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翌日、私とカイトはポーションの素材を集めるために東の森へ行くことにした。森には魔物が出るため危険ではあるが、貴重な薬草が自生しているため、あえて行くことに決めたのだ。それに何かあったらカイトが守ってくれるだろうし。
「行くぞ」
「はい!」
私たちはいつものように手を繋ぐと、街を出て東の森へと向かったのだった。
「魔物は俺に任せて、ノエルは薬草の採取に集中しろ」
「分かりました!」
私たちは森の中を探索しながら薬草を探していく。目的の素材は森の奥にある洞窟に生えているのだが、魔物が出るのであまり奥まで入りたくないのだ。
(あ、あった!)
私は薬草を見つけると駆け寄って丁寧に摘んでいく。この辺りは比較的安全な場所なので安心して採取できるのがありがたいところだ。
「ふー……こんなものかな」
いつの間にか籠いっぱいになっていた薬草を見て満足していると、カイトが私の肩を叩いた。何かと思い振り返ると彼が大きな卵を抱えていた。
「なんですか、それ?」
「あっちで見つけた。これだけ大きけりゃ、でかい目玉焼きが作れるな」
カイトが嬉しそうに言うので思わず笑ってしまった。確かに見た目は鶏の卵に似ている気がするけど、食べられるのかな……?
「これ、持って帰るんですか……?」
私が尋ねるとカイトは当然だと言わんばかりに頷いた。せっかく見つけたのだから持って帰りたい気持ちも分かるけど、本当に大丈夫なのかな?
(まあ、美味しいかもしれないし……)
私はそう自分を納得させると籠の中に卵も入れた。それから薬草も集まったので家に帰ることにした。
「今日は卵尽くしだ」
卵を割ろうとした時、ひびが入り、中から一匹のトカゲがにゅっと顔を出してきた。
「きゃあっ!!」
私が悲鳴を上げると、トカゲは驚いたのかぴょんと飛び跳ねて卵の殻から飛び出した。
「こいつは飛竜だ。鶏の卵じゃなくて、ドラゴンの卵だったみたいだな」
カイトがトカゲを拾い上げるとまじまじと見つめながら言った。確かによく見ると翼があるし、目も爬虫類のようだ。
「珍しいですね……」
私が感心していると、トカゲはカイトの手からするりと抜け出すと私の肩に飛び乗ってきた。そしてすりすりと頬擦りをしてくるのでくすぐったい気持ちになった。どうやら懐かれてしまったらしい。
「ノエルを親だと思ってるみたいだな」
「あはは、可愛いですね!」
私がトカゲの頭を指で撫でていると、カイトが提案してきた。
「こいつをペットにしないか? 成長すれば便利な輸送手段になるぞ」
「いいかもしれませんね」
空を飛べるようになれば、行動範囲が広がる上に、危険も減るかもしれない。それに飛竜は知能が高く、人に慣れやすいと聞いたことがある。きっと役に立つはずだ。
「名前は何がいいと思いますか?」
私が尋ねるとカイトはしばらく考えた後、ぽつりと言った。
「名前はそうだな……ドランでどうだ?」
「ドランですか! いい名前ですね」
私はそう言うとトカゲ改めドランの頭を撫でた。すると嬉しそうに舌を出して喜んでいるように見えた。
「よろしくね、ドラン!」
こうして私たちの新しい家族ができたのだった。
「行くぞ」
「はい!」
私たちはいつものように手を繋ぐと、街を出て東の森へと向かったのだった。
「魔物は俺に任せて、ノエルは薬草の採取に集中しろ」
「分かりました!」
私たちは森の中を探索しながら薬草を探していく。目的の素材は森の奥にある洞窟に生えているのだが、魔物が出るのであまり奥まで入りたくないのだ。
(あ、あった!)
私は薬草を見つけると駆け寄って丁寧に摘んでいく。この辺りは比較的安全な場所なので安心して採取できるのがありがたいところだ。
「ふー……こんなものかな」
いつの間にか籠いっぱいになっていた薬草を見て満足していると、カイトが私の肩を叩いた。何かと思い振り返ると彼が大きな卵を抱えていた。
「なんですか、それ?」
「あっちで見つけた。これだけ大きけりゃ、でかい目玉焼きが作れるな」
カイトが嬉しそうに言うので思わず笑ってしまった。確かに見た目は鶏の卵に似ている気がするけど、食べられるのかな……?
「これ、持って帰るんですか……?」
私が尋ねるとカイトは当然だと言わんばかりに頷いた。せっかく見つけたのだから持って帰りたい気持ちも分かるけど、本当に大丈夫なのかな?
(まあ、美味しいかもしれないし……)
私はそう自分を納得させると籠の中に卵も入れた。それから薬草も集まったので家に帰ることにした。
「今日は卵尽くしだ」
卵を割ろうとした時、ひびが入り、中から一匹のトカゲがにゅっと顔を出してきた。
「きゃあっ!!」
私が悲鳴を上げると、トカゲは驚いたのかぴょんと飛び跳ねて卵の殻から飛び出した。
「こいつは飛竜だ。鶏の卵じゃなくて、ドラゴンの卵だったみたいだな」
カイトがトカゲを拾い上げるとまじまじと見つめながら言った。確かによく見ると翼があるし、目も爬虫類のようだ。
「珍しいですね……」
私が感心していると、トカゲはカイトの手からするりと抜け出すと私の肩に飛び乗ってきた。そしてすりすりと頬擦りをしてくるのでくすぐったい気持ちになった。どうやら懐かれてしまったらしい。
「ノエルを親だと思ってるみたいだな」
「あはは、可愛いですね!」
私がトカゲの頭を指で撫でていると、カイトが提案してきた。
「こいつをペットにしないか? 成長すれば便利な輸送手段になるぞ」
「いいかもしれませんね」
空を飛べるようになれば、行動範囲が広がる上に、危険も減るかもしれない。それに飛竜は知能が高く、人に慣れやすいと聞いたことがある。きっと役に立つはずだ。
「名前は何がいいと思いますか?」
私が尋ねるとカイトはしばらく考えた後、ぽつりと言った。
「名前はそうだな……ドランでどうだ?」
「ドランですか! いい名前ですね」
私はそう言うとトカゲ改めドランの頭を撫でた。すると嬉しそうに舌を出して喜んでいるように見えた。
「よろしくね、ドラン!」
こうして私たちの新しい家族ができたのだった。
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