最弱テイマーのペットの子犬は実はフェンリルだった〜SSSランクモンスターを従魔にした俺は見下してきた奴らをざまぁする〜

5

模擬戦の場所はギルドの訓練場だ。そこには多くの冒険者たちが集まっていた。どうやら俺たちの模擬戦はちょっとしたイベントになっているらしい。


（まあいいか）


俺は気持ちを切り替えて戦うことにした。

俺とガイルさんが対峙すると、周囲の視線が集まるのを感じた。その視線の中には恐怖や好奇心など様々な感情が含まれているように感じた。


（なんか緊張してきたな……）


こんなに注目を集めるのは生まれて初めての経験なので、どうしても緊張してしまう。一方、ガイルさんは余裕の表情を見せていた。流石は一流冒険者といったところだろうか？


（俺も頑張らないと！）


気持ちを切り替えて戦うことにしたが「わふ！」と元気に吠えるシロの声に少し勇気付けられた気がした。


「行くぞ！」


先に動いたのはガイルさんの方だった。彼は大剣を構えながら素早く距離を詰めてきた。その速さに驚きながらも俺は剣を抜くと、ガイルさんの攻撃を受け流し続ける。


（速い……！）


流石は一流冒険者だ。一撃が重く、少しでも油断したら致命傷を負ってしまうだろう。だが俺は彼の攻撃を冷静に見極めると、隙を見つけて反撃に出ることにした。


「はっ！！」


気合と共に放った俺の一撃は見事に命中した。だがガイルさんはすぐに体勢を立て直すと再び斬りかかってくる。俺も負けじと応戦した。そうして激しい攻防が続き、周囲の観客たちは息をするのも忘れて見守っているようだった。


「はぁ……はぁ……」


しばらく攻防が続いた後、ガイルさんが膝をついたので俺も戦闘態勢を解いた。すると周囲からは歓声が上がる。どうやら俺たちの闘いは観客たちに好評だったようだ。


（まあでも、まだまだ本気じゃないんだけどな……）


本気で戦うとしたら切り札を使う必要があるだろう。しかし流石にそこまでやるつもりは無いため、今回は引き分けという結果になりそうだ。模擬戦は引き分けでも良いと思っている人が多いらしく、観客たちも納得しているようだった。


「今回は引き分けみたいだな」


ガイルさんもそう思っていたようで苦笑いを浮かべている。彼は立ち上がると握手を求めてきた。


「ありがとな！ 楽しかったぜ！」


俺は笑顔でそれに応じた。すると周囲からは拍手が巻き起こる。こうして模擬戦は終了したのであった。

その後、俺たちはギルドで打ち上げをすることになった。多くの冒険者たちが参加して、とても賑やかな時間を過ごすことができた。


「わふ！」


シロも楽しそうにはしゃいでいる。その様子はとても可愛らしいものだったので思わず笑みがこぼれてしまった。


（今日は良い日だったな）


王都に来てから大変なこともあったが、それ以上に楽しい思い出ができたと思う。それに久しぶりに本気の戦闘ができて嬉しかったし楽しかった。これからも頑張ろうという気持ちになったのだ。


「さて、そろそろ宿に戻るか」


俺は立ち上がるとシロと共にギルドを後にしたのだった……。