上 下
15 / 20

15

しおりを挟む
お兄様の特訓にロザリーとエミリーも加わりました。


「お前らには東の森の奥に咲く花、命の百合を取ってきてもらう」とお兄様は言いました。


「命の百合?」エミリーが首をかしげます。


「そうだ。その花にはどんな呪いも解く力があると言われている。だが、森の魔物たちが守りを固めているから注意が必要だ」


「わかった!」ロザリーが元気よく答えました。


私たちは早速準備をして東の森へと向かいました。森に入ると、爽やかな風が吹き抜けていきます。しかし同時に、どこか不気味な雰囲気を感じ取りました。道なき道を進みながら進むと、やがて開けた場所に出てきました。そこには大きな城が建っていました。


「あれが命の百合を守っているっていう魔物の巣か?」ロザリーが言いました。


お兄様は頷きます。私たちは警戒しながら城に近付きました。城門の前には2匹のオークが立っています。彼らは私たちに気付くと、棍棒を手に襲いかかってきました。私は慌てて弓を構えましたが、その前にロザリーの剣が一閃しました。彼女の剣は見事にオークたちを捉え、その体を両断しました。


「すごい!」私が驚いていると、お兄様も感心したように言いました。


「ロザリーは本当に強くなったな」


「へへん! もっと褒めてもいいんだぜ?」ロザリーが得意げな表情を浮かべます。


城の入り口まで来ると、今度は3匹のゴブリンが襲い掛かってきました。彼らは棍棒を振り回してきますが、私とエミリーで難なく撃退しました。最後に残った1匹はお兄様の剣によって倒されました。


城内に入ると、そこには無数の罠が待ち受けていました。落とし穴や毒矢などに加えて、巨大な蜘蛛やコウモリが襲い掛かってきます。

しかし、私たちはお兄様のアドバイスに従いながら進んでいきました。そしてついに、命の百合が置かれている部屋まで辿り着きました。


「命の百合は誰にも渡さん!」


部屋の中央には、巨大なオークが立っていました。手には巨大な棍棒を持っています。彼は私たちに向かって突進してきました。


「みんな! 下がって!」お兄様が叫びます。私たちは慌てて後退します。すると、お兄様の剣が輝きを放ち始めました。その光はまるで太陽のように明るく輝いています。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!!!!!!!」


お兄様は雄叫びを上げながら、剣を振りかざしました。その瞬間、凄まじい衝撃波が発生してオークを吹き飛ばしました。壁に激突したオークはそのまま動かなくなりました。


「やった!」ロザリーが喜びの声を上げます。


「凄いです!」エミリーも目を輝かせて拍手しています。


「みんな、よく頑張ったな」お兄様は優しく微笑みました。そして、命の百合を手に取り、それをロザリーに渡しました。


「これはお前のものだ」


「ありがとう! 大切にするよ!」


こうして私たちは命の百合を手に入れて城から出ました。森を抜けたところでお兄様が言いました。「これでお前たちも一人前の冒険者だな」その言葉には誇らしさが込められています。


「これからも一緒に頑張ろうね!」エミリーが元気よく答えました。私も頷きます。この冒険を通して、私たちはさらに絆を深めたのです。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

88回の前世で婚約破棄され続けて男性不信になった令嬢〜今世は絶対に婚約しないと誓ったが、なぜか周囲から溺愛されてしまう

冬月光輝
恋愛
 ハウルメルク公爵家の令嬢、クリスティーナには88回分の人生の記憶がある。  前世の88回は全てが男に婚約破棄され、近しい人間に婚約者を掠め取られ、悲惨な最期を遂げていた。  彼女は88回の人生は全て自分磨きに費やしていた。美容から、勉学に運動、果てには剣術や魔術までを最高レベルにまで極めたりした。  それは全て無駄に終わり、クリスは悟った。  “男は必ず裏切る”それなら、いっそ絶対に婚約しないほうが幸せだと。  89回目の人生を婚約しないように努力した彼女は、前世の88回分の経験値が覚醒し、無駄にハイスペックになっていたおかげで、今更モテ期が到来して、周囲から溺愛されるのであった。しかし、男に懲りたクリスはただひたすら迷惑な顔をしていた。

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

逃げて、追われて、捕まって

あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。 この世界で王妃として生きてきた記憶。 過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。 人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。 だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。 2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ 2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。 **********お知らせ*********** 2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。 それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。 ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

悪役令嬢の兄に転生したので、妹を聖女に生まれ変わらせます

平山和人
恋愛
名門貴族のカイトはある日、この世界が乙女ゲームの世界であることに気がつく。妹のクロエは主人公を事あるごとにいびる悪役令嬢として登場する。そして、彼女はどのルートにおいても断罪の運命をたどり、最後は悲惨な結末を迎えるのだった。 そのことを回避しようとカイトはクロエの悪役令嬢化を阻止し、妹を聖女として育て、数多の死亡フラグをねじ伏せていくのであった。

【完結】愛を知らない伯爵令嬢は執着激重王太子の愛を一身に受ける。

扇 レンナ
恋愛
スパダリ系執着王太子×愛を知らない純情令嬢――婚約破棄から始まる、極上の恋 伯爵令嬢テレジアは小さな頃から両親に《次期公爵閣下の婚約者》という価値しか見出してもらえなかった。 それでもその利用価値に縋っていたテレジアだが、努力も虚しく婚約破棄を突きつけられる。 途方に暮れるテレジアを助けたのは、留学中だったはずの王太子ラインヴァルト。彼は何故かテレジアに「好きだ」と告げて、熱烈に愛してくれる。 その真意が、テレジアにはわからなくて……。 *hotランキング 最高68位ありがとうございます♡ ▼掲載先→ベリーズカフェ、エブリスタ、アルファポリス

ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~

浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。 「これってゲームの強制力?!」 周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。 ※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。

モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~

咲桜りおな
恋愛
 前世で大好きだった乙女ゲームの世界にモブキャラとして転生した伯爵令嬢のアスチルゼフィラ・ピスケリー。 ヒロインでも悪役令嬢でもないモブキャラだからこそ、推しキャラ達の恋物語を遠くから鑑賞出来る! と楽しみにしていたら、関わりたくないのに何故か悪役令嬢の兄である騎士見習いがやたらと絡んでくる……。 いやいや、物語の当事者になんてなりたくないんです! お願いだから近付かないでぇ!  そんな思いも虚しく愛しの推しは全力でわたしを口説いてくる。おまけにキラキラ王子まで絡んで来て……逃げ場を塞がれてしまったようです。 結構、ところどころでイチャラブしております。 ◆◇◇◇ ◇◇◇◇ ◇◇◇◆  前作「完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい」のスピンオフ作品。 この作品だけでもちゃんと楽しんで頂けます。  番外編集もUPしましたので、宜しければご覧下さい。 「小説家になろう」でも公開しています。

単純に婚約破棄したかっただけなのに、生まれた時から外堀埋められてたって話する?

甘寧
恋愛
婚約破棄したい令嬢が、実は溺愛されていたというテンプレのようなお話です。 ……作者がただ単に糸目、関西弁男子を書きたかっただけなんです。 ※不定期更新です。

処理中です...