俺だけステータスが見える件～ゴミスキル【開く】持ちの俺はダンジョンに捨てられたが、【開く】はステータスオープンできるチートスキルでした～

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それから数日後、魔族との共存に向けた話し合いの場が設けられた。場所は魔王城の一室を貸し切って行われることになった。参加するのは人間側代表として俺とギルドマスター、そして魔族側からはノワールと幹部の一人であるバエルという女性が参加していた。


「ではこれより会談を始めたいと思う」


司会進行役を務めるギルドマスターの言葉を皮切りに話し合いが始まった。最初に口を開いたのはバエルだった。


「まずは自己紹介から始めましょう。私は魔族軍の参謀を務めていますバエルといいます」


彼女は見た目二十代前半くらいに見える美しい女性だ。黒い長い髪に赤い瞳、そして特徴的なのは背中にある翼だった。


「私は勇者ナオトです。よろしくお願いします」


俺が名乗ると彼女も静かに頭を下げた。続いてノワールが口を開く。


「私は魔王軍の幹部ノワールだ」


彼は冷たい眼差しをこちらに向けている。どうやらまだ警戒心を解いていないようだ。次に口を開いたのはギルドマスターだった。


「今日は皆さんにお集まりいただいたのは他でもありません。我々は人間と魔族の間に確執があることを知っています。しかし、その関係を改善するためにはお互いのことを知る必要があると考えました」


ギルドマスターの言葉に俺たちは耳を傾けていた。すると今度はバエルが話し始めた。


「私たち魔族は人間に対して敵意を抱いていません。むしろ共存できるならそうしたいと思っています」


彼女の言葉に俺は驚いた。まさか本当にそんな考えを持っているとは思わなかったからだ。だが同時に嬉しくもあった。こうして人間と魔族が分かり合うことができる日が来るかもしれないと思ったからだ。その後、様々な意見交換が行われた後、最後にノワールが言った。


「我々は人間との共存を望む。だがそのためには双方の問題や課題を解決しなければならない」


彼は真剣な表情でこちらを見た。その視線からは覚悟のようなものが感じられた。俺も覚悟を決め、彼に向かって言った。


「分かりました。これからよろしくお願いします」


こうして俺たちは新たな一歩を踏み出したのだった。それからというもの、人間と魔族の間では様々な交流が始まった。お互いの文化や歴史を学ぶことで理解を深めていくことができたのだ。そしてついに、互いの領土を尊重し合うという条約が結ばれたのだった！


「これで魔族との共存が実現できたんですね！」


アミが嬉しそうに飛び跳ねている。俺も嬉しさのあまり涙が出そうになったくらいだ。だが、まだまだ課題は山積みだ。これからも共に手を取り合い、歩んでいくことになるだろう。


「茶番はそこまでだ」


突然、会議室に数十人の騎士たちが乗り込んできた。


「魔族は悪しき存在だ。殲滅せねばならない」


騎士たちは俺たちに向かって剣を向けてくる。俺は瞬時に剣を抜き、騎士たちと対峙する。状況は一触即発、空気がピリピリと張り詰める。ギルドマスターが一歩前に出て、毅然とした態度で騎士たちに向かって声を張り上げた。


「ここは話し合いの場だ！ 暴力は許さない！」


しかし、騎士たちはその言葉に耳を貸さず、一歩一歩と詰め寄ってくる。その中の一人、目付きの鋭いリーダー格の騎士が前に出て、冷ややかに言い放った。


「ギルドマスター、あなたも魔族に取り込まれたのか？ 我々は正義のためにここに来たのだ」


騎士たちが一斉に剣を構え、緊張がピークに達した瞬間、バエルが静かに前に出た。彼女の赤い瞳が一層輝き、冷たい声で言った。


「もし我々が本当に敵意を持っていたなら、あなたたちはここに来ることすらできなかったでしょう。私たちは共存を望んでいます。暴力では何も解決しません」


その言葉に一瞬の沈黙が訪れたが、リーダー格の騎士は納得しない様子で再び剣を振り上げた。


「黙れ！魔族の戯言など信じるものか！」


俺は一瞬の隙を突いて前に出、騎士の剣を受け止めた。剣が激しくぶつかり合い、火花が散る。その時、ノワールが力強い声で叫んだ。


「我々も戦うつもりはない！だが、必要ならば我が身を守るために立ち上がる！」


ノワールの背中から翼が広がり、彼の威圧感が一気に増した。騎士たちは一瞬たじろいだが、依然として剣を振り上げたままだ。


「みんな、剣を収めろ！」


突然、会議室の扉が再び開き、王宮の大臣が現れた。彼の登場により、場の空気が一変する。騎士たちは一斉に敬礼し、剣を下ろした。


「大臣、これは一体…」


リーダー格の騎士が困惑した表情で尋ねると、大臣は厳しい表情で彼らを睨みつけた。


「これは王の命令だ。我々は共存の道を模索することを決定した。騎士たちよ、我々の使命は民を守ることにある。敵意ではなく、共存のために力を貸すのだ」


騎士たちは一瞬戸惑ったが、リーダーの合図で一斉に剣を収めた。そして、大臣が我々に向き直り、深く頭を下げた。


「ご迷惑をおかけしました。彼らはただ、民を守るために必死だったのです。どうかご理解ください」


俺は剣を収め、深く息を吐いた。これで、ひとまずの危機は去った。しかし、今後も同じような障害が待ち受けていることは明白だった。


「わかりました。これからもお互いに協力し合って進んでいきましょう」


俺の言葉に、バエルとノワールも静かに頷いた。これからの道のりは険しいだろうが、共に歩む仲間がいる限り、必ず乗り越えられると信じていた。こうして、俺たちは新たな一歩を踏み出す準備が整ったのだった。