悪役令嬢の兄に転生したので、妹を聖女に生まれ変わらせます

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翌日、俺は教室に入り、自分の席に座る。すると、前の席の男子生徒が振り返った。


「おはよう、カイト君」


彼は爽やかな笑顔を浮かべた。金髪に青い瞳という整った容姿をしている。どうやら敵意はないらしい。


「ああ、おはよう」


俺も挨拶を返すと、その男子生徒は嬉しそうな表情を浮かべた。それからも何人かの生徒から声をかけられる。俺が学年トップのラインハルトを倒したことで、俺に対する評価が変わったのだ。今までのように見下すような態度を取られることはなくなった。クロエが駆け寄ってきて、俺の腕にしがみつく。


「お兄様！ よかったですね！」


「ああ、これで学園生活も少しは過ごしやすくなるだろう」


俺は微笑みながら答えた。すると、クロエが少し不安そうな顔をする。


「でも……あまり目立ちすぎるのもよくありませんわ……」


そんなクロエの頭を優しく撫でた。


「大丈夫だ。心配はいらない」


「はい……お兄様がそう仰るなら……」


それから先生がやって来て授業が始まった。しかし、周りの生徒たちはチラチラと俺の方を見ているようだった。授業が終わると、女子生徒たちが数人やってきて話しかけてきた。


「カイト君！ 一緒にお昼ご飯を食べましょうよ！」


「いや、遠慮しておく」


「そんなこと言わずにさ！ ね？ クロエちゃんも一緒に食べよう？」


クロエは少し困惑している様子だったが、すぐに明るい顔に戻った。


「ええ、ぜひご一緒させてくださいな」


仕方なしに俺は彼女たちと食堂に向かった。席に着くと、女子生徒たちは目を輝かせながら話しかけてきた。


「ねえ、カイト君！ どうやってラインハルトを倒したの？」


「魔法を使ったのはわかるけど、どんな魔法を使ったのか教えて！」


「私も知りたいわ！ あのラインハルトが手も足も出ないんだもの！」


俺は少し考えてから口を開いた。


「俺の使った魔法は風属性の魔法だ。空気の壁を作ってあいつを包み込んだんだよ」


「それだけなの？ でも、そんな簡単にできるものじゃないと思うんだけど……」


「それは俺が魔力の使い方に長けている証拠だ」


女子生徒たちは感心したような表情を浮かべていた。その様子を見て、クロエが安心したように微笑む。すると、別の女子生徒たちがまたやってきた。今度は男子生徒も一緒だ。


「ねえねえ、カイト君！ 今日の放課後空いてる？」


「実は僕たちと遊びに行かない？ いい店を見つけたんだ！」


どうやら俺をデートに誘いたいらしい。しかし、俺は首を横に振った。


「すまないな。今日は用事があるんだ」


「えー！ 残念だなぁ……」


女子生徒たちは落胆した様子だったが、すぐに切り替えて別の話題を始めた。その様子をクロエは微笑みながら見つめる。


「お兄様は本当に人気者になりましたね」


「ああ、これもお前のお陰だ、クロエ」


クロエはゆっくりと首を横に振った。そして、少し照れた様子で口を開く。


「いえ……私はただお手伝いをしただけですわ」


そんな話をしていると、後ろから肩を叩かれた。振り返るとそこにはラインハルトが立っていた。その表情には怒りの色が見える。俺は思わず身構えた。


「カイト・フォン・コーネリア。お前に負けてから俺は学園の笑いものだ。お前のせいで俺は……」


ラインハルトは拳を握りしめる。しかし、そんな彼の肩をクロエが優しく叩いた。


「お兄様との決闘に負けたからと言って八つ当たりですか？ 情けないですね」


「なんだと……？」


ラインハルトの顔が怒りで真っ赤になる。しかし、クロエは動じることなく続けた。


「それに、お兄様を侮辱したことも許しませんわ。あなたは自分の立場もわきまえず、お兄様を見下していましたね？」


「くっ……それは……」


ラインハルトは何も言い返せない様子だった。クロエはそんなラインハルトを冷たい目で見下す。


「これ以上恥をかかせないでください。それから、二度と私たちに近づかないでいただけますか？」


クロエの威圧感に圧倒されたのか、ラインハルトは悔しそうに引き下がった。俺はそんなラインハルトを庇うように言った。


「クロエの言う通りだ。俺に関わるな」


ラインハルトは何も言い返さず、そのまま食堂を出て行った。その様子を見たクロエが心配そうな顔で話しかけてきた。


「お兄様……大丈夫ですか……？」


「ああ、平気だよ」


「なら良いのですが……」


心配そうな表情を浮かべるクロエの頭を優しく撫でた。子犬のように嬉しそうな顔をするクロエ。俺はそのまま暫く撫で続けた。