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翌日、私はカイトを連れて王都の大通りにある商店街へと向かった。目的は彼の服を買うためである。


「ほら、行きますよ」


私が手を引くと彼は面倒くさそうにしながらもついてきた。だが一向に歩く気配がないので私が強引に連れていくことにする。そして一軒の洋服店に入ると、店主らしき女性が出迎えてくれた。


「いらっしゃいませお嬢様! お探しの品はございますか?」


「この人の服を一式見繕ってください!」


私はそう言ってカイトを前に押し出す。すると彼は不機嫌そうな顔をしながらも私を見て言った。


「服なんていらねぇぞ」


「あなた自分の格好を見てから言ってください。ボロボロじゃないですか」


私が指摘すると、彼は舌打ちをしながらそっぽを向く。


「お客様はどのようなお召し物がよろしいですか?」


「動きやすくて丈夫なもんなら何でもいい」


ぶっきらぼうに答える彼に私は呆れながらも答えた。


「とりあえずサイズを測ってもらってください。その後、試着室でご自身に合った服を選んでください」


それから数分後、彼はサイズのあった服を試着室の中で着ていた。そして私のところに来て一言告げる。


「……動きやすいな」


どうやら気に入ったらしい。店主は彼の身体に合わせて何点かの服を選んでくれたので、それを購入すると次は武器屋へと向かった。


「いらっしゃい」


扉を開けると体格の良い男性店主が出迎えてくれる。店内に入ると私はガイルに問いかけた。


「何か使ってみたい武器とかあります?」


「……何でもいい」


ぶっきらぼうに答える彼に私は頭を悩ませた。そしてしばらく考えた後、とある武器を勧めてみることにした。


「じゃあこれなんてどうです?」


私が差し出したのは小型のナイフだった。刃渡り20センチほどのナイフは、殺傷能力こそ低いものの携帯性と切れ味に関しては折り紙付きだ。


「しょぼい武器だな」


「でも護身用には最適ですよ?」


そう言って私は店主にナイフの代金を支払うと、そのまま彼に渡した。


「持ってみてください。案外使いやすいかもしれませんよ」


彼は私からナイフを受け取ると、それを何度か振ってみる。そして満足げな表情をしたかと思うと私に返してきた。


「悪くないな」


どうやらお気に召したらしい。


「じゃあこれも買いましょう」


そう言って私は彼の装備一式を買い揃えることにした。一通り買い終えると、レストランで食事をとることにする。


「さぁ、好きなものを頼んでください」


私がメニュー表を渡すと、彼はじっくりと吟味して注文を決めた。そして料理が運ばれてくるまでの間、雑談に花を咲かせることにした。


「カイトはどうして奴隷になったんですか?」


私が何気なく聞いてみると、彼は苦々しい顔をして答えた。


「親父と母親が借金をしてな。それで俺が売られたんだ」


「ご両親は今どうしているのですか?」


私がそう聞くと、彼は首を横に振った。


「知らねぇ」


どうやら死んでしまったようだ。私はそれ以上聞くのをやめると、話題を変えることにした。そして料理が運ばれてきたので食べ始めると、彼も渋々といった様子で口に運ぶ。どうやら味はお気に召したらしい。次々と皿を空にしていく姿を見て少し嬉しくなった。


(なんだか弟ができたみたい)


そんなことを考えているうちに食事を終えてしまった私達は、家に帰ることにした。


「明日からバリバリ働いてもらいますよ」


「めんどくせぇ」


「働かざる者食うべからずですよ!」


私がそう言うと、彼は面倒くさそうにしながらも受け入れてくれた。そんな様子に思わず微笑んでしまう。


(これから楽しくなりそう)


私はそんなことを思いながら家路につくのだった。
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