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昼休み、私はラインハルトと食堂で昼食をとっていた。彼は美味しそうにパンを頬張っている。


「美味しいですね、ここの料理は」とラインハルトは言った。私も頷きながらスープを口に運ぶ。


「7歳のアリスはどうだったの?」


ロザリーが興味津々といった様子で聞いてくる。


「そうですね、アリス姉様はとてもお転婆で明るい方でしたよ」


ラインハルトは笑いながら答える。私は恥ずかしくなり、思わず俯いてしまった。


「そうなのか? 想像できねえな」とエドワードが首を傾げる。


「確かに今のアリスからは想像できないわね」とロザリーも同意した。


「ちょっと二人とも……」と言ってみるものの、反論できない自分がいるのも事実だった。7歳の頃は家族や使用人たちに甘やかされて育ち、我儘放題の生活をしていた。あの頃の自分を思い返すと恥ずかしくなる。


「でも、そんなアリス姉様も素敵でしたよ」ラインハルトはフォローしてくれた。


私は苦笑いしながら彼を見る。彼は微笑んで私を見つめていた。


「ありがとう……」思わず口に出してしまう。すると彼は優しく微笑んだ。その笑顔を見ると何だかドキドキしてしまうのだった。


「でも、そんなアリス姉様が僕を受け入れてくれたことが本当に嬉しかったんです」ラインハルトは言った。「だから、僕はどうしても恩返しがしたいと思いました」


彼は真剣な眼差しで私を見つめた。そのまなざしにドキッとする。


「それでここまで追いかけてきたのね」と私は納得したように呟いた。


「はい、そうです!」と彼は元気よく答える。


私は思わず笑みが溢れてしまった。なんて可愛い子なんだろうと思うと同時に、彼の成長ぶりに感動していた。


「ありがとう……その気持ちだけで十分よ」


私は感謝の気持ちを込めて言った。ラインハルトは嬉しそうな表情を浮かべている。


「はい! でも、何か困ったことがあったらいつでも言ってくださいね」と彼は言う。「僕がアリス姉様の力になりますから」と続けた。


「ありがとう……」私は素直に感謝の言葉を口にした。


放課後、私たちは教室を出て学院の中庭へと向かった。夕暮れ時の柔らかな光が、木々の葉を黄金色に染めていく。


「アリス姉様、今日の授業はどうでしたか?」とラインハルトが私の横を歩きながら尋ねてきた。


「そうね……魔法理論の授業は少し難しかったわ」と私は正直に答えた。


「そうですか。僕も苦手なんです。一緒に勉強しませんか?」


彼の提案に、私は少し驚いた。昔の私なら、誰かと一緒に勉強するなんて考えもしなかっただろう。でも今は……


「そうね、それもいいかもしれないわ」


私の返事に、ラインハルトの顔が輝いた。


「やった! じゃあ、図書館で勉強会をしましょう」


彼の提案に、私も思わず笑顔になる。


中庭を歩いていると、噴水の近くでエドワードとロザリーが談笑しているのが見えた。二人も私たちに気づき、手を振ってきた。


「おーい、アリス! ラインハルト!」エドワードが大きな声で呼びかけてきた。


私たちは二人の元へ向かう。


「どうしたの? 何か楽しそうね」と私が尋ねると、ロザリーが嬉しそうに答えた。


「ねえ、聞いて! 来週の土曜日に、学院主催のダンスパーティーがあるんですって!」


「ダンス……パーティー?」私は少し戸惑った。社交界でのパーティーには慣れているが、学院でのパーティーとなると話は別だ。


「そうよ! みんなでドレスアップして、素敵な夜を過ごすの。楽しそうじゃない?」ロザリーの目は輝いていた。


「へえ、面白そうじゃないか」エドワードも興味を示している。


私は少し考え込んでしまった。パーティーは苦手だし、ダンスとなるとさらに気が重い。でも、友達と一緒なら……


「アリス姉様、一緒に行きましょう」


ラインハルトの声に、私は我に返った。彼は優しく微笑んでいる。


「そうね……みんなで行けば、楽しいかもしれないわ」


私の言葉に、みんなが喜んだ。


「よっしゃ! じゃあ決まりだな」エドワードが拳を上げる。


「わあ、楽しみ! アリス、一緒にドレス選びに行きましょう」ロザリーが私の手を取った。


その瞬間、ラインハルトが少し困ったような顔をした。


「あの、僕……ダンスがあまり上手じゃなくて……」


彼の言葉に、私たちは一瞬沈黙した後、笑い出してしまった。


「大丈夫よ、ラインハルト。私が教えてあげる」


思わず口にした言葉に、自分でも驚いた。でも、彼の嬉しそうな顔を見ると、そんな気持ちも消えていった。

夕暮れの中庭で、私たちは来週のパーティーの話に花を咲かせた。こんな風に友達と過ごす時間が、今の私にはかけがえのないものになっていた。
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