上 下
13 / 20

13

しおりを挟む
ある日のこと、俺たちはギルドの依頼で新しく発見されたダンジョンの調査に向かっていた。そのダンジョンは古代遺跡のようなもので、何が出てくるか全くわからない未知の場所だった。


「カイト様、このダンジョン……何が待っているんでしょうね」


「分からないが……危険な魔物が出る可能性が高いだろう」


俺は冷静に答えた。今までの経験からすると、こういう場所には強力なモンスターがいることが多いのだ。気を引き締めていかなければ命を落とすことになるかもしれない……そう考えていたのだが、フィーナはどこか楽しげな雰囲気を醸し出していた。


「ふふっ♪ 楽しみですね!」


「フィーナ、油断は禁物だぞ。どんな罠があるか分からないんだからな」


「分かってますよ! カイト様も気をつけてくださいね?」


そんな会話をしながら歩いていると、ダンジョンの入り口が見えてきた。ここから先は何が起きても不思議ではない。俺たちは警戒しながら中に入っていった。


「暗いな……」


「ライトの魔法を使いましょうか?」


「ああ、頼む」


フィーナは杖を掲げ、魔法を唱えた。すると周囲が明るく照らされる。これで視界は確保できただろう。俺たちはさらに奥へと進んでいくことにした。


「あれは……」


しばらく進むと、目の前に大きな扉が現れた。かなり立派な作りの扉で、明らかにこの先に何かがあると感じさせるものだった。俺たちはゆっくりと扉を開け中に入る。するとそこには巨大な石像があった……まるで悪魔のような形相をした石像だ。その大きさは5メートルくらいあるだろうか? その迫力に圧倒されてしまった。だが、それ以上に驚いたことがある。なんとこの石像が動き出したのだ……!


「カイト様! これはゴーレムです!」


「ああ、分かっている!」


俺とフィーナは慌てて武器を構える。ゴーレムはこちらに向かって攻撃を仕掛けてきた! 俺たちは連携を取りながら応戦する。フィーナは魔法で牽制し、俺がダメージを与えていく……だが、なかなか決定打を与えられない。


「カイト様! このままではジリ貧です! 何か作戦を立てましょう!」


「分かった!」


俺はゴーレムの攻撃を躱しつつ、フィーナに指示を出す。彼女は杖を振りかざすと、魔法を唱えた。すると地面から巨大な岩が飛び出し、ゴーレムを押し潰した。


「やったか!?」


「いえ……まだです!」


フィーナが叫んだ瞬間、岩の中からゴーレムの腕が現れた……! そしてそのまま岩を破壊して出てきたのだ。なんという力だ……! だが、その隙をついて俺は剣で攻撃する! しかし、硬い装甲によって阻まれてしまった。


「くそっ……硬い!」


「カイト様、私が囮になります! その隙に攻撃してください!」


フィーナはそう言うと、ゴーレムの気を引くために駆け出した。俺は彼女を信じてひたすら攻撃を続ける。するとついに装甲に亀裂が入った!


「今だ!」


俺は一気に距離を詰めると、渾身の力で剣を振り抜いた! そしてそのままゴーレムの胴体を斬りつけることに成功する!だが致命傷を与えることはできず、切断された部分はすぐに再生してしまった。このままでは埒が明かない……一体どうすれば……?


「カイト様! 私が動きを止めます! その隙に攻撃をお願いします!」


「わかった!」


俺はフィーナの言葉を信じて、ゴーレムに向かって走り出した。そして攻撃が届く距離まで近づくと、剣を振り下ろす! しかし装甲には傷一つつかない……だがそれでいい。俺は剣での攻撃と同時に魔法を唱えていた。それはフィーナの援護だった。彼女の放った魔法はゴーレムを包み込み、その動きを止めることに成功したのだ。


「カイト様!」


フィーナの声に反応して、俺は剣を横薙ぎに振るう。その一撃がゴーレムの装甲を斬り裂き、中の本体まで届いた……! そしてそのまま剣を引き抜くと、ゴーレムの巨体は崩れ落ちて動かなくなる。どうやら倒すことができたようだ……。


「やったな……」


「はい! カイト様のおかげです!」


俺たちはハイタッチをして喜びを分かち合う。こうして俺たちは難攻不落のダンジョンを攻略したのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います

騙道みりあ
ファンタジー
 魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。  その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。  仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。  なので、全員殺すことにした。  1話完結ですが、続編も考えています。

「おっさんはいらない」とパーティーを追放された魔導師は若返り、最強の大賢者となる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~

平山和人
ファンタジー
かつては伝説の魔法使いと謳われたアークは中年となり、衰えた存在になった。 ある日、所属していたパーティーのリーダーから「老いさらばえたおっさんは必要ない」とパーティーを追い出される。 身も心も疲弊したアークは、辺境の地と拠点を移し、自給自足のスローライフを送っていた。 そんなある日、森の中で呪いをかけられた瀕死のフェニックスを発見し、これを助ける。 フェニックスはお礼に、アークを若返らせてくれるのだった。若返ったおかげで、全盛期以上の力を手に入れたアークは、史上最強の大賢者となる。 一方アークを追放したパーティーはアークを失ったことで、没落の道を辿ることになる。

弓使いの成り上がり~「弓なんて役に立たない」と追放された弓使いは実は最強の狙撃手でした~

平山和人
ファンタジー
弓使いのカイトはSランクパーティー【黄金の獅子王】から、弓使いなんて役立たずと追放される。 しかし、彼らは気づいてなかった。カイトの狙撃がパーティーの危機をいくつも救った来たことに、カイトの狙撃が世界最強レベルだということに。 パーティーを追放されたカイトは自らも自覚していない狙撃で魔物を倒し、美少女から惚れられ、やがて最強の狙撃手として世界中に名を轟かせていくことになる。 一方、カイトを失った【黄金の獅子王】は没落の道を歩むことになるのであった。

追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました

遥 かずら
ファンタジー
冒険者ギルドに所属しているエンジは剣と魔法の才能が無く、文字を書くことだけが取り柄であった。落ちこぼれスキル【転写】を使いギルド帳の筆記作業で生計を立てていた。そんなある日、立ち寄った勇者パーティーの貴重な古代書を間違って書き写してしまい、盗人扱いされ、勇者によってギルドから追放されてしまう。 追放されたエンジは、【転写】スキルが、物やスキル、ステータスや魔法に至るまで何でも【コピー】できるほどに極められていることに気が付く。 やがて彼は【コピー】マスターと呼ばれ、世界最強の冒険者となっていくのであった。

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

パーティーから追放され婚約者を寝取られ家から勘当、の三拍子揃った元貴族は、いずれ竜をも倒す大英雄へ ~もはやマイナスからの成り上がり英雄譚~

一条おかゆ
ファンタジー
貴族の青年、イオは冒険者パーティーの中衛。 彼はレベルの低さゆえにパーティーを追放され、さらに婚約者を寝取られ、家からも追放されてしまう。 全てを失って悲しみに打ちひしがれるイオだったが、騎士学校時代の同級生、ベガに拾われる。 「──イオを勧誘しにきたんだ」 ベガと二人で新たなパーティーを組んだイオ。 ダンジョンへと向かい、そこで自身の本当の才能──『対人能力』に気が付いた。 そして心機一転。 「前よりも強いパーティーを作って、前よりも良い婚約者を貰って、前よりも格の高い家の者となる」 今までの全てを見返すことを目標に、彼は成り上がることを決意する。 これは、そんな英雄譚。

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

S級スキル【竜化】持ちの俺、トカゲと間違われて実家を追放されるが、覚醒し竜王に見初められる。今さら戻れと言われてももう遅い

猪木洋平@【コミカライズ連載中】
ファンタジー
 主人公ライルはブリケード王国の第一王子である。  しかし、ある日―― 「ライル。お前を我がブリケード王家から追放する!」  父であるバリオス・ブリケード国王から、そう宣言されてしまう。 「お、俺のスキルが真の力を発揮すれば、きっとこの国の役に立てます」  ライルは必死にそうすがりつく。 「はっ! ライルが本当に授かったスキルは、【トカゲ化】か何かだろ? いくら隠したいからって、【竜化】だなんて嘘をつくなんてよ」  弟である第二王子のガルドから、そう突き放されてしまう。  失意のまま辺境に逃げたライルは、かつて親しくしていた少女ルーシーに匿われる。 「苦労したんだな。とりあえずは、この村でゆっくりしてくれよ」  ライルの辺境での慎ましくも幸せな生活が始まる。  だが、それを脅かす者たちが近づきつつあった……。

処理中です...