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「お前をパーティーから追放する」


何時ものように依頼をこなし、拠点とする屋敷に帰ると、リーダーのラインハルトから突然告げられたのはパーティーからの追放だった。


「……どうして俺が追放されるんだ?」


「お前は役立たずだからだ。俺たちの役にも立っていないし、戦闘では役に立つどころか足手まといになっている」


「そんな……俺は役に立っているはずだ。付与魔法で皆の武器に属性魔法を付与しているじゃないか」


「そんなもんポーションで代用できる。つまりパーティーにお前の居場所はないんだよ」


「そ、そんな……」


「これは決定事項だ。さっさと荷物をまとめて出ていけ」


「そうだ! とっとと出ていけよ!」


「そうだ! そうだ! お前はいらないんだよ!」


「お前にはうんざりなんだよ」


ラインハルトの言葉にパーティーメンバーが次々と同意していく。


「……わかった。今までありがとう……」


こうして俺はパーティーを追放されたのだった。





「……これからどうしよう……」


ラインハルト達に追放された俺は途方に暮れていた。俺がパーティーを追放されたことは今日中に広まるだろう。そうなると、俺は今後依頼を受けにくくなるし、収入もなくなってしまう。


「……とりあえず他の街に行こう。この街では俺はもう暮らせない」


とりあえず、他の街に行けばやり直すことはできるだろう。そう思った俺は荷造りをして街を出る準備を始めた。


「これで良し……」


暫くして、荷造りを終えた俺は王都を後にして、隣の街へと向かい始めた。


「きゃああああああああっ!」


暫くして、街道を歩いていると悲鳴が聞こえてきた。俺は悲鳴がした方に駆け出した。


「グオオオッ!」


するとそこには巨大な熊の魔物がいた。その魔物が鋭い爪で少女を切り裂こうとしているところだった。


「危ない!」


俺は慌てて、少女と魔物の間に割り込んだ。そして、腰に差した剣で熊の魔物の攻撃をいなした。


「ガアッ!?」


俺の攻撃が予想外だったのか、熊の魔物は大きく体勢を崩した。その隙に俺は少女に話しかけた。


「君! 大丈夫かい?」


「え? あ……はい……」


少女は突然現れた俺に困惑しているようだったが、今はそんなことを気にしている場合ではない。俺はすぐに熊の魔物に向き直った。


「グオオッ!」


熊の魔物が体勢を立て直し、再び俺に襲い掛かってきた。


「『身体強化』」


身体強化で強化された俺は、熊の魔物を迎え撃つ。


「ガアッ!」


熊の魔物は鋭い爪で切り裂こうとしてきたが、俺はそれを躱し、すれ違いざまに胴を切り裂いた。


「グオオッ……」


胴体から血を吹き出しながら熊の魔物は地面に倒れた。そしてそのまま動かなくなった。


「……大丈夫かい?」


俺が少女の方に振り向くと、少女はへたり込んでいた。怪我はしていないようだ。


「え? あ……はい」


少女は突然のことで困惑しているようだが、すぐに立ち直った。


「あの……助けていただいてありがとうございます」


少女はサラサラとした金髪に緑色の瞳をした美少女だった。身長は低く、肌は白く、まるで人形のような印象を受ける。


「……私は奴隷でした。……街が襲われて……両親は殺されました。私は奴隷商に捕まりました。隙を見て逃げ出したのですが、あの魔物に襲われて……」


少女は目に涙を浮かべながら話始めた。


「そうか……辛かっただろう。良かったら俺と一緒に来ないか?」


「え? よろしいのですか?」


俺が一緒に来ないかと言うと、少女は驚いた表情を浮かべた。


「ああ、丁度俺も一人だったんでな」


「ありがとうございます……私はエルナと申します」


少女はエルナと名乗った。どうやら彼女は貴族の娘だったらしい。道理で身なりが整っていたはずだ。


「俺はカイトだ。よろしくな」


こうして俺はエルナという美少女と知り合い、共に旅をすることになった。
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