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お風呂からあがった後、カイトに新しい服を着せると、今度は食事を用意した。


「はいどうぞ、召し上がれ」


彼が椅子に腰掛けると目の前に料理を並べていく。すると彼は眉間にシワを寄せて聞いてきた。


「これは何だ?」


「私が作った特製ハンバーグです」


「……初めて見るな」


どうやらハンバーグを知らないらしい。まぁ平民なら当然だろうと思い、私はナイフで一口サイズに切り分けて口に運ぶと彼に見せた。そして感想を促すように聞いてみる。


「美味しいですよ?」


そう言うと彼は恐る恐るハンバーグを口に運んだ。そして咀嚼すると目を見開く。


「……美味い」


どうやら気に入ったらしい。どんどんとハンバーグを食べ進めていく様子を見て、私は満足げな笑みを浮かべた。

それから彼は凄まじいスピードで食べ進めるとあっという間に完食してしまった。よほど美味しかったのだろう。おかわりが欲しそうな目でこちらを見てきたので、私は笑顔で応えた。


「まだまだありますよ」


そう言うと彼は再び食べ始めるのだった。


「美味いな」


彼はそう呟くと、あっという間に皿を空にした。よほどお腹が空いていたのだろう。


「満足していただけて何よりです」


私はそう言いながらお皿を下げていく。


「もう終わりか?」


「はい、今日のところは。また今度ご馳走してあげますよ」


「そうか」


彼は短く応えるとそのままソファーに寝転がった。そして目を閉じて動かなくなる。私は彼を揺さぶって問いかけた。


「まだ寝るには早いですよ? まだやることがあるんですから。お洋服のお買い物とか、武器のお買い物とか……」


「面倒くせぇ」


どうやら動くつもりはないらしい。仕方ないので私は彼を寝かせることにした。本当は寝室へ運んであげたいけど、身長差がかなりあるため無理だと判断したのだ。だから仕方なくソファで寝かせてあげることにする。でもせめて毛布くらいはかけてあげようと思い、彼の上からそっとかけてあげた。


「お休みなさい」


そして私は部屋から出るとドアを閉めた。


「さてと、お薬作らなきゃいけませんね」


工房室に向かうと、私は彼の傷を治す薬を作ることにした。


「材料は、マンドラゴラの根と、治癒の霊薬と、キマイラの血……」


私はアイテムボックスから材料を取り出して、鍋の中に入れて火にかけた。そしてゆっくりとかき混ぜながら煮込んでいく。そして1時間ほど煮込むと、鮮やかな青い液体が出来た。私はそれを小瓶に注いで蓋をした。


「よくできたわね。さすが私」


私は出来上がった薬を持ってカイトの元へ向かった。


「お待たせしました」


私が部屋に戻ると、彼はソファに横になって眠っていた。余程疲れていたのか、起きる気配がない。私はそんな彼の体にそっと薬をかけてあげた。するとたちまち傷が癒えていき、傷跡が消えていく。しかしそれは一瞬で終わってしまったため、彼には分からなかったようだ。


「……なんだ?」


彼はゆっくりと起き上がって自分の体を確認するが、何も異常がないことが分かると再び横になる。


「治ってよかったですね」


「あぁ」


それだけ言うと彼は眠りについてしまった。私は彼の寝顔を見てクスッと笑う。そして毛布をかけてあげると、起こさないようにそっと部屋を出たのだった。
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