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それから数日後、アリサとの修行は順調に進んでいた。しかしそんなある日のこと、いつものように訓練していると突然、謎の黒装束たちに取り囲まれる。


「その女をこちらに引き渡せ!」


黒装束の集団のリーダー格らしき男が叫ぶ。どうやらアリサを狙っているようだ。しかし彼女は怯えてしまい俺の後ろに隠れてしまう。俺は彼女を庇いながら敵と対峙した。


「断る!」


俺が叫ぶと、黒装束たちは一斉に襲い掛かってきた。俺はアリサを守るために彼女の前に立ち塞がる。そして剣を構えると、黒装束たちを斬り伏せていく。


「ぐあっ!?」


「ぎゃあっ!!」


次々と倒れる仲間を見て焦ったのか、リーダー格の男が叫んだ。


「撤退だ!」


その声と共に黒装束たちは逃げていく。俺はそれを見届けた後、アリサに話しかけた。


「アベルさん!」


アリサが心配そうに叫んだ。しかし今ので全員倒したらしく、敵は出てこないようだった。俺は安堵のため息をつくと、アリサの元へ向かう。


「もう大丈夫だぞ」


「はい……ありがとうございます……」


俺が言うと、アリサは目に涙を浮かべていた。きっと怖かったのだろう……無理もないな……何せあんな奴らに襲われたのだから……俺は彼女を安心させるために抱きしめることにした。すると彼女もそれに応えるように抱き返してくる。柔らかい感触が伝わってきた。


(これはなかなか……)


俺がそんなことを考えていると、アリサが話しかけてきた。


「アベルさん……」


「私の本当の名前はアリサ・フォン・グラントニア。この国の第三王女です」


「えっ……?」


俺は驚いて目を見開く。するとアリサは悲しそうな表情を浮かべながら言った。


「黙っていてごめんなさい……」


「いや、謝らないでくれ……それよりもどうして王女様がこんな所にいるんだ?」


俺が尋ねると、彼女は答えた。


「私は窮屈な王宮暮らしに嫌気が差していたんです……だからこっそり抜け出して、ここで剣の修行をしていたってわけなんです……」


「そうだったのか……」


「さっきの男たちは王国の諜報機関なんです……私がここにいることを知った彼らは私を連れ戻そうとしているんです……」


「そうなのか……」


(どうやら大変な事に巻き込まれちまったみたいだな……)


そんなことを考えていると、アリサは俺に抱きついてきた。そして潤んだ瞳で俺を見てくる。その姿はとても魅力的で思わずドキッとした。


「私はずっとアベルさんのことが好きでした……だから私のことを連れて行ってくれませんか?」


「えっ!?」


突然の告白に俺は戸惑ってしまう。しかしアリサの目は真剣そのものだった。だからこそ俺も真剣に考えなければならないと思い、彼女に言った。


「分かった……でもその前にご両親の許可を取るべきだと思うぞ?」


「うっ……確かにそうですね……」


アリサは少し考えた後、決心したように口を開いた。


「分かりました! お父様とお母様を説得してみせます!」


(大丈夫だろうか……?)


俺は若干の不安を覚えながらも彼女の熱意に押される形で了承することにしたのであった。
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