転生した悪役令嬢は破滅エンドを避けるため、魔法を極めたらなぜか攻略対象から溺愛されました

22

翌日、ラインハルト王太子との会談に挑むため、私は準備をしていた。


「クロエ様、緊張してますか？」


ルシアちゃんが心配そうに尋ねてくる。私は微笑みながら答えた。


「うん、ちょっとね……」


すると彼女は私に近づいてきてそっと抱きしめてくれる……そして優しく頭を撫でながら言ってくれた。


「大丈夫ですよクロエ様、きっと上手くいきますから！」


（うぅ……すごく落ち着く……！）


心が落ち着くと同時に不安な気持ちも和らいできた気がする……やっぱりルシアちゃんってすごい人だ……。私は勇気を振り絞ると彼女に強く抱き着いた……！


（絶対に成功させてみせる……！）


会談当日、私は緊張で震える身体を必死に抑えていた。


（怖いよ……）


逃げ出したいという思いが込み上げてくる……でもここで逃げるわけにはいかない！


「クロエ様？ お顔が青いように見えますが……？」


ルシアちゃんが心配そうな目で見つめてくる。私は精一杯の笑顔を作って答えた。


「大丈夫だよ！ ちょっと考え事をしてただけ！」


（そうだよね、弱気になっちゃダメだよね……！）


私が自分に言い聞かせていると、ラインハルト王太子が現れた。彼はにこやかに挨拶してくる。


「おはようクロエ嬢、今日はよろしく頼むよ」


（いよいよだ……頑張らなくちゃ……！）


私は気を引き締めると、ラインハルト王太子についていったのだった……。

会談中は上手く話せなかったし、緊張で手が震えることもあったけれど、ルシアちゃんや奴隷たちが助けてくれたおかげで無事乗り切ることができた！


（良かった……！）


安堵のため息をこぼす私を見てラインハルト王太子が微笑む。そしてこう言ってくれた。


「お疲れ様クロエ嬢、よく頑張ったね」


その優しい言葉に私は泣きそうになるのをグッと堪えると、笑顔で答えた。


「ありがとうございます！ お役に立てて良かったです！」


（これで少しはラインハルト王太子の役に立てたかな……？）


そう願う私だった……。


「ふぅ……」


私は一息つくと、ルシアちゃんのところへ向かった。そして彼女に抱きついて言う。


「無事に終わってよかった～！」


（本当に緊張したよ～！）


するとルシアちゃんはいつものように抱きしめてくれた後に言ってくれた。


「クロエ様なら大丈夫ですよ！ お疲れさまでした♪」


（やっぱりルシアちゃんって優しいなぁ……♪）


彼女の優しさに癒されながら、私はしばらく余韻に浸っていたのだった……。


「魔物の軍勢が攻めてきたぞ！」


城壁の外にはたくさんの魔物たちが押し寄せていた……！


「【煉獄の灼熱（テンペスター・バーニング）】！」


私は魔法を唱えると、目の前にいた魔物たちを一気に焼き払った！


「よし！ これでひとまず安心かな……？」


私が一息ついていると、後ろからルシアちゃんが声をかけてきた。


「クロエ様、油断は禁物ですよ？」


（そうだね……！）


私は気を引き締め直すと再び魔物たちに立ち向かっていった……。それからしばらく戦い続けたが、一向に数が減らないことに焦りを感じ始めた頃……ついに敵の親玉が現れた……！


「お前がこの軍勢を率いているのか！？」


私が叫ぶと、その魔物はニヤリと笑って答えた。


「その通りだ！ この俺が魔物軍のリーダー、魔王軍四天王の一人、炎魔のイグニス様だ！」


そう言うと、イグニスと名乗った魔物は凄まじい火力の魔法を放ってきた！


（くっ……！ 凄い威力だ……！！）


私はなんとか耐え切ろうとしたが、あまりの火力に吹き飛ばされてしまった……！


「きゃあ！？」


そのまま地面に倒れ込む私に、イグニスは追撃を仕掛けてきた！


（まずい……避けられない……！！）


その時、ルシアちゃんが駆けつけてきて私を庇ってくれた。彼女の剣と魔法が炎の攻撃を防いでくれたのだ……！


「クロエ様！ お怪我はありませんか！？」


彼女は心配そうな声で尋ねてくる。私は笑顔で答えた。


「うん！ 大丈夫だよ！」


（ルシアちゃんありがとう……！）


イグニスは苛立ったように舌打ちした。そして言う。


「貴様……！ 俺の邪魔をしやがって……！」


（ルシアちゃんが危ない……助けなきゃ！）


そう思った瞬間、私の身体は自然と動いていた！


「【煉獄の紅蓮（バーニング・クリムゾン）】！！」


詠唱破棄で放った魔法が発動すると、辺り一面が全て炎に覆われた……！！


「ぐぁあああああっ！」


炎に包まれたイグニスはそのまま絶命した。その様子を見た私はホッと胸を撫で下ろす……。


（良かった……倒せた！）


私はルシアちゃんに笑いかけると、彼女も微笑み返してくれたのだった……。その後、私たちは魔物たちを撃退して町を守ったのだった……！