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陽だまりに染まる庭で、犬たちは思い思いの場所で昼寝を楽しんでいた。クロエが犬舎から姿を見せると、歓びの声を上げて駆け寄るもの、穏やかに尻尾を振るものと、それぞれの方法で彼女を迎えた。


「よしよし、いい子ね」


クロエは微笑みながら一匹ずつ丁寧に頭を撫でていく。犬たちは心地よさそうに目を細めるとその場にぺたりと座り込んだり尻尾を振ったりした。その様子はとても愛らしく、見ているだけで心が和んだ。


「さて……次は少し散歩でもしましょうか」


クロエがそう告げると、犬たちは一斉に立ち上がり喜びの声を上げた。まるでその言葉を待っていたかのようだ。彼女はそんな犬たちの様子を見て思わず微笑んだ。そしてゆっくりと歩き出すと庭の中を歩き始めた。足元では柔らかい芝の感触と温かい日差しが心地よい。犬たちもクロエの後をついて回りながら楽しそうに跳ね回ったり匂いを嗅いだりと忙しなく動き回っていた。


「お嬢様、こちらへどうぞ」


不意に後ろから声をかけられ振り向くと、そこにはロザリーの姿があった。彼女は微笑みながら手招きをしている。その手には小さなバスケットが握られていた。


「……それは?」


クロエは首を傾げながら近づいていく。すると彼女は笑顔で答えた後、その場に腰を下ろした。そしてバスケットを開けると中からサンドイッチを取り出した。


「少し小腹が空いていらっしゃるかと思いまして……。簡単なものですが、よろしかったらどうぞ」


その言葉を聞いた瞬間、クロエの顔がぱっと明るくなった。彼女はロザリーの隣に腰掛けるとサンドイッチを一つ手に取って口に運んだ。ハムとチーズの風味が広がり、とても美味しかった。思わず笑顔になる彼女を見てロザリーも嬉しそうに微笑んだ。


「美味しいです!」


「それは良かったですわ」


二人は顔を見合わせて笑った。穏やかな時間が流れていく中、ふとロザリーは思い出したように口を開いた。


「そういえば……お嬢様、最近ラインハルト殿下と何かあったのですか?」


その言葉にクロエはサンドイッチを口に運ぶ手を止めた。彼女は少し沈黙した後、ゆっくりと話し出した。


「……実は、そのことでロザリーさんに相談があるんです」


「私にできることであれば何でも仰ってくださいな」


その言葉を聞いた瞬間、クロエの表情が明るくなった。そして意を決したかのように語り始めた。


「実は私……最近ラインハルト殿下のことが気になって仕方がないのです」


彼女の言葉にロザリーは驚きの表情を見せたが、すぐに微笑みを浮かべた。そして優しく問いかける。


「それは一体どのような意味で?」


その言葉にクロエは少し躊躇したが、やがて小さく首を振った。その表情には微かな決意の色が浮かんでいるように見えた。


「……わかりません」


「わからない……とは?」ロザリーは首を傾げる。その様子にクロエは小さく溜息をついた後、静かに語り始めた。


「最初はただ憧れているだけだと思っていました。でも、最近になってそれが違うことに気づいたんです」


その言葉を聞いた瞬間、ロザリーは息を呑んだがすぐに平静を取り戻すと静かに耳を傾ける姿勢を取った。彼女は黙って頷き、続きを促した。その表情には困惑の色が滲んでいた。


「……それは本当でしょうか?」ロザリーは恐る恐る問いかける。その言葉にクロエは一瞬躊躇したが、やがて小さく頷いた。その瞳には決意の色が見える。


「はい……私はラインハルト殿下に恋をしているのかもしれません」


その言葉を聞いた瞬間、ロザリーは思わず息を飲んだ。しかしすぐに冷静さを取り戻すとゆっくりと口を開いた。


「……それは本当ですか?」


その問いにクロエは微かに頰を赤らめながら答えた。その表情からは恥じらいと不安が見て取れる。


「はい……でも、もしこの気持ちが叶わぬものだったらと思うと……」クロエの声は次第に小さくなっていく。その様子を見てロザリーは優しく微笑んだ。そして静かに語りかける。


「……大丈夫ですよ、お嬢様ならきっとうまくやれます」その言葉にクロエは小さく頷いた。その表情には微かな希望の光が見える。


「ありがとうございます、ロザリーさん」


そう言うと彼女はゆっくりと立ち上がった。その瞳には決意の色が浮かんでいるようにも見える。その様子を見守っていたロザリーもまた立ち上がると言った。


「さあ、散歩を続けましょうか」その言葉にクロエは小さく微笑んだ。そして二人はゆっくりと歩き出すと庭の中を歩き始めた。足元では柔らかい芝の感触と温かい日差しが心地よい。犬たちもクロエの後をついて回りながら楽しそうに跳ね回ったり匂いを嗅いだりと忙しなく動き回っていた。その様子はまるで子犬のように愛らしいものだった。
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