婚約破棄された伯爵令嬢は錬金術師となり稼いだお金で男を買いあさります

19

それから数日が経ち、エレナちゃんのポーションの評判はどんどん広がっていった。今や彼女の作るポーションを求めてお客さんがやってくるほどだ。おかげで売り上げもどんどん伸びてきており、私も嬉しい限りである。


（このまま順調にいってくれれば……）


私は心の中でそう願った。エレナちゃんはどんどん成長しているし、ポーション作りにも慣れてきたようだ。きっと彼女は近いうちに一人前の調合師になれることだろう……。


「ノエルさん！ お客さんが来ました！」


そんなことを考えていると、エレナちゃんが私の元に駆け込んできた。その表情は明るい。どうやら新しいお客様が来たらしい。私たちは急いで準備を始めるのだった……。


（いらっしゃいませ……！）


元気よく挨拶しながら扉を開けると、そこにいたのは身なりの良い女性だった。年齢は20代後半といったところだろうか？ 女性は私たちを見ると、笑顔を浮かべて近づいてきた。


「あなたがノエルさん？」


女性が尋ねると、私は笑顔で答えた。


「はい！ 私です！」


私が返事をすると、彼女は安心したように息を吐いた。そして店内を見回しながら口を開く。


「ここは素敵なお店ね！ ポーションがたくさんあって見ているだけでも楽しいわ」


女性は店内を見渡しながら目を輝かせていた。どうやらかなり興味を持ってくれたようだ。私は心の中でガッツポーズをした。これはかなりの上客になるかもしれない……そう思ったからである。


（でも、まずはエレナちゃんのことを紹介しないとね……）


そう思って彼女の方に振り返ると、彼女は少し緊張した面持ちだった。初めてのお客さんということもあって緊張しているのだろう。私は優しく微笑むと、彼女の背中を押してあげた。


「エレナちゃん、ご挨拶して」


私が言うと、エレナちゃんは小さく頷いてから自己紹介を始めた。


「はい……！ 私の名前はエレナといいます！ よろしくお願いします！」


緊張しながらも一生懸命に話す様子は微笑ましくもありながら好感が持てるものだった。この調子で頑張ってほしいと思いながら見守っていると、女性も笑顔を浮かべて口を開く。


「私はアンネリーゼよ。よろしくね！」


そう言ってアンネリーゼさんは手を差し出してきた。それを見たエレナちゃんも嬉しそうに笑顔を浮かべると、握手を交わしたのだった……。


「今日はどんなポーションをお探しですか？」


私は二人に尋ねると、アンネリーゼさんは少し考える素振りを見せた後に口を開いた。


「そうね……。とりあえずこのお店にあるポーションを一通り見せてくれるかしら？」


彼女の言葉に私は頷きを返すと、そのまま案内を始めることにした。まずは一般的な回復ポーションが並ぶ棚に向かうことにする。体力回復は青色と緑色、魔力回復は赤色のポーションが並んでいるが、アンネリーゼさんは迷わずに緑色のポーションを手に取った。どうやら彼女は緑色が好きなのだろう。私はそれを見て嬉しくなった。


「こちらです！」


私が言うと、アンネリーゼさんは満足げに頷く。そしてそのまま次の棚へと向かっていった。


（次は体力回復かな……？）


私は心の中で推測しながら彼女を追いかけるのだった……。

それから私たちは次々とポーションを案内していったのだが、どのポーションも丁寧に見て回ってくれたためとても助かった。お客さんの中には商品を乱暴に扱って傷を付けてしまう人もいるし、中にはポーションを舐めて味を確かめようとする人もいたのだ。でもアンネリーゼさんはそんなことはなく、とても真剣に吟味してくれている様子だった。


（この人は信用できそうね……）


私は心の中でつぶやくと、思い切って話を切り出すことにした。


「実は私……最近新しい商品を開発したんです」


私がそう言うと、二人は同時にこちらを振り向いた。興味津々といった様子で目を輝かせているのが分かる。私は小さく笑うと言葉を続けた。


「それがこの『魔力回復ポーション』なんです！」


私が言うと、二人はさらに驚いた様子だった。アンネリーゼさんは感心したように頷くと口を開く。


「へぇ……！ なかなか興味深いわね！」


「はい……！ これは魔力と体力を同時に回復できるポーションなんです！ しかも疲労も解消することができますよ！」


私が説明すると、アンネリーゼさんは感心したように何度も頷いていた。その後ろではエレナちゃんもキラキラと目を輝かせているように見える。私は内心でガッツポーズをしたのだった……。


（やったわ……！ これでお客さんが増えればもっとたくさんのポーションが売れるかもしれない……！）


それから私たちは店内を歩き回りながら新しい商品について説明をしていった。アンネリーゼさんも興味深そうに聞いてくれており、時には質問したりもしていたほどだ。こうして私たちのポーションはさらに売り上げを伸ばしていったのである……。


（これからも頑張らないとね……！）


私は心の中で決意を固めると、笑顔で接客を続けるのだった……。