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翌日、俺はアーガスの新たな名産品を考えていた。
「うーん……どうしようかな……」
俺が悩んでいると、アリスがお茶を淹れてくれた。そのお茶を飲みながら俺は考える。
(せっかくだからアーガスならではの名産品が欲しいんだよなぁ)
俺が悩んでいると、アリスが声をかけてきた。
「何かお悩み事ですか?」
「ああ、実は新しい名産品を作ろうと思っていてな……」
俺が相談すると、彼女は少し考えた後口を開いた。
「でしたら、ハーブなどはいかがでしょうか? 美容にいいですから女性の支持を得られますよ」
「ハーブか。しかし、ろくに作物が育たないこの土地じゃ満足できるハーブは入手できないぞ?」
「実はアーガスの北にある雪山に幻のハーブと呼ばれるスノーハーブが自生しています。それなら名産品になるでしょう」
「そんなものがあるならどうして誰も取りに行かないんだ?」
「それが……雪山の魔物は強力な上に数も多いんです……」
「じゃあ、自力で行くしかないか……」
というわけで俺とアリスは雪山に向かうことになった。
「寒いな……」
俺たちは今スノーハーブの生息地に来ていた。辺り一面真っ白でいかにも寒そうな感じがする場所だ。
「フレイムオーラ」
炎の結界を張り、寒さ対策をした俺たちは雪山の中を進んでいった。
「この辺りは結構魔物が多いな」
「そうですね……ですがこの程度なら問題ありません。それにいざとなったら私がお守りしますから安心してください」
「ありがとう、頼りにしているよ」
それからしばらく歩いていると、大きな洞窟が見えてきた。どうやらあそこがスノーハーブの生息地のようだ。俺たちは慎重に中へと入っていった。
「まるで氷の城だな……」
そこは一面雪景色でとても幻想的な場所だった。中は思ったよりも寒くはないようだ。しかし油断はできないので慎重に進んでいくことにしよう。そして数分歩いたところで目的の場所に辿り着いたようだ。そこには青白く輝く花が咲いていた。
「これがスノーハーブか……」
俺はその美しい花に見惚れながらも、採取するために手を伸ばした。だがその瞬間、地面から何かが飛び出してきた。それは巨大な虫のような魔物だった。どうやらこの洞窟の主らしい。
「あれはブリザードインセクト。この雪山に生息する魔物の中でも特に強力な存在です」
アリスは冷静に状況を分析した。スノーハーブは奴の体に自生しているようだ。
「なら、倒すしかないか……」
俺は剣を構えながらそう言った。
「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!」
するとブリザードインセクトは雄叫びを上げながら襲いかかってきた。俺はその攻撃を躱すと、すれ違いざまに剣で斬りつける。
「よし、効いているみたいだな」
どうやら俺の攻撃が通用しているようで、ブリザードインセクトの動きは明らかに鈍っていた。
「これで終わりだ!」
俺はとどめを刺すために魔力を込めると一気に解き放った。すると凄まじい威力の炎がブリザードインセクトを襲う。その一撃で奴は息絶えたようだ。
「ふぅ……なんとか倒せたな」
俺が一息ついていると、アリスが話しかけてきた。
「さすがですね、アベル様」
「アリスのおかげだよ。ありがとう」
俺がお礼を言うと、彼女は恥ずかしそうに顔を赤らめた。そして照れ隠しなのか話題を変えるように口を開く。
「それより、早くスノーハーブを採取してしまいましょう」
「ああ、そうだな」
俺は手分けしてブリザードインセクトの死骸から採取する事にした。しばらくすると俺たちは目標の数を集め終えることが出来たのだった。
「これでよしっと……」
俺は袋に入ったハーブを確認する。中々上質な物のようだしこれなら大丈夫そうだ。
「それじゃあ、そろそろ帰ろうか」
俺がそう提案すると、アリスは頷いた。そして俺たちはアーガスへの帰路につくのであった。
◇
アーガスへと戻ると、早速スノーハーブを使ったハーブティーや美容液を製造し始めた。勿論、作った物は館内の女性たちに試してもらっている。その結果、かなりの評判を得たようで売り上げも順調に伸びていた。
『30年くらい若返った気分だわ!』
『このハーブティーを飲んだら、にきびが奇麗さっぱり消えたわ!』
『肌の艶が戻ってきたし、体重も減ったのよ!』
館には世界中の奥様から感謝の手紙が山のように送られてくる。
「これは予想以上だな……」
「はい、まさかここまでとは思いませんでした」
俺とアリスは驚きながらも喜んでいた。しかし、このハーブティーの原料がブリザードインセクトの死骸だと知ったらどう思うだろうか?
「言わぬが花だな……」
それからもハーブティーの売り上げは伸び続け、アーガスの財政は豊かになっていった。
「これでようやくアーガスも街らしくなってきたな」
「ええ、そうですね」
俺とアリスは微笑みながら新しい街を見つめていた。
「この調子で頑張っていこうな」
「はい、これからもよろしくお願いしますね」
俺たちは笑い合った後、今後のことについて話し合うことにした。
「うーん……どうしようかな……」
俺が悩んでいると、アリスがお茶を淹れてくれた。そのお茶を飲みながら俺は考える。
(せっかくだからアーガスならではの名産品が欲しいんだよなぁ)
俺が悩んでいると、アリスが声をかけてきた。
「何かお悩み事ですか?」
「ああ、実は新しい名産品を作ろうと思っていてな……」
俺が相談すると、彼女は少し考えた後口を開いた。
「でしたら、ハーブなどはいかがでしょうか? 美容にいいですから女性の支持を得られますよ」
「ハーブか。しかし、ろくに作物が育たないこの土地じゃ満足できるハーブは入手できないぞ?」
「実はアーガスの北にある雪山に幻のハーブと呼ばれるスノーハーブが自生しています。それなら名産品になるでしょう」
「そんなものがあるならどうして誰も取りに行かないんだ?」
「それが……雪山の魔物は強力な上に数も多いんです……」
「じゃあ、自力で行くしかないか……」
というわけで俺とアリスは雪山に向かうことになった。
「寒いな……」
俺たちは今スノーハーブの生息地に来ていた。辺り一面真っ白でいかにも寒そうな感じがする場所だ。
「フレイムオーラ」
炎の結界を張り、寒さ対策をした俺たちは雪山の中を進んでいった。
「この辺りは結構魔物が多いな」
「そうですね……ですがこの程度なら問題ありません。それにいざとなったら私がお守りしますから安心してください」
「ありがとう、頼りにしているよ」
それからしばらく歩いていると、大きな洞窟が見えてきた。どうやらあそこがスノーハーブの生息地のようだ。俺たちは慎重に中へと入っていった。
「まるで氷の城だな……」
そこは一面雪景色でとても幻想的な場所だった。中は思ったよりも寒くはないようだ。しかし油断はできないので慎重に進んでいくことにしよう。そして数分歩いたところで目的の場所に辿り着いたようだ。そこには青白く輝く花が咲いていた。
「これがスノーハーブか……」
俺はその美しい花に見惚れながらも、採取するために手を伸ばした。だがその瞬間、地面から何かが飛び出してきた。それは巨大な虫のような魔物だった。どうやらこの洞窟の主らしい。
「あれはブリザードインセクト。この雪山に生息する魔物の中でも特に強力な存在です」
アリスは冷静に状況を分析した。スノーハーブは奴の体に自生しているようだ。
「なら、倒すしかないか……」
俺は剣を構えながらそう言った。
「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!!!!!」
するとブリザードインセクトは雄叫びを上げながら襲いかかってきた。俺はその攻撃を躱すと、すれ違いざまに剣で斬りつける。
「よし、効いているみたいだな」
どうやら俺の攻撃が通用しているようで、ブリザードインセクトの動きは明らかに鈍っていた。
「これで終わりだ!」
俺はとどめを刺すために魔力を込めると一気に解き放った。すると凄まじい威力の炎がブリザードインセクトを襲う。その一撃で奴は息絶えたようだ。
「ふぅ……なんとか倒せたな」
俺が一息ついていると、アリスが話しかけてきた。
「さすがですね、アベル様」
「アリスのおかげだよ。ありがとう」
俺がお礼を言うと、彼女は恥ずかしそうに顔を赤らめた。そして照れ隠しなのか話題を変えるように口を開く。
「それより、早くスノーハーブを採取してしまいましょう」
「ああ、そうだな」
俺は手分けしてブリザードインセクトの死骸から採取する事にした。しばらくすると俺たちは目標の数を集め終えることが出来たのだった。
「これでよしっと……」
俺は袋に入ったハーブを確認する。中々上質な物のようだしこれなら大丈夫そうだ。
「それじゃあ、そろそろ帰ろうか」
俺がそう提案すると、アリスは頷いた。そして俺たちはアーガスへの帰路につくのであった。
◇
アーガスへと戻ると、早速スノーハーブを使ったハーブティーや美容液を製造し始めた。勿論、作った物は館内の女性たちに試してもらっている。その結果、かなりの評判を得たようで売り上げも順調に伸びていた。
『30年くらい若返った気分だわ!』
『このハーブティーを飲んだら、にきびが奇麗さっぱり消えたわ!』
『肌の艶が戻ってきたし、体重も減ったのよ!』
館には世界中の奥様から感謝の手紙が山のように送られてくる。
「これは予想以上だな……」
「はい、まさかここまでとは思いませんでした」
俺とアリスは驚きながらも喜んでいた。しかし、このハーブティーの原料がブリザードインセクトの死骸だと知ったらどう思うだろうか?
「言わぬが花だな……」
それからもハーブティーの売り上げは伸び続け、アーガスの財政は豊かになっていった。
「これでようやくアーガスも街らしくなってきたな」
「ええ、そうですね」
俺とアリスは微笑みながら新しい街を見つめていた。
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「はい、これからもよろしくお願いしますね」
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