「お前のような奴とは結婚できない」と婚約破棄されたので飛び降りましたが、国を救った英雄に求婚されました

8

昼休み、私はカイト様とリリアさんと一緒に食堂へ向かうことにした。食堂はたくさんの生徒で賑わっていて、とても賑やかだった。メニューを見ると美味しそうな料理がたくさん並んでいて目移りしてしまうほどだった。どれを頼もうか迷っているとカイト様が話しかけてきた。


「フィーナはどれを食べるつもりなんだい？」


「えっと……どれも美味しそうだから迷っちゃいますね」


私が悩んでいるとリリアさんが笑いながら言った。


「ふふ、なら全部頼んでシェアすればいいじゃない！」


確かにそれなら色んな味が楽しめてお得かも！ そう思った私は早速注文することにした。


「じゃあまずはサラダとスープを頼んでみます」


私がそう言うとカイト様も続いて言った。


「俺は日替わり定食にしてみるよ」


「じゃあ私は焼き魚定食にするわ」


こうして私たちはそれぞれ注文を済ませると席についた。そしてしばらくすると料理が運ばれてくる。どれもとても美味しそうで食べるのが楽しみだ。さっそく食べようかと思ったその時、カイト様が話しかけてきた。


「フィーナ、口を開けてごらん？」


突然そんなことを言われて驚いたものの素直に口を開ける私。すると口の中に何かが入ってきたのが分かった。驚いて口を閉じようとするもカイト様の指で阻止されてしまう。そのまま押し込まれた何かを飲み込むしかなかった私だが、それが何なのかはすぐに分かった。それはカイト様が注文した定食のおかずだったのだ。


「美味しいかい？」


そう聞かれて私は素直に感想を述べることにする。


「はい、とっても美味しいです」


それを聞いたカイト様は満足そうに微笑んでくれたのだった。その後も私たちは食事を続けながら雑談を続けることにした――。


「フィーナ、次の授業は何だったか覚えているかい？」


突然そんなことを尋ねられたので一瞬戸惑ってしまったが、すぐに思い出すことができたので答えることにする。


「えっと……次は魔法の実技訓練ですね」


それを聞いたカイト様は嬉しそうな表情を浮かべると言った。


「よし、じゃあ早速行こうか！」


私たちはグラウンドまでやってくるとクラスごとに整列した。これから魔法の実技訓練が始まるのだ。私はワクワクしながらその時を待っていたのだが……不意に背後から声をかけられた。振り返るとそこにいたのはリリアさんだった。彼女は私に話しかけてきたのだ。


「ねぇ、フィーナって魔法が得意なんだよね？」


そう聞かれて私は笑顔で答えることにする。


「はい！得意ですよ」


それを聞いてリリアさんは目を輝かせながら言う。


「ならさ、私と勝負しない？ どっちが強いのか決めようよ！」


突然の申し出に戸惑う私だったが断る理由もなかったので了承することにしたのだった――。


「じゃあ私から行くわね」


そう言うとリリアさんが詠唱を始めると彼女の周りに水の塊が現れたかと思うとそれが矢のように飛んできた。


私は咄嗟に防御壁を展開すると水弾を弾き飛ばすことに成功した。


「やった！ 成功です！」


私が喜んでいるとリリアさんが悔しそうな表情を浮かべながら言う。


「くっ……やるわね……！」


その後も攻撃を続けるものの全て防がれてしまう。するとリリアさんが話しかけてきた。


「ねぇ、そろそろ決着を付けない？」


どうやら彼女も限界が近いようだ。それなら私もそろそろ決めさせてもらおうかしら？そう思った私は魔法を発動させることにした！


「これで終わりよ！」


そう言って放たれたのは特大の水弾だった。それはまるで津波のように襲いかかってくるとそのままリリアさんを押し流してしまったのだった――。

こうして私とリリアさんの対決は私の勝利で幕を下ろしたのである……。


「やったな、フィーナ」


「はい！」


私はカイト様に向かって笑顔で答えた。


「でもまさかあそこまでの魔法が使えるとは思わなかったわ……」


リリアさんが驚いた顔で言う。どうやら私の魔法の威力を見て驚いているようだ。


「いえ、私はまだまだですよ」


そう答える私にリリアさんは言った。


「謙遜しなくてもいいよ！ すごい才能だと思うよ！」


そう言われて嬉しくなった私は思わず照れ笑いを浮かべてしまうのだった。


「今回はあなたに勝利を譲ってあげるけど、次は絶対に負けないんだから！」


「はい！ いつでも受けて立ちますよ！」


私は自信満々に答えるとリリアさんは満足そうな表情を浮かべていた。こうして私たちは友情を深めることができたのでした――。