上 下
10 / 20

10

しおりを挟む
「こ、ここまでとは……!?」


俺たちがガインの工房に到着すると、ガインは驚愕の表情を浮かべた。


「これほど質のいい魔鉱石をよく集めてきたもんじゃわい……」


「まあ、運が良かったからな」


「これなら思っていたよりも強い剣が作れそうじゃな! 待っておれ、すぐに剣を作る!」


ガインは作業台に向かい、早速作り始めた。俺たちはその様子を後ろで眺めている。


「待ってる間、お茶でも飲まない?」


リーゼロッテがそう提案してくる。確かに少し疲れてしまったし、休憩を挟むのもいいかもしれないな。


「そうだな、そうしよう」


俺たちはガインが作業を終えるまでお茶を飲みながら待つことにした。


「そういえばさ、カイトとフィーナってどういう関係?」


リーゼロッテがそんなことを聞いてくる。俺とフィーナの関係? そんなの決まってるじゃないか。


「フィーナは俺の仲間だ。それ以上の関係はない」


「ふーん……そういうことにしておくわ」


「カイト様……」


フィーナは頰を赤らめて、モジモジとしている。なぜそんなに照れているのだろう? しばらくするとガインが作業を終えたようで、俺たちの所へやってくる。その手には美しい装飾が施された剣が握られていた。その剣からは強い魔力を感じる。どうやら素晴らしい剣を作ってもらえたようだ。


「ほれ、できたぞ」


ガインから剣を手渡される。俺はその剣を手に取った。手にしっくりくる感触、まるで俺が使うために作られたような剣だ。


「感謝するぜ、爺さん」


「礼には及ばん。それよりもその剣を試してみろ」


俺は鞘から剣を抜いた。刀身は美しく光り輝き、俺の顔を鏡のように映している。軽く素振りをしてみたが、凄まじい切れ味だ。これならどんな魔物でも一刀両断できるだろう。


「この剣はワシの最高傑作じゃ。これほどの剣を打てたのなら本望じゃ」


「本当に素晴らしい剣です。ありがとうございます、ガインさん!」


「うむ、大切にするといい」


こうして俺たちは新たな武器を手に入れたのだった。





その後、俺たちはガインの工房を後にし、宿へと戻ることにした。


「まだちょっと冷えますね」


「そうだな、早く帰って温まろう」


俺たちは宿に向かって歩き出す。すると、突然フィーナが俺の腕に抱きついてきた。彼女の柔らかい胸が腕に当たってドキドキする。


「ど、どうしたんだ?」


「えへへ……カイト様と一緒にいたくて」


彼女は上目遣いで俺を見つめる。そんな目で見られたら断れるわけがないだろう。


「カイト様の手、温かいですね……!」


「そうか?」


「はい、とっても」


フィーナは頰を赤らめながら微笑む。俺もなんだか照れくさくなってきた。


「二人は仲が良いんだねー」


アイシャがそんなことを言ってくる。確かに俺とフィーナの仲は良好だが、それを言われると少し恥ずかしいな。


「ああ、俺たちは大切な仲間だからな」


「えへへ……カイト様……♡」


フィーナは嬉しそうにしている。こうしてフィーナと手を繋ぎながら宿へと戻ったのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜

むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。 幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。 そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。 故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。 自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。 だが、エアルは知らない。 ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。 遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。 これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。

俺は何処にでもいる冒険者なのだが、転生者と名乗る馬鹿に遭遇した。俺は最強だ? その程度で最強は無いだろうよ などのファンタジー短編集

にがりの少なかった豆腐
ファンタジー
私が過去に投稿していたファンタジーの短編集です 再投稿に当たり、加筆修正しています 収録作品 ①俺は何処にでもいる冒険者なのだが、転生者と名乗る馬鹿に遭遇した。俺は最強だ? その程度で最強は無いだろうよ ②自分勝手な弟が『ざまぁ』スキルを手に入れた!? ヤバイざまぁされる!?と思っていたら、どうも様子がおかしい ③ハブられ勇者の付き人やってます 別の場所に旅立った屑王子の体が、いつの間にか魔王に乗っ取られているんだが、どう言うことなんだ? ④誰でも最強になれるゲームの世界に転移したんだが、色々あって転移した先が修羅の世界になるかもしれない とりあえずこの4作になります

勇者パーティを追放された万能勇者、魔王のもとで働く事を決意する~おかしな魔王とおかしな部下と管理職~

龍央
ファンタジー
ある日突然、同じパーティメンバーのルイン達から追放される万能勇者であるカーライル。 勇者である自分がいなくてなにが勇者パーティか!? という叫びを飲み込み、国外へ出る事を決意する。 求人募集の情報を集めて、いざ魔王国へ……。 は!? なんで魔王がブーメランパンツなんだ!? 部下として紹介された女魔族は、窓から入って来たりと、頭のネジが何本か抜けてるような奴だし……。 仕方なく仕事を始めたら、おかしな魔物もいて……どれだけ突っ込んでも突っ込み切れねぇ! 何でもできる万能勇者、カーライルが、おかしな魔族とおかしな仕事をするお話。 おかしな魔王達とギャグを交わしつつ、魔王国でお仕事をするお話です。 カーライルとは別視点のお話もあります。 1話1500文字前後で投稿致します。 投稿スケジュールに関しましては、近況ボードをご覧ください。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも投稿しております。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

追放された最弱ハンター、最強を目指して本気出す〜実は【伝説の魔獣王】と魔法で【融合】してるので無双はじめたら、元仲間が落ちぶれていきました〜

里海慧
ファンタジー
「カイト、お前さぁ、もういらないわ」  魔力がほぼない最低ランクの最弱ハンターと罵られ、パーティーから追放されてしまったカイト。  実は、唯一使えた魔法で伝説の魔獣王リュカオンと融合していた。カイトの実力はSSSランクだったが、魔獣王と融合してると言っても信じてもらえなくて、サポートに徹していたのだ。  追放の際のあまりにもひどい仕打ちに吹っ切れたカイトは、これからは誰にも何も奪われないように、最強のハンターになると決意する。  魔獣を討伐しまくり、様々な人たちから認められていくカイト。  途中で追放されたり、裏切られたり、そんな同じ境遇の者が仲間になって、ハンターライフをより満喫していた。  一方、カイトを追放したミリオンたちは、Sランクパーティーの座からあっという間に転げ落ちていき、最後には盛大に自滅してゆくのだった。 ※ヒロインの登場は遅めです。

【 異能の転生者 】勇者への道、救世主への道、英雄への道……

異能な転生者
ファンタジー
プロローグを新しく書き加えています 主人公の心情を知ってもらうため、言葉よりも説明の方が長くなっております。 主人公が前世と同じ生き方をしたくないから目の前のことを解決してたら救世主って… 1人の若者が成長していく物語です。 主人公のクリスは小さい頃、ある事件がきっかけで前世の記憶と能力を取り戻します。 前世では何も分からずに戦争に参戦しますが魔力を使い果たして死んでしまいます。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お読みくださりありがとうございます。 感想、ブックマーク、評価も、ありがとうございます。 ほんとうに励みになっています。

大賢者の遺物を手に入れた俺は、権力者に屈せず好きに生きることに決めた

まるせい
ファンタジー
一年に一度開くダンジョンの入口、そこは犯罪者を処理するための場所だった。 無実の罪で【深淵ダンジョン】へと放り込まれたピートは、ひょんなことから【大賢者の遺物】を発見する。 「大賢者のローブ」「破邪の杖」「亜空間の腕輪」「大賢者のサークレット」 ローブはすべての属性魔法を吸収し魔力に換える 杖は本来の1/10の魔力で10倍の威力の魔法を使える 腕輪は亜空間に繋がっていてアイテムを取り出せる サークレットは大賢者が使えたすべての魔法を引き出せる 一つだけでも人生を千回遊んで暮らせる神器(アーティファクト)が四つも手に入った。 前人未踏で生還率ゼロの【深淵ダンジョン】。そこからピートの快進撃が始まった。 セルフレイティングは保険も兼ねています。やりすぎない程度に性描写も入れたいと考えてます。

トップ冒険者の付与師、「もう不要」と言われ解雇。トップ2のパーティーに入り現実を知った。

ファンタジー
そこは、ダンジョンと呼ばれる地下迷宮を舞台にモンスターと人間が暮らす世界。 冒険者と呼ばれる、ダンジョン攻略とモンスター討伐を生業として者達がいる。 その中で、常にトップの成績を残している冒険者達がいた。 その内の一人である、付与師という少し特殊な職業を持つ、ライドという青年がいる。 ある日、ライドはその冒険者パーティーから、攻略が上手くいかない事を理由に、「もう不要」と言われ解雇された。 新しいパーティーを見つけるか、入るなりするため、冒険者ギルドに相談。 いつもお世話になっている受付嬢の助言によって、トップ2の冒険者パーティーに参加することになった。 これまでとの扱いの違いに戸惑うライド。 そして、この出来事を通して、本当の現実を知っていく。 そんな物語です。 多分それほど長くなる内容ではないと思うので、短編に設定しました。 内容としては、ざまぁ系になると思います。 気軽に読める内容だと思うので、ぜひ読んでやってください。

処理中です...