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ある日のこと、私たちは街外れの森に薬草を採りに行くことになった。目的地までは馬車で数時間かかるため、早めに出発して現地に到着することに決まった。


「準備はできたかい?」とエドワードさんが言った。


「はい!」私は元気よく答えた。


「では行こうか」と彼は言った。


馬車に揺られながら私たちは他愛もない会話を楽しんだり、道中の景色を眺めたりして過ごした。そして夕方になる頃には目的の場所に到着した。そこは緑豊かな森だった。木々の間から差し込む光が幻想的で、まるで別世界にいるような気分になった。


「さあ、早速薬草を探しましょう」


私は張り切って言った。


「ああ、そうだな」とエドワードさんは答えた。そして私たちは森の中に足を踏み入れた。しばらく歩くうちに、足元に生えている草の中に変わった形のものがあることに気づいた。よく見るとそれは花だった。淡い紫色の花びらが美しく、まるで宝石のように輝いていた。


「綺麗ですね……」と私が呟くと、彼は微笑みながら言った。


「本当だね。これは『月見草』というんだよ」


「へえ……初めて見ました」


私が感心していると、エドワードさんは続けて言った。


「この花はとても古くから栽培されていてね、薬効成分が含まれていることが分かっているんだ」


「そうなんですか! すごいですね!」


私は驚きの声を上げた。まさかそんな貴重な植物が身近にあったとは知らなかった。もっと詳しく知りたいと思い、質問してみた。すると彼は快く答えてくれた。


「月見草には鎮痛作用や抗炎症作用などがあるんだよ。それに他にも色々な効果があると言われているんだ」


「例えばどんなものがあるんですか?」


私が聞くと、彼は少し考えてから答えた。


「そうだね……例えば食欲不振や貧血の緩和、それに美肌効果もあると言われているね」とエドワードさんが言った。


私はそれを聞いてとても興味を持った。是非とも試してみたいと思ったが、どこで手に入れることができるのだろうかと考えていたところ、彼が口を開いた。


「もしよければ、この花をいくつか持って帰るかい?」


「いいんですか!?」


思いがけない提案に私は嬉しくなった。すると彼は微笑みながら言った。


「もちろんだよ。ただし、ちゃんと管理して育てること。それが約束できるなら持って帰ってもいいよ」


私は大きく頷きながら返事をした。


「はい、わかりました! 大切に育てます!」


こうして私は月見草の種をいくつか譲り受けることになった。家に帰った後、早速庭の一角に植えてみることにした。水やりや日光浴などの世話を続けていくうちに、少しずつ芽が出てきた。そして数週間後には小さな白い花をつけるまでになった。その可憐な姿に感動し、毎日眺めては癒されていた。


「この花のおかげで、日々の生活がもっと楽しくなった気がするよ」


私は独り言を言いながら月見草を眺めていた。その時、突然背後から声をかけられた。振り返るとそこにはエドワードさんが立っていた。


「やあ、元気にしてるかい?」彼は優しい笑顔で言った。


「はい! おかげさまで元気いっぱいです!」と私も笑顔で答えた。すると彼は少し驚いたように言った。


「それは良かったね。ところで君は月見草を育てているのかい? とても綺麗に咲いているじゃないか」


その言葉に、私は改めて花を眺めた。するとその美しさに心が癒されていくのを感じた。


「本当に綺麗ですね……」と私が言うと、彼は笑顔で言った。


「そうだね、君のおかげでこの花はもっと素敵に見えるよ」


その言葉に私は思わず嬉しくなった。そしてその後も二人で月見草を眺めながら会話を楽しんだのだった。エドワードさんとの会話はいつも楽しく、私の心を明るくしてくれた。これからもずっと彼と共に歩んでいきたいと思うようになった。
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