5 / 20
5
しおりを挟む
翌日、俺たちはギルドで依頼を探す。
「何かいい依頼はありましたか?」
「ああ、あったぞ」
俺は掲示板から依頼書を剥がして、フィーナに見せた。
「ワイルドボアの討伐ですか……」
「そうだ。ワイルドボアの牙を5本持ってくれば依頼達成だ」
「分かりました。早速行きましょう!」
俺たちは受付に依頼書を持っていき、依頼を受けた。そして街を出て、ワイルドボアの生息地へと向かう。
「いたぞ……あれがワイルドボアだ」
草原を歩いていると、イノシシ型の魔物が群れを成して移動しているのが見えた。
「まずは俺が手本を見せるよ。俺の動きをよく見るんだ」
剣に魔力を流して、圧縮させる。振る瞬間に増幅させるイメージで発散させる。
「はあっ!」
剣を振ると、圧縮した魔力が斬撃となって飛んでいき、ワイルドボアの胴体を真っ二つに切り裂いた。
「す……すごいです!」
フィーナは驚きのあまり目を見開いている。
「と、まあこんな感じだ。簡単だろ?」
「い、一体どうすればそんなことができるのですか……」
「コツは肩の力を抜いて、魔力の圧縮を意識することだ」
「こ、こうですか?」
フィーナが剣をぶんぶんと腕を振り回すが、一向に斬撃は出ない。
「もう少し肩の力を抜け……それで魔力の圧縮を意識して剣を振れば斬撃が出せるはずだ」
「はい……」
フィーナはアドバイス通りに剣を振った。すると先ほどよりも威力は弱いが、斬撃が出たのであった。
「で、出ましたっ!」
「よし、その感覚を忘れるな」
一度の成功体験は大きい。フィーナはコツを掴んだのか、次々と斬撃を繰り出すことができた。
「今度は一人でやってみようか」
「は、はい……」
フィーナは剣を構えて、ワイルドボアに狙いを定める。そして勢いよく剣を振るとーーー斬撃が出たのであった。
「や、やった! できました!」
「よくやったな」
俺はフィーナの頭を撫でた。彼女は嬉しそうに頬を緩ませている。
「あと一体で依頼達成だな」
「はい!」
もし万が一何か危ないことがあれば助けるつもりだったのだが、今のところ無事に依頼を終えられそうだ。その時ーーー
「グォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」
大型の空飛ぶ魔物がこちらに急接近してきた。
「あれはワイバーンだな……」
「……そんな……どうしましょう!?」
「どうするって、倒すしかないだろ」
「だ、大丈夫なんですか!?」
「今のお前なら大丈夫だ」
「も、もしかしてあれを倒すのは私なんですか!?」
「その通りだ。さっきと同じようにやれば倒せるはずだ」
「む、無理! 絶対無理です!」
「騙されたと思ってやってみろ。危なくなったら助けてやるから」
「は、はい……カイト様がそう言うなら……」
フィーナはワイバーンに向かって剣を構える。俺はいつでも助けられるよう、待機している。
「やあああっ!」
フィーナが雄叫びを上げながら、勢いよく剣を振る。
「グォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」
ワイバーンはフィーナを睨み、灼熱のブレスを吐き出した。
ズドォオオオオオオオオッ————!!
ブレスと斬撃が衝突するが、斬撃はブレスを斬り裂き、ワイバーンに向かって一直線で飛んでいく。
ズバァアアアアアアアアッ————!!
斬撃はワイバーンを真っ二つし、切り口から血を吹き出したワイバーンはそのまま落下した。
「はあっ……はあっ……」
「よくやったな! 俺の見込み通りだった!」
俺はフィーナの頭をガシガシと撫で回した。彼女は照れ臭そうにしながらも、嬉しそうにしている。
「じ、自分で言うのも何ですけど……私強くなれました……!」
フィーナは自信をつけたのか、今までよりも更にやる気に満ち溢れている様子だ。俺は彼女の成長が見れて嬉しく思ったのだった。
「魔物も片付いたことだし、街に戻るか」
俺はアイテムボックスにワイバーンを収納し、フィーナと街へと戻るのであった。
「何かいい依頼はありましたか?」
「ああ、あったぞ」
俺は掲示板から依頼書を剥がして、フィーナに見せた。
「ワイルドボアの討伐ですか……」
「そうだ。ワイルドボアの牙を5本持ってくれば依頼達成だ」
「分かりました。早速行きましょう!」
俺たちは受付に依頼書を持っていき、依頼を受けた。そして街を出て、ワイルドボアの生息地へと向かう。
「いたぞ……あれがワイルドボアだ」
草原を歩いていると、イノシシ型の魔物が群れを成して移動しているのが見えた。
「まずは俺が手本を見せるよ。俺の動きをよく見るんだ」
剣に魔力を流して、圧縮させる。振る瞬間に増幅させるイメージで発散させる。
「はあっ!」
剣を振ると、圧縮した魔力が斬撃となって飛んでいき、ワイルドボアの胴体を真っ二つに切り裂いた。
「す……すごいです!」
フィーナは驚きのあまり目を見開いている。
「と、まあこんな感じだ。簡単だろ?」
「い、一体どうすればそんなことができるのですか……」
「コツは肩の力を抜いて、魔力の圧縮を意識することだ」
「こ、こうですか?」
フィーナが剣をぶんぶんと腕を振り回すが、一向に斬撃は出ない。
「もう少し肩の力を抜け……それで魔力の圧縮を意識して剣を振れば斬撃が出せるはずだ」
「はい……」
フィーナはアドバイス通りに剣を振った。すると先ほどよりも威力は弱いが、斬撃が出たのであった。
「で、出ましたっ!」
「よし、その感覚を忘れるな」
一度の成功体験は大きい。フィーナはコツを掴んだのか、次々と斬撃を繰り出すことができた。
「今度は一人でやってみようか」
「は、はい……」
フィーナは剣を構えて、ワイルドボアに狙いを定める。そして勢いよく剣を振るとーーー斬撃が出たのであった。
「や、やった! できました!」
「よくやったな」
俺はフィーナの頭を撫でた。彼女は嬉しそうに頬を緩ませている。
「あと一体で依頼達成だな」
「はい!」
もし万が一何か危ないことがあれば助けるつもりだったのだが、今のところ無事に依頼を終えられそうだ。その時ーーー
「グォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」
大型の空飛ぶ魔物がこちらに急接近してきた。
「あれはワイバーンだな……」
「……そんな……どうしましょう!?」
「どうするって、倒すしかないだろ」
「だ、大丈夫なんですか!?」
「今のお前なら大丈夫だ」
「も、もしかしてあれを倒すのは私なんですか!?」
「その通りだ。さっきと同じようにやれば倒せるはずだ」
「む、無理! 絶対無理です!」
「騙されたと思ってやってみろ。危なくなったら助けてやるから」
「は、はい……カイト様がそう言うなら……」
フィーナはワイバーンに向かって剣を構える。俺はいつでも助けられるよう、待機している。
「やあああっ!」
フィーナが雄叫びを上げながら、勢いよく剣を振る。
「グォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」
ワイバーンはフィーナを睨み、灼熱のブレスを吐き出した。
ズドォオオオオオオオオッ————!!
ブレスと斬撃が衝突するが、斬撃はブレスを斬り裂き、ワイバーンに向かって一直線で飛んでいく。
ズバァアアアアアアアアッ————!!
斬撃はワイバーンを真っ二つし、切り口から血を吹き出したワイバーンはそのまま落下した。
「はあっ……はあっ……」
「よくやったな! 俺の見込み通りだった!」
俺はフィーナの頭をガシガシと撫で回した。彼女は照れ臭そうにしながらも、嬉しそうにしている。
「じ、自分で言うのも何ですけど……私強くなれました……!」
フィーナは自信をつけたのか、今までよりも更にやる気に満ち溢れている様子だ。俺は彼女の成長が見れて嬉しく思ったのだった。
「魔物も片付いたことだし、街に戻るか」
俺はアイテムボックスにワイバーンを収納し、フィーナと街へと戻るのであった。
1
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
「おっさんはいらない」とパーティーを追放された魔導師は若返り、最強の大賢者となる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~
平山和人
ファンタジー
かつては伝説の魔法使いと謳われたアークは中年となり、衰えた存在になった。
ある日、所属していたパーティーのリーダーから「老いさらばえたおっさんは必要ない」とパーティーを追い出される。
身も心も疲弊したアークは、辺境の地と拠点を移し、自給自足のスローライフを送っていた。
そんなある日、森の中で呪いをかけられた瀕死のフェニックスを発見し、これを助ける。
フェニックスはお礼に、アークを若返らせてくれるのだった。若返ったおかげで、全盛期以上の力を手に入れたアークは、史上最強の大賢者となる。
一方アークを追放したパーティーはアークを失ったことで、没落の道を辿ることになる。
弓使いの成り上がり~「弓なんて役に立たない」と追放された弓使いは実は最強の狙撃手でした~
平山和人
ファンタジー
弓使いのカイトはSランクパーティー【黄金の獅子王】から、弓使いなんて役立たずと追放される。
しかし、彼らは気づいてなかった。カイトの狙撃がパーティーの危機をいくつも救った来たことに、カイトの狙撃が世界最強レベルだということに。
パーティーを追放されたカイトは自らも自覚していない狙撃で魔物を倒し、美少女から惚れられ、やがて最強の狙撃手として世界中に名を轟かせていくことになる。
一方、カイトを失った【黄金の獅子王】は没落の道を歩むことになるのであった。
追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました
遥 かずら
ファンタジー
冒険者ギルドに所属しているエンジは剣と魔法の才能が無く、文字を書くことだけが取り柄であった。落ちこぼれスキル【転写】を使いギルド帳の筆記作業で生計を立てていた。そんなある日、立ち寄った勇者パーティーの貴重な古代書を間違って書き写してしまい、盗人扱いされ、勇者によってギルドから追放されてしまう。
追放されたエンジは、【転写】スキルが、物やスキル、ステータスや魔法に至るまで何でも【コピー】できるほどに極められていることに気が付く。
やがて彼は【コピー】マスターと呼ばれ、世界最強の冒険者となっていくのであった。
優秀すぎた俺が隠居生活を決め込んだ結果。〜鍛治とポーション作りを始めたら、思っていたのとは違う方向に注目を集めてしまっていたらしい〜
カミキリ虫
ファンタジー
冒険者になり、その優秀さを遺憾無く発揮していた主人公、エディ。
それ故に、完全に俗世では浮いてしまっていた。
やることなすこと、注目の的になり、まるで彼を中心に世界が回っているかのようだった。
そんな彼は休養を兼ねて、昔住んでいた山奥の家に帰ることにした。
しばらく畑で作物でも作りながら、一人でゆっくりと生活しよう。
……そう思っていても、彼のことを知っている者達が放っておくはずわけも無い。
次から次にやってくる、一癖も二癖も強い少女たち。翻弄される主人公。それきっかけで、他にやるべきことも見えた。
その結果、さらに彼を注目されることになり、そんな日々も悪くはないと、そう思うのだった。
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
パーティーから追放され婚約者を寝取られ家から勘当、の三拍子揃った元貴族は、いずれ竜をも倒す大英雄へ ~もはやマイナスからの成り上がり英雄譚~
一条おかゆ
ファンタジー
貴族の青年、イオは冒険者パーティーの中衛。
彼はレベルの低さゆえにパーティーを追放され、さらに婚約者を寝取られ、家からも追放されてしまう。
全てを失って悲しみに打ちひしがれるイオだったが、騎士学校時代の同級生、ベガに拾われる。
「──イオを勧誘しにきたんだ」
ベガと二人で新たなパーティーを組んだイオ。
ダンジョンへと向かい、そこで自身の本当の才能──『対人能力』に気が付いた。
そして心機一転。
「前よりも強いパーティーを作って、前よりも良い婚約者を貰って、前よりも格の高い家の者となる」
今までの全てを見返すことを目標に、彼は成り上がることを決意する。
これは、そんな英雄譚。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる