「お前のような奴とは結婚できない」と婚約破棄されたので飛び降りましたが、国を救った英雄に求婚されました

17

翌日、私は元気いっぱいに学校へ登校しました。教室に入ると、カイト様が私に気づいて手を振ってくれました。


「おはよう、フィーナ」


私も笑顔で挨拶を返します。


「おはようございます、カイト様。昨日はありがとうございました」


すると彼は優しい目で言いました。


「こちらこそありがとう。君と一緒に料理ができて楽しかったよ」


そんなやり取りをしていると、先生が教室に入ってきて授業が始まりました。今日の内容は魔法の歴史についてでしたが、私はあまり興味を持てませんでした。でも、カイト様は熱心に先生の話を聞いていて、その姿を見ていると私もやる気が出てきました。


「フィーナ、この問題を解けるかな？」


先生が私を指名しました。私は席を立ち、自信満々で答えを口にします。


「はい！ 答えは……」


私の解答を聞いた先生は満足そうに頷きました。授業が終わると、私はカイト様の元へ向かいました。


「カイト様、今日の歴史の授業は理解できましたか？」


彼は微笑みながら答えます。


「うん、とても興味深かったよ」


その一言だけでも私は嬉しくなりました。それから私たちは食堂でお昼ご飯を済ませ、午後の授業も受けました。そして放課後になりました。


「カイト様、一緒に帰りましょう！」


私が誘うと、彼は笑顔で了承してくれました。二人で森の小道を歩いている途中、私はふと思い立って彼に頼み事をすることにしました。


「あの……お願いがあるんですが……」


すると彼は少し驚いたような顔をして言いました。


「もちろんだよ、フィーナ」


彼は快諾してくれましたが、本当に無理を言っていないか心配でした。それでも勇気を出して続けたのです。


「今度の日曜日、カイト様とデートがしたいです！」


私は緊張しながら言いました。すると彼は少し考え込んでから答えました。


「わかった、いいよ。でも、どこに行こうか？」


私は嬉しくなって飛び跳ねそうになりながら言いました。


「ありがとうございます！ 実は行きたいところがあるんです」


それから私たちは計画を立てながら家路につきました。帰り道では他愛もない話をしていましたが、私の心の中では期待と不安が入り混じっていました。そしてついに約束の日がやってきました。私は早起きをして身支度を整えます。今日のためにおしゃれをしてきたので、いつもよりも自信があります。そして待ち合わせの場所に行くと、すでにカイト様が待っていました。


「おはようございます、カイト様！」


私が挨拶すると彼は微笑みました。


「おはようフィーナ、今日も綺麗だね」


その言葉を聞くと胸が高鳴ります。私は恥ずかしさを隠すように慌てて歩き始めました。


「そ、それじゃあ行きましょう！早くしないと混んじゃいますよ？」


私たちは手を繋ぎながら街の中を歩いていきました。最初に訪れたのは映画館です。新作の映画が上映されていて、観たいと思っていた作品だったので迷わずチケットを購入しました。


「楽しみだね、フィーナ」


カイト様が微笑んで言いました。私も笑顔で答えます。


「はい！とっても楽しみです！」


映画館の中に入ると、ポップコーンやジュースの香りが漂ってきます。私たちはそれぞれ好みの味を選びながら席につきました。


「始まるまであと30分くらいですね」


私が時計を見ながら呟くと、カイト様も頷きました。そして少し沈黙が続いた後、カイト様が口を開きました。


「フィーナ、こんなこと言うのはちょっと恥ずかしいけど……今日、君と一緒にいることが本当に嬉しいんだ」


彼の真剣な眼差しに、私は顔が赤くなるのを感じました。


「私も同じです、カイト様。今日はとても楽しみにしていました」


その時、劇場の照明が徐々に暗くなり、映画が始まることを告げる音楽が流れ始めました。私たちは静かにスクリーンに注目し、物語に引き込まれていきました。


映画が終わった後、私たちは外に出て明るい陽射しを浴びました。映画の話で盛り上がりながら、次の目的地へ向かうことにしました。


「次はどこに行くの？」とカイト様が尋ねます。


「実は近くに新しいカフェがオープンしたんです。そこに行ってみませんか？」


「いいね、行ってみよう」と彼は微笑みました。


カフェに到着すると、かわいらしい外観と香ばしいコーヒーの香りが出迎えてくれました。店内は落ち着いた雰囲気で、私たちは窓際の席に座りました。


「何にする？」カイト様がメニューを見ながら尋ねます。


「うーん、私はこのチョコレートケーキが気になります」と私はメニューを指差しながら言いました。


「じゃあ、僕はベリータルトにしようかな」


注文を終えた後、私たちは再び話し始めました。学校のこと、友達のこと、将来の夢……話題は尽きることなく続きました。


「フィーナ、将来はどんな魔法使いになりたい？」とカイト様が真剣な表情で尋ねました。


「私は……たくさんの人を助けられる魔法使いになりたいです。カイト様は？」


「僕も同じだよ。君と一緒にたくさんの人を助けることができたら素敵だね」


その言葉に、私は胸が温かくなりました。お互いに夢を語り合うことで、ますます彼との絆が深まっていくのを感じました。


注文したケーキとタルトが運ばれてきて、私たちは美味しそうなデザートに目を輝かせました。


「いただきます！」


一口食べると、甘さと幸せが口いっぱいに広がりました。カイト様も満足そうに微笑んでいました。


その後、私たちは街を散策しながら、いろんな店を覗いたり、小さな公園で休憩したりしました。時間が経つのを忘れるほど、楽しいひとときでした。


「今日は本当に楽しかったです、カイト様」と夕暮れ時に私は言いました。


「僕もだよ、フィーナ。ありがとう、素敵な一日を過ごせた」と彼が答えました。


「また一緒に出かけましょうね」


「もちろんだよ」


私たちは手を繋ぎながら、帰り道を歩きました。心の中に温かい感情が広がり、この日が特別な思い出となることを確信しました。