悪役令嬢に転生したので、やりたい放題やって派手に散るつもりでしたが、なぜか溺愛されています

16

ある日のこと、私たちは理事長に呼び出しを受けました。


「実は君たちに頼みたいことがあるんだ」


私たちは顔を見合わせました。一体どんな依頼なのでしょうか？


「実は最近、学園内で幽霊が出るという噂が流れているんだ。そこで君たちには調査を頼みたい」


私たちは驚きました。まさか幽霊退治の依頼が来るとは思いませんでした。


「わかりました！ 任せてください！」ロザリーが元気よく答えます。彼女は怖がりではないようです。むしろ興味津々といった様子で目を輝かせています。


「頼んだぞ。成功すれば、君たちの評価も上がるだろう」


理事長は優しく微笑みました。私たちは早速調査を始めることにしました。まずは情報収集から始めなければなりませんね……。


「幽霊が出る場所について何か知ってる？」私はロザリーに尋ねました。


「うーん、そういえば……」彼女は少し考えてから答えました。「確か、旧校舎の3階の女子トイレに出るって聞いたよ」


私たちはさっそく旧校舎に向かいました。夜の学校は少し不気味ですが、それでも勇気を出して進んでいきます。そして、問題の女子トイレに辿り着きました。


「中に入ってみよう」私は言いました。


するとロザリーが慌てて止めました。「ちょっと待って！ 本当に出るかどうかわからないし……危ないよ！」


確かに彼女の言うことも一理ありますね。万が一何かに襲われでもしたら大変です。


「じゃあ、どうすればいい？」私が尋ねると彼女は考え込み始めました。そして何かを思いついたように手を叩きます。


「そうだ！ 私たちで幽霊退治をしようよ！」


私たちは早速旧校舎に向かいました。懐中電灯を片手に歩いているうちに、だんだん怖くなってきてしまいました。


「ねえロザリー……本当に大丈夫？」私は不安げに尋ねます。


「大丈夫だよ！ 私に任せて！」と彼女は自信満々に答えます。


しばらく歩くと問題のトイレの前に着きました。私たちは恐る恐る中に入っていきます。すると突然、後ろから声をかけられました。振り返るとそこには一人の少女が立っていました。彼女は長い黒髪で、白いワンピースを着ていました。年齢は私たちと同じくらいでしょうか？


「あの……あなたは……？」私は恐る恐る尋ねました。


「私？ 私は幽霊だけど」少女は平然と答えます。


「ゆ、幽霊！？」私たちは驚愕しました。まさか本当に出会えるとは思っていませんでした。


「ねえ、どうしてここにいるの？」ロザリーが聞きました。


「わからない……いつの間にかここにいたの」彼女は悲しげに言いました。どうやら原因はわかっていないようです。


「じゃあさ、私たちと一緒に学園内を回らない？ そうすれば原因もわかるかもしれないよ！」とロザリーが提案します。確かに彼女を知るにはそれが一番良い方法かもしれません。


少女は少し迷っているようでしたが、やがて小さく頷きました。こうして私たちは三人で学園内を回ることにしたのです。


「ねえ、あなたの名前は何て言うの？」私は尋ねました。


「私は……レイカ」少女は小さな声で答えます。


「いい名前だね！ よろしくね、レイカちゃん！」ロザリーは笑顔で言いました。


私たちはまず、学園の中心部にある中庭に向かうことにしました。そこは広々とした空間で、生徒たちの憩いの場として親しまれています。私たちはベンチに座ってのんびりと過ごしました。


「ねえレイカちゃん！ 何か思い出したことはある？」ロザリーが尋ねます。


「ううん……何も思い出せない……」彼女は俯きながら答えました。


「アルバムとかを見るといいかもしれないよ！ 写真があれば何か思い出すかもしれないし」ロザリーの提案に、彼女は少し考えてから頷きました。


「じゃあこれから図書室に行こう！」ロザリーが立ち上がります。私もそれに従って立ち上がりました。そして三人で中庭を出て行きました。


図書室に着くと、私たちはアルバムを探し始めました。棚の上の方にあったので背伸びをして取ろうとします。しかしあと少しのところで届きません……すると突然後ろから手が伸びてきて、代わりに取ってくれました。驚いて振り返ると、そこにはレイカちゃんがいました。「はい、どうぞ」と言ってアルバムを差し出してくれます。


「あ、ありがとう……」私は戸惑いながらもお礼を言いました。レイカちゃんは優しく微笑んでくれました。それから私たちは一緒にアルバムを見ることにしました。


「あ、これはレイカちゃん？」レイカちゃんに写真を見せながら尋ねます。それは幼い頃の彼女が写っているものでした。


「うん……たぶん……」彼女は自信なさげに答えます。


「可愛いね！」ロザリーが言います。確かにとても可愛らしい顔立ちをしています。しかし、その表情はどこか悲しそうでした。


「……思い出しました」レイカちゃんが突然呟きました。


「え！？ 本当！？」ロザリーが嬉しそうに言います。


「はい……私はこの学園の生徒でした」レイカちゃんははっきりと言いました。


「じゃあ、どうして幽霊になっちゃったの？」ロザリーが聞きます。


「……わかりません」レイカちゃんは首を横に振りました。


私たちはその後もいろいろと質問をしましたが、結局原因はよくわかりませんでした。でも、これで彼女がここにいる理由は少しわかった気がします。きっと何か悲しい出来事があってこの学園から離れられなくなったのでしょう……。


「じゃあさ、私たちが友達になろうよ！」ロザリーが提案します。


「そうだね！ それがいいよ！」私も同意しました。レイカちゃんは少し迷っているようでしたが、やがて小さく頷きました。こうして私たちは三人目の仲間として迎え入れることになりました。