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ある日のこと、領主館の前に一台の馬車が止まる。
「久しぶりだな」
そこから降りてきたのは俺の兄であるルーファス・フォン・コーネリアだった。彼は俺を見つけると声をかけてくる。
「何の用だ? 家族の縁は切ったはずだが?」
「……そのことだが、父上がお前を連れ戻すように頼まれた」
「何だって?」
「父上がアーガスでのお前の活躍を耳にしてな、ぜひ戻ってきて欲しいそうだ」
なんという手のひら返しだ。俺が追放された時も全く心配しなかったくせに……
「嫌だと言ったら?」
「力ずくでも連れていくまでだ」
馬車から屈強な男たちが降りてくる。彼らは武器を持っていた。
「こいつらは騎士団の中でも精鋭中の精鋭だ。いくらお前でも勝てると思うなよ?」
「そいつはどうかな?」
俺は剣を抜くと構える。それを見た男たちは一斉に襲いかかってきた。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!」
まずは一人目の男が斬りかかってくる。しかしその動きは非常に遅かったので簡単に避けることができた。そのまま背後に回り、首に手刀を当て気絶させる。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!」
次に二人目が攻撃してきたがこれも躱せる程度だった。額を指で突くと、白目を剥いて気絶した。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!」
最後の男は斧を持っているようだが動きが非常に遅く隙だらけだったのでそのままカウンターで倒した。あっという間に三人を倒した俺を見てルーファスは驚いた表情を浮かべる。
「お前……強くなったな……」
「当たり前だ、昔の俺と一緒にするなよ?」
「……ならば俺と勝負しろ! 俺が勝ったら大人しく家に戻るんだ!」
「いいだろう……受けて立つ!」
こうして俺とルーファスの決闘が始まった。
「どっちが勝つと思う?」
「さあ? ルーファス様じゃないか?」
領主館の前で俺とルーファスは睨み合う。周りには野次馬が集まり、どっちが勝つか賭け事までしていた。
「勝つのはアベル様です!」
アリサがルーファスに言う。それを聞いたルーファスは余裕の笑みを浮かべた。
「ふん、なら賭けようじゃないか。俺が勝てばお前は俺の女になるのだ」
「いいでしょう!」
アリサはルーファスの提案に乗った。俺はため息をつくと、剣を構える。
「準備はいいか?」
「いつでも来い……」
「行くぞ!」
ルーファスはそう言って斬りかかってきた。その動きは非常に速く無駄がない。流石は騎士団長といったところか……
「だが甘いな……」
俺は彼の攻撃を避けつつ反撃する。そしてそのまま剣を振り抜いた。俺の一撃はルーファスに命中し、彼は地面に倒れ込む。
「ぐはっ……!」
「勝負あったな」
「う、うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!」
俺が勝利を宣言すると野次馬たちから歓声が上がる。どうやらみんなもこの結果に納得しているようだ。そんな中、ルーファスは悔しそうに歯を食いしばっていた。そんな彼を見て俺は言う。
「さあどうする? まだやるか?」
「……分かったよ……降参だ……」
ルーファスは悔しそうにしながらも、どこか満足そうな顔をしているように見えた。
「負けた以上、今日は大人しく引き下がろう。だが父上はどんなことをしてもお前を連れ戻すつもりだぞ?」
「あのクソ親父に伝えておいてくれ。俺を連れ戻したかったら、自分の足で来いってな!」
「……了解した」
そう言い残してルーファスは去って行った。
「アベルさん、かっこよかったですよ!」
「そうか?」
「はい! とても素敵でした……」
アリサは頬を赤らめながら言う。その様子はまるで恋する乙女のようだった。俺はそんな彼女の頭を優しく撫でると、そのまま領主館の中へと入っていった。
(やれやれ……これから面倒なことになりそうだな……)
俺は心の中でそう呟くのだった。俺が無能じゃないとわかった以上、父上はきっと俺を連れ戻そうとするはずだ。だが俺は戻るつもりはないし、何よりアリサを危険な目に遭わせるわけにはいかなかった。だから俺は彼女を守るために強くなることを決意したのだった。
「久しぶりだな」
そこから降りてきたのは俺の兄であるルーファス・フォン・コーネリアだった。彼は俺を見つけると声をかけてくる。
「何の用だ? 家族の縁は切ったはずだが?」
「……そのことだが、父上がお前を連れ戻すように頼まれた」
「何だって?」
「父上がアーガスでのお前の活躍を耳にしてな、ぜひ戻ってきて欲しいそうだ」
なんという手のひら返しだ。俺が追放された時も全く心配しなかったくせに……
「嫌だと言ったら?」
「力ずくでも連れていくまでだ」
馬車から屈強な男たちが降りてくる。彼らは武器を持っていた。
「こいつらは騎士団の中でも精鋭中の精鋭だ。いくらお前でも勝てると思うなよ?」
「そいつはどうかな?」
俺は剣を抜くと構える。それを見た男たちは一斉に襲いかかってきた。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!」
まずは一人目の男が斬りかかってくる。しかしその動きは非常に遅かったので簡単に避けることができた。そのまま背後に回り、首に手刀を当て気絶させる。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!」
次に二人目が攻撃してきたがこれも躱せる程度だった。額を指で突くと、白目を剥いて気絶した。
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!」
最後の男は斧を持っているようだが動きが非常に遅く隙だらけだったのでそのままカウンターで倒した。あっという間に三人を倒した俺を見てルーファスは驚いた表情を浮かべる。
「お前……強くなったな……」
「当たり前だ、昔の俺と一緒にするなよ?」
「……ならば俺と勝負しろ! 俺が勝ったら大人しく家に戻るんだ!」
「いいだろう……受けて立つ!」
こうして俺とルーファスの決闘が始まった。
「どっちが勝つと思う?」
「さあ? ルーファス様じゃないか?」
領主館の前で俺とルーファスは睨み合う。周りには野次馬が集まり、どっちが勝つか賭け事までしていた。
「勝つのはアベル様です!」
アリサがルーファスに言う。それを聞いたルーファスは余裕の笑みを浮かべた。
「ふん、なら賭けようじゃないか。俺が勝てばお前は俺の女になるのだ」
「いいでしょう!」
アリサはルーファスの提案に乗った。俺はため息をつくと、剣を構える。
「準備はいいか?」
「いつでも来い……」
「行くぞ!」
ルーファスはそう言って斬りかかってきた。その動きは非常に速く無駄がない。流石は騎士団長といったところか……
「だが甘いな……」
俺は彼の攻撃を避けつつ反撃する。そしてそのまま剣を振り抜いた。俺の一撃はルーファスに命中し、彼は地面に倒れ込む。
「ぐはっ……!」
「勝負あったな」
「う、うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!」
俺が勝利を宣言すると野次馬たちから歓声が上がる。どうやらみんなもこの結果に納得しているようだ。そんな中、ルーファスは悔しそうに歯を食いしばっていた。そんな彼を見て俺は言う。
「さあどうする? まだやるか?」
「……分かったよ……降参だ……」
ルーファスは悔しそうにしながらも、どこか満足そうな顔をしているように見えた。
「負けた以上、今日は大人しく引き下がろう。だが父上はどんなことをしてもお前を連れ戻すつもりだぞ?」
「あのクソ親父に伝えておいてくれ。俺を連れ戻したかったら、自分の足で来いってな!」
「……了解した」
そう言い残してルーファスは去って行った。
「アベルさん、かっこよかったですよ!」
「そうか?」
「はい! とても素敵でした……」
アリサは頬を赤らめながら言う。その様子はまるで恋する乙女のようだった。俺はそんな彼女の頭を優しく撫でると、そのまま領主館の中へと入っていった。
(やれやれ……これから面倒なことになりそうだな……)
俺は心の中でそう呟くのだった。俺が無能じゃないとわかった以上、父上はきっと俺を連れ戻そうとするはずだ。だが俺は戻るつもりはないし、何よりアリサを危険な目に遭わせるわけにはいかなかった。だから俺は彼女を守るために強くなることを決意したのだった。
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