「お前はもう不要だ」と婚約破棄された聖女は隣国の騎士団長に拾われ、溺愛されます

6

次の日、私はエドワードさんの訓練に同行することになった。


「今日は何をするの？」


私が尋ねると彼は笑顔で答えてくれた。


「今日は模擬戦をしようと思うんだ」


「模擬戦ですか！？」


私は驚いてしまう。まさかいきなり実戦形式の訓練をすることになるとは思わなかったからだ……。でもエドワードさんと一緒ならきっと大丈夫だろうと思うことにした。


「じゃあ行こうか」


私たちは訓練場に向かうことにしたのだった……。訓練場には大勢の騎士たちがいた。みんな真剣な表情で剣を振るっている。そんな中、私とエドワードさんは少し離れた位置に移動した。


「じゃあ早速始めようか」


「はい！」


私は元気よく答える。そして杖を構えた。するとエドワードさんも剣を構える。彼の構えはとても綺麗だった。まるで芸術作品のようだと思う……。


「じゃあ行くよ？」


「はい！」


私は大きな声で返事をした。その瞬間、エドワードさんは勢いよく斬りかかってくる！ 私は慌てて防御魔法を展開したが、間に合わずに攻撃を受けてしまう……。しかし幸いにも軽い怪我で済んだようだった……。


「……っ！」


痛みに耐えながらも立ち上がる。すると彼は再び攻撃を仕掛けてきたのだ……！私はそれを必死に避ける。だが避けきれずに何度も攻撃を受けてしまう……。それでも諦めずに立ち上がった。すると突然、エドワードさんは攻撃を止めてこちらに向き直ったのだ……。そして微笑みながら言った……。


「君の勝ちだよ」


「え……？」


一瞬何を言われたのかわからなかった。でもすぐにその意味を理解したのだ……。そう、彼はあえて攻撃を手加減していたのだということを……。私の成長を促すために敢えて手を抜いてくれていたのだ！ その事実に気付いた瞬間、胸の奥が熱くなるような感覚を覚えた。それは今まで感じたことのない感情だった。私は自然と笑みが溢れてくるのを感じたのだった……。


「ありがとうございます！」


私は満面の笑みでお礼を言った。するとエドワードさんも微笑み返してくれたのだ……。その笑顔を見るだけで心が満たされた気分になるのだった……。それから私たちは休憩を取ることにしたのだ……。訓練場の片隅に置かれていた椅子に腰掛ける。そして一息つくことにしたのだ……。


「お疲れ様でした」


「ああ、ありがとう」


彼は微笑みながら答える。その表情からは疲労の色が見て取れたが、それでもなお爽やかさが滲み出ているような気がした……。そんな彼を見ていると胸がドキドキしてしまう自分がいるのだ……。一体どうしてだろう？


「どうかしましたか？」


私がじっと見つめていたせいなのか、エドワードさんは不思議そうな表情を浮かべている。私は慌てて首を横に振った。


「い、いえ！ なんでもないです！」


すると彼は不思議そうに首を傾げるのだった……。だがそれ以上追及してくることはなかったのでホッと胸を撫で下ろしたのだ……。


「そういえば君は治癒魔法以外にも何か使えるのかい？」


彼は唐突に尋ねてきた。私は少し戸惑いながらも答えることにした……。


「えっと、一応攻撃魔法と防御魔法が使えます」


「へえ、すごいじゃないか！」


彼は感心したように言う。私は照れながらも続けた。


「いえ、そんな……私なんてまだまだ未熟者ですし……」


「そんなことはないさ」


エドワードさんは優しく頭を撫でてくれる。その手はとても温かくて心地よかった……。


「君は立派だよ。自信を持っていい」


彼の言葉を聞いた瞬間、胸の奥が熱くなるような感覚を覚えた。これは一体なんなのだろう？ よくわからないけど嫌な気分ではなかった……むしろとても幸せな気分だったのだ……。


「ありがとうございます、エドワードさん……」


私は小さな声で囁いた。その声はあまりにも小さかったためか彼に届くことはなかったようだ……。でもそれでよかったのかもしれないと思う。だってこれ以上話していたらきっとおかしくなっていただろうから……。


「そろそろ再開しようか」


休憩を終えて、私たちは再び模擬戦を始めた。今度は私も本気を出すことにしたのだ。全力で戦うつもりだったのだが……エドワードさんの動きは想像以上に速くて全く歯が立たなかった……。結局一度も攻撃を当てることができなかったのである……。


「ふぅ、ここまでにしようか」


彼は額の汗を拭いながら言う。私は息を整えながら答えた。


「はい……」


正直言って悔しかったけど、それ以上に楽しかったと思う。こんなに充実した時間を過ごしたのは久しぶりだからだ……。きっとエドワードさんが相手だったからだと私は思ったのだった……。


その後、私はエドワードさんに治癒魔法を教えてもらうことになった。彼はとても丁寧に教えてくれるので、すぐに上達することができたのだ……。そしてついにエドワードさんに一撃を入れるようになったのである！


「やった……！」


私は喜びに打ち震えていた。今までずっとできなかったことがようやくできるようになったのだ……！ これでみんなの力になれるかもしれないと思うと嬉しかった……。


「おめでとう」


エドワードさんは微笑んでくれた。その表情を見ると胸の奥が熱くなるような感覚を覚えるのだった……。この気持ちの正体は何なのだろう……？ 私はその答えを見つけるべく、エドワードさんのことをもっと知りたいと思うようになっていったのだ……。そして同時に彼に対する想いが強くなっていることに気付いたのである……。でもそれを口に出す勇気はなかった……だってもし断られたらと思うと怖いから……。だから今はただ黙って彼の側にいるだけで満足しようと思うのだった……。