悪役令嬢に転生したと思ったら悪役令嬢の母親でした～娘は私が責任もって育てて見せます～

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ある日のこと、私はリュート様の執務室をノックしました。すると中からリュート様の声が返ってきました。


「どうぞ」


中に入ると、彼はちょうど書類に目を通しているところでした。


「こんにちは、リュート様。お邪魔してすみません」


私がそう言うと、彼は優しく微笑んでくれました。


「いや、大丈夫だよ。何か用かい？」


「はい、実はリュート様にお願いがありまして」


「何だい？ 僕にできることなら何でも言って」


私は少し照れながらも思い切って言いました。


「あの……私と一緒に散歩に出かけてもらえませんか？」


すると、リュート様は少し驚いたような表情を見せましたが、すぐに微笑んでくれました。


「もちろんだよ、ソフィア。一緒に行こう」


そうして私たちは手を繋いで庭に出て行きました。外は心地良い風が吹いており、日差しも暖かく感じられました。


「リュート様、今日はお招きいただきありがとうございます。素敵な場所ですね」


「気に入ってくれて嬉しいよ。ここは僕のお気に入りの場所なんだ」


しばらく二人で散歩を楽しんでいると、不意にリュート様が立ち止まりました。


「ソフィア、ちょっとここで待っていてくれるかい？」


私が頷くと、彼はどこかに走って行ってしまいました。そして数分後に戻ってきた彼の手には小さな花束が握られていました。


「これは……？」


私は不思議に思いながらも受け取ります。するとリュート様は微笑みながら言いました。


「君にプレゼントだよ」


「私に……？ ありがとうございます！ 開けてみてもいいですか？」


私が尋ねると、彼は頷いてくれました。包みを開けると中には可愛らしい花がたくさん入っていました。私は思わず歓声を上げてしまいました。リュート様が微笑みながら言いました。


「喜んでくれて嬉しいよ」


「本当に素敵な花束です……！ 大切にします！」


私の反応を見て満足した様子のリュート様は、そのまま私に向かって優しく微笑んでくれました。その笑顔はとても美しくて見惚れてしまいました……。


「リュート様……ありがとうございます。とても嬉しいです」


「こちらこそ、いつも側にいてくれてありがとう」


それから私たちはしばらく無言で見つめ合っていました。リュート様の瞳がいつもよりも輝いて見えたのは私の気のせいでしょうか……。


「ソフィア、もう少し歩こうか」


そう言って歩き出した彼の横顔もまた普段とは違った魅力があるように感じられました。私はドキドキしながらも彼と共に歩き続けました……。


「あそこのパンケーキが評判らしいんだ。行ってみようか？」


リュート様が指差した先には行列のできているお店がありました。私もパンケーキには目がないので、その提案にすぐ賛成しました。


「もちろんです！ 行きましょう！」


私たちは列に並びながら他愛もない話を続けました。リュート様がパンケーキの話題を持ち出すなんて珍しいな、と思いながらも、彼の楽しそうな横顔を見ていると私も自然と笑顔になります……。


「ソフィアはどんなパンケーキが好みなんだ？」


「私はやっぱりシンプルなものが好きです！ シロップとバターだけのシンプルなものが一番好きですね」


私が答えると、彼は少し驚いた表情を浮かべていました。


「そうか……それは意外だな。君はもっと凝った料理が好きだと思っていたよ」


「リュート様こそ、普段は甘いものを召し上がらないのに珍しいですね」


「実は最近ハマってしまってね。特にここのパンケーキがお気に入りなんだ」


その発言を聞いた時、私の胸は高鳴りました……。まさか彼が甘い物好きとは知らなかったからです。しかし同時に嬉しく思いました。彼の新たな一面を知ることができたからです……。


「私も楽しみです！」


やがて順番が回ってくると、私たちは店内に入りました。席に着くと、リュート様はメニューを広げてくれました。


「ソフィアは何にする？」


私はすぐに答えました。


「私はこのいちごのパンケーキにします！」


すると、彼は意外そうな表情を浮かべていましたが、やがて微笑みを浮かべながら言いました。


「了解したよ。僕はチョコバナナにしようかな」


そんな会話をしていると店員さんがやってきました。注文を終えるとしばらくして料理が運ばれてきました。それはまるで宝石のように輝いていて、とても美味しそうでした！


「いただきます！」


一口食べると、口の中に広がる甘さが病みつきになりそうです。リュート様も満足げな表情を浮かべています。


「美味しいですね！ こんなに幸せな気分になるなんて初めてです！」


「そうだね、本当に美味しいね」


そんな会話をしながら私たちはあっという間に完食しました。会計を済ませると外に出る頃にはすっかり日も暮れていました……。


「今日は楽しかったよ、ソフィア。また一緒に出かけよう」と彼は笑顔で言いました。私は嬉しくなりながら答えました。


「はい、是非お願いします！」


そして帰り道で私たちは手を繋ぐのです……。リュート様の大きな手に包まれながら歩く帰り道はとても幸せなものでした……。