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翌日、俺はアリサを連れて王宮に向かうことになった。馬車の中でアリサはずっとソワソワしているようだったが、やがて王宮に到着すると緊張した面持ちで中に入って行った。俺も後に続くように中に入る。


「アリサ様!?」


すると衛兵たちが驚きの声を上げる。どうやら彼女は普段から王宮を抜け出していたらしい……


「お父様とお母様にお話があります」


アリサがそう言うと、俺たちは玉座へと案内された。


「お父様、お母様……ただいま戻りました」


「アリサ!? 今までどこに行っていたのだ!?」


「申し訳ありません……」


国王に問い詰められ、頭を下げるアリサ。そんな彼女を見て王妃が言う。


「まあまあ、無事だったのですからいいじゃありませんか」


「しかしだな……もし何かあったらと思うと……」


「大丈夫ですわ!このアベル様が守ってくださいましたから!」


そう言ってアリサは俺に抱きついてくる。それを見た国王はため息をつくと、俺に向かって言った。


「娘を守っていただき感謝する」


「いえ、当然のことをしたまでです」


俺が謙遜していると、アリサは二人を見やる。


「……お話があります」


「何だ?」


アリサは一歩前へ出ると、真剣な眼差しで話を始めた。


「私は……今日限りで王城から出ようと思います!」


「何!?」


突然の告白に国王と王妃は驚いた表情を浮かべる。


「いけません! そんな危険なことを許すわけにはいきません!」


「でも私はこのアベルさんと一緒にいたいんです!」


アリサは真っ直ぐな目で訴える。その熱意に押されたのか国王はため息をついた後、口を開いた。


「分かった……」


その言葉にアリサの表情がパッと明るくなる。しかしその直後、彼は厳しい口調で続けたのであった。


「ただし条件がある。アベル殿がアリサを守れるだけの力を持っているのか見せて欲しい」


「はい! 分かりました!」


訓練場に着くと、数人の兵士たちが待っていた。


「彼らは王国でも屈指の精鋭たちだ。彼らと戦って実力を見せて欲しい」


「分かりました」


「それでは始め!」


国王の合図と共に戦いが始まった。まずは一人の兵士が斬りかかってくる。俺はそれを躱すと、剣を持っている腕を掴み、そのまま投げ飛ばした。そしてもう一人の兵士も同じように倒す。最後に残ったのは隊長らしき男だった。彼は鋭い眼光でこちらを睨みつけてくる。どうやら本気で行くつもりのようだ……


「行くぞ!」


そう言うと、男は素早い動きで攻撃を仕掛けてきた。その動きはまるで風のように速く正確だった。だが俺の前では止まって見えるほどだ。俺は攻撃を躱すと、男の背後に回り込み首筋に剣を突きつける。


「降参だ……」


男がそう言うと、審判が手を挙げた。


「勝者はアベル殿!」


「う、うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!」


その瞬間、周りから歓声が上がる。どうやら兵士たちも俺が勝つとは思っていなかったようだ。彼らにとってアリサを守れるだけの実力があるかどうか試すだけだったはずがいつの間にか決闘みたいになっていたからな……まあ結果オーライだったわけだ!


「精鋭たちをいとも簡単に倒してしまうとは……これだけの実力があれば安心だ」


国王は満足げな表情を浮かべると、アリサに向き直り言った。


「城から出ていくことを許そう。ただし条件がある。必ず娘を守ることだ」


国王はそう言うと頭を下げた。アリサの父として娘を守ってくれる人に頼み込むのは当然のことだ。俺もそれに応えるように言う。


「もちろんです! アリサのことは必ず俺が守ります!」


「うむ、頼んだぞ」


国王は満足げに頷くと、アリサの方を見た。そして娘に語りかける。


「もうお前を縛るものは何もないぞ……自分の好きなように生きなさい……」


「……お父様! ありがとうございます!」


アリサはそう言って抱きつき涙を流すのだった。こうして俺はアリサと共に城を出ることになったのである。
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