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「む? また魔物がこちらに近づいておるぞ」
「どんな魔物だ?」
「今までの奴らより反応が弱いな。それに一匹のようじゃ」
「それなら私にお任せください」
「大丈夫か?」
「はいっ。私はカイトさんに鍛えてもらいましたから」
「じゃあ、頼む」
あんまり目立ちたくない俺は、戦闘をアリアに任せることにした。
「あ……ああ……」
何やら様子がおかしい。外に出ると、とんでもない光景を目にした。
「グォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」
そこに居たのは空を覆いつくすほどの巨体、ギラリと光る牙と爪、赤黒い鱗に包まれたドラゴンであった。
『我が名は【災厄竜ドレッドノート】! この世界を破壊するものなり!』
ドラゴンが咆哮をあげる。ビリビリとした迫力に圧倒されそうになるが、なんとか踏みとどまった。
『矮小なる人間よ。我が力の前に平伏せよ!!』
「ほうほう、これがドラゴンの鱗か、なかなかの触り心地だな」
俺はドレッドノートの足に近づいて、鱗を指先で突いてみた。するとドラゴンは顔を真っ赤にして怒り出したのだ。
『無礼者めが!! 人間ごときが我が神聖なる体に触れるとは万死に値する!!』
ドレッドノートは丸太のような腕を振り上げ、叩きつけようとしてくる。
ズゥウウーン!!
辺りを揺るがすほどの衝撃が巻き起こる。砂埃が舞う中、俺は再び鱗を触り始めたのだ。
「おぉー、これは凄いな」
『バ、バカな! 我の一撃を受け、無傷だと!?』
「今のが攻撃か? それじゃあ虫すら殺せないぞ?」
『おのれぇえええええええええっ!!』
ドレッドノートは再び巨大な腕を振り下ろしてくるが、俺はそれを軽々と受け止めた。
『な、なにぃいいいいいいいいっ!?』
「さてと」
俺はドレッドノートの腕を思い切り引っ張り上げる。すると巨体は宙を舞い、地面に叩きつけられてしまった! ズゥウウーン!! 激しい衝撃音が鳴り響き土埃が上がる中、ドレッドノートはゆっくりと起き上がったのだ。しかしその表情は怒りに満ちていた。
『殺す!!!! お前だけは必ず殺す!!!!』
そして大きく息を吸い込む様子を見せると同時に灼熱のブレスを吐き出してきた。
「逃げてください!!!!」
逃げる? ドラゴンのブレスを吐くさまを、こんな特等席で見るチャンスなんて滅多にない。俺はニヤリと笑って左手を前に突き出したのだ。
「【吸収】」
左手にブレスが掃除機のように吸い込まれていく。
『な、なんだとぉおおおおおおおおっ!?』
驚いているドレッドノートを尻目に、今度は右手を前に突き出す。
「【放出】」
すると掌から倍増されたブレスが一気に放たれる。
『グァアアアアアアアアアアアッ!!』
さすがのドレッドノートもこれには耐えきれず、絶叫を上げていた。そしてついに力尽きたのか、地面に倒れ伏してしまったのである。
「よし、トドメと行くか!」
俺はドレッドノートの頭部まで近づくと、異空間から取り出した巨大なハンマーを振り下ろそうとする。
『あの……すみませんでした!!!!』
「えっ?」
『調子のってすみませんでした!!!! どうか命だけはお助けください!!!!』
今までの態度と一転し、命乞いを始めたドレッドノート。どうやら戦闘意欲を失ってくれたようだ。
「二度と人を襲わないと誓うか?」
『はい! 誓います!』
「よし分かった」
俺はドレッドノートの頭部を軽く殴って気絶させるだけに済ませた。
「なぜ俺たちを襲った?」
『憤怒の魔王【サタン】様の命令です。この世界を破壊するため、手始めにお前らを殺せと……』
「サタンだと?」
「魔界でも強大な力を持つ七大魔王の一人じゃな」
「そんなやつが俺たちを……?」
『サタン様は強い力を持った人間に興味を持っておられます。特に、勇者や魔王と戦えるほどの力を持った人間を探しておられるようでして』
「つまり俺たちはその条件に当てはまるってことか?」
『はい……その通りです……』
ドレッドノートは申し訳なさそうに答えた。まあ悪いやつではなさそうだし許してやることにするか。
「今日からお前は俺の従魔だ。タクシーとして役立ってもらうぞ」
『くっ……! なぜ偉大なる憤怒の魔王の眷属にして災厄の竜であるこの俺がこんなガキに……』
「何か言ったか?」
『いえ何も! このドレッドノート。カイト様のために喜んで働かせてもらいます!』
こうして俺は新たな仲間を手に入れたのであった。
「どんな魔物だ?」
「今までの奴らより反応が弱いな。それに一匹のようじゃ」
「それなら私にお任せください」
「大丈夫か?」
「はいっ。私はカイトさんに鍛えてもらいましたから」
「じゃあ、頼む」
あんまり目立ちたくない俺は、戦闘をアリアに任せることにした。
「あ……ああ……」
何やら様子がおかしい。外に出ると、とんでもない光景を目にした。
「グォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」
そこに居たのは空を覆いつくすほどの巨体、ギラリと光る牙と爪、赤黒い鱗に包まれたドラゴンであった。
『我が名は【災厄竜ドレッドノート】! この世界を破壊するものなり!』
ドラゴンが咆哮をあげる。ビリビリとした迫力に圧倒されそうになるが、なんとか踏みとどまった。
『矮小なる人間よ。我が力の前に平伏せよ!!』
「ほうほう、これがドラゴンの鱗か、なかなかの触り心地だな」
俺はドレッドノートの足に近づいて、鱗を指先で突いてみた。するとドラゴンは顔を真っ赤にして怒り出したのだ。
『無礼者めが!! 人間ごときが我が神聖なる体に触れるとは万死に値する!!』
ドレッドノートは丸太のような腕を振り上げ、叩きつけようとしてくる。
ズゥウウーン!!
辺りを揺るがすほどの衝撃が巻き起こる。砂埃が舞う中、俺は再び鱗を触り始めたのだ。
「おぉー、これは凄いな」
『バ、バカな! 我の一撃を受け、無傷だと!?』
「今のが攻撃か? それじゃあ虫すら殺せないぞ?」
『おのれぇえええええええええっ!!』
ドレッドノートは再び巨大な腕を振り下ろしてくるが、俺はそれを軽々と受け止めた。
『な、なにぃいいいいいいいいっ!?』
「さてと」
俺はドレッドノートの腕を思い切り引っ張り上げる。すると巨体は宙を舞い、地面に叩きつけられてしまった! ズゥウウーン!! 激しい衝撃音が鳴り響き土埃が上がる中、ドレッドノートはゆっくりと起き上がったのだ。しかしその表情は怒りに満ちていた。
『殺す!!!! お前だけは必ず殺す!!!!』
そして大きく息を吸い込む様子を見せると同時に灼熱のブレスを吐き出してきた。
「逃げてください!!!!」
逃げる? ドラゴンのブレスを吐くさまを、こんな特等席で見るチャンスなんて滅多にない。俺はニヤリと笑って左手を前に突き出したのだ。
「【吸収】」
左手にブレスが掃除機のように吸い込まれていく。
『な、なんだとぉおおおおおおおおっ!?』
驚いているドレッドノートを尻目に、今度は右手を前に突き出す。
「【放出】」
すると掌から倍増されたブレスが一気に放たれる。
『グァアアアアアアアアアアアッ!!』
さすがのドレッドノートもこれには耐えきれず、絶叫を上げていた。そしてついに力尽きたのか、地面に倒れ伏してしまったのである。
「よし、トドメと行くか!」
俺はドレッドノートの頭部まで近づくと、異空間から取り出した巨大なハンマーを振り下ろそうとする。
『あの……すみませんでした!!!!』
「えっ?」
『調子のってすみませんでした!!!! どうか命だけはお助けください!!!!』
今までの態度と一転し、命乞いを始めたドレッドノート。どうやら戦闘意欲を失ってくれたようだ。
「二度と人を襲わないと誓うか?」
『はい! 誓います!』
「よし分かった」
俺はドレッドノートの頭部を軽く殴って気絶させるだけに済ませた。
「なぜ俺たちを襲った?」
『憤怒の魔王【サタン】様の命令です。この世界を破壊するため、手始めにお前らを殺せと……』
「サタンだと?」
「魔界でも強大な力を持つ七大魔王の一人じゃな」
「そんなやつが俺たちを……?」
『サタン様は強い力を持った人間に興味を持っておられます。特に、勇者や魔王と戦えるほどの力を持った人間を探しておられるようでして』
「つまり俺たちはその条件に当てはまるってことか?」
『はい……その通りです……』
ドレッドノートは申し訳なさそうに答えた。まあ悪いやつではなさそうだし許してやることにするか。
「今日からお前は俺の従魔だ。タクシーとして役立ってもらうぞ」
『くっ……! なぜ偉大なる憤怒の魔王の眷属にして災厄の竜であるこの俺がこんなガキに……』
「何か言ったか?」
『いえ何も! このドレッドノート。カイト様のために喜んで働かせてもらいます!』
こうして俺は新たな仲間を手に入れたのであった。
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