼女は目を輝かせていた。
「凄いのじゃ! これなら数年分は安泰じゃぞ!」
「遠慮せず持っていけ」
アンリエッタは魔法で実った作物を収穫し終えると、魔王城へと戻った。
「感謝するのじゃ! これで民たちも喜ぶことじゃろう……」
アンリエッタは嬉しそうに微笑んだ。
『アベルさん……本当に凄いっすね……』
フィーネが感心するように言った。しかしその時だった……突然地面が大きく揺れると、地響きと共に巨大な生物が現れたのだ……それは体長20mはあるだろう巨大なミミズのような魔物だ。
「あれは?」
『あいつはジャイアントワーム。毒をまき散らしながら地中を掘り進む迷惑な魔物っす!』
「こいつが畑を台無しにしているのか……」
ジャイアントワームは襲い掛かってくるが、デコピンで地平線の彼方まで吹き飛ばした。
『相変わらず規格外の強さっすね……』
「まだいるようだな……」
俺は地面に向けてパンチを繰り出すと、大地が大きく揺れ、その衝撃でジャイアントワームの大群が姿を現した。
「はあっ!」
再びジャイアントワームに向かってパンチを繰り出すと、風圧でジャイアントワームたちは吹き飛んだ。
『アベルさん、凄いっす!』
フィーネが興奮する。そしてその後もジャイアントワームたちを次々と倒していった。数分後、ようやく全てを倒し終えると、俺は魔王城に帰って行った……
「アベル殿! お待ちしておったぞ!」
アンリエッタは俺に抱き着いてくると嬉しそうに言った。彼女の豊満な胸が押し付けられる。俺は少し気恥ずかしかったがそれを悟られないように平静を装った。
「これで我が魔王領も安泰じゃ! さすがは我が夫じゃ!」
アンリエッタは満面の笑みで喜んでいた。
「これくらい大したことじゃないさ」
「謙遜するでない! そなたの力は本物じゃ! これからも活躍を期待しておるぞ!」
「ああ、任せておけ」
俺は自信に満ちた表情で答えた。そしてしばらく談笑した後、俺たちは魔王城を後にした。
「失礼するのじゃ」
入ってきたのは魔王アンリエッタだ。
「何の用だ?」
「実は早急に解決して欲しい問題があるのじゃ」
「問題?」
「実は、我が領地は深刻な食糧不足に陥っておるのじゃ……」
「それならアーガス商会の援助があるはずだろ?」
「外からの仕入れは限界はあるのじゃ。自給自足できればいいのじゃが……」
「無理なのか?」
「うむ……わらわの土地では、作物が育つ場所が限られているのじゃ。土地がやせているせいでな……」
「それで俺にどうしてほしいんだ?」
「そなたの魔法でなんとかして欲しいのじゃ」
「できるかわからんぞ? まあ、やるだけやってみるが」
俺たちは魔王領へ転移すると、早速畑へと向かった。
「ここか……」
目の前に広がる光景に俺は言葉を失った……土地は荒れ果てていて作物はあまり育っていない。土の上に枯れた草が生えており、明らかに作物の育ちが悪かった。
『これは酷いっすね……』
フィーネも呆れているようだ。
「とにかくやってみるか……」
俺は畑に【土壌改良】の魔法をかけた。すると見る見るうちに土が肥沃な状態へと変化していく……そして作物も瑞々しさを取り戻していった。
『おお! すごいっす!』
「まだまだ、これからだ……」
俺はさらに【成長促進】の魔法をかけると、作物はあっという間に成長し実をつけた。その量は通常の数倍はあるだろう……
「これでどうだ?」
アンリエッタの方を見ると、彼女は目を輝かせていた。
「凄いのじゃ! これなら数年分は安泰じゃぞ!」
「遠慮せず持っていけ」
アンリエッタは魔法で実った作物を収穫し終えると、魔王城へと戻った。
「感謝するのじゃ! これで民たちも喜ぶことじゃろう……」
アンリエッタは嬉しそうに微笑んだ。
『アベルさん……本当に凄いっすね……』
フィーネが感心するように言った。しかしその時だった……突然地面が大きく揺れると、地響きと共に巨大な生物が現れたのだ……それは体長20mはあるだろう巨大なミミズのような魔物だ。
「あれは?」
『あいつはジャイアントワーム。毒をまき散らしながら地中を掘り進む迷惑な魔物っす!』
「こいつが畑を台無しにしているのか……」
ジャイアントワームは襲い掛かってくるが、デコピンで地平線の彼方まで吹き飛ばした。
『相変わらず規格外の強さっすね……』
「まだいるようだな……」
俺は地面に向けてパンチを繰り出すと、大地が大きく揺れ、その衝撃でジャイアントワームの大群が姿を現した。
「はあっ!」
再びジャイアントワームに向かってパンチを繰り出すと、風圧でジャイアントワームたちは吹き飛んだ。
『アベルさん、凄いっす!』
フィーネが興奮する。そしてその後もジャイアントワームたちを次々と倒していった。数分後、ようやく全てを倒し終えると、俺は魔王城に帰って行った……
「アベル殿! お待ちしておったぞ!」
アンリエッタは俺に抱き着いてくると嬉しそうに言った。彼女の豊満な胸が押し付けられる。俺は少し気恥ずかしかったがそれを悟られないように平静を装った。
「これで我が魔王領も安泰じゃ! さすがは我が夫じゃ!」
アンリエッタは満面の笑みで喜んでいた。
「これくらい大したことじゃないさ」
「謙遜するでない! そなたの力は本物じゃ! これからも活躍を期待しておるぞ!」
「ああ、任せておけ」
俺は自信に満ちた表情で答えた。そしてしばらく談笑した後、俺たちは魔王城を後にした。
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