上 下
3 / 16

3

しおりを挟む
「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


部屋から出ると、全長3メートルはありそうな巨大な鬼が俺の前に立ちふさがった。


『こやつはブラックオーガだ』


デュランダルが俺に情報を与えてくれる。


「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


ブラックオーガは突進してくると、大きな棍棒を振り下ろした。俺は軽く避けると、剣で一閃する。ブラックオーガの首が落ちる。最強の魔剣というだけあって、簡単に倒せた。


「先に進むか」


『待て。こいつの肉を食っていけ』


「魔物の肉なんか食って大丈夫なのか?」


『問題ない。我の力があれば、どんな毒でも解毒できる』


「肉は好きだが、魔物を食う趣味はないぞ」


『まあ聞け。魔物を食うことで、スキルを自分のものにできるのだ』


「スキルを……?」


『然り。魔物の肉には、その魔物の持つスキルが凝縮されている。食べた者にしか発現しないレアスキルもあるぞ』


「それは魅力的だな」


『まあものは試しだ。食べてみろ』


ブラックオーガの肉をちぎり、口に入れる。


「う、美味い!」


普通の肉より柔らかく、ジューシーだ。それになんだか力が湧いてくる。


『どうやらお気に召したようだな』


「ああ……魔物って……美味いんだな……」


俺は無我夢中でブラックオーガの肉を頬張り続けた。


『ステータスを開いてみろ』


新城直人:Lv150

HP:150000/150000

MP:150000/150000

攻撃:55000

防御:45000

魔攻:35000

魔防:35000

素早さ:25000


所有スキル

・ステータス操作

・アイテムボックス

・鑑定

・開く

・剣術

・暗黒

・身体強化

・金剛


「す、すげぇ……」


『それが魔物を食った効果だ。魔物を食った量に応じてスキルを獲得できる』


「そうか……。なら」


俺はブラックオーガの肉をさらに食べ、ステータスを確認した。

新城直人:Lv200

HP:200000/200000

MP:200000/200000

攻撃:65000

防御:60000

魔攻:48000

魔防:48000

素早さ:35000


所有スキル

・ステータス操作

・アイテムボックス

・鑑定

・開く

・剣術

・暗黒

・身体強化

・金剛

・超再生


「こんなところか……」


『その調子だ。ダンジョンを出る頃には、もっと強くなっているだろう』


「この調子で魔物を食いまくってやる」


それから俺は、次々と襲い掛かってくる魔物を薙ぎ倒しながら先へと進んで行った。


「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


「邪魔だ!」


デュランダルを一振りする。グリフォン、ベヒーモス、ワイバーンなど、様々な魔物たちが俺の餌食にされていった。


「美味かったな……」


俺は倒した魔物の肉を食いながら先へと進んでいく。すでに数十体の魔物を食べているが、まだ足りない。もっと食べたい……。


『そんな心配せんでも、たらふく食えそうだぞ」


目の前には大量の魔物がひしめいていた。


「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」


「食べ応えがありそうだな」


俺は魔物の大群に飛び込んでいった。


「ふぅ……食った、食った」


あれから数時間かけて魔物を食い続けた。腹は膨れ、喉も渇いた。


『これで当分の間は食う必要は無いだろう』


「ああ……」


俺は水を飲み干して喉を潤した。そしてこれからの行動について考える。


「デュランダル、ここから出るにはあとどのくらいかかりそうだ?」


『このペースでいけば3年ほどで外に出られるはずだ』


「それじゃあ時間がかかりすぎる。何か方法は無いのか?」


『ふむ……。このダンジョンの最下層に、このダンジョンの主である魔物がいる。そいつを倒せば、地上に出られるだろう』


「そういうことは先に言え!」


『聞かれなかったからな』


「まあいい……。それじゃあさっさとそいつを倒そう」


『やる気が満ち溢れておるのう』


「当然だ。俺は外の世界に復讐するって決めたんだからな!」


『いい心構えだ。その調子で突き進むがよい』


「言われなくてもそうするつもりだよ」


最下層を目指し、さらに奥深くへと進んでいく。すると無数の死体を見つける。


『こやつらは冒険者の成れの果てだ。このダンジョンに挑んで死んでいった者たちだろう』


「…………」


『どうした? 食べないのか?』


「流石に人肉を食べるほど落ちぶれてはいないよ」


俺は冒険者たちの死体から目を逸らして先へと進む。


「た、助けて……」


すると、今にも死にそうな女性の声が聞こえた。俺は声がしたほうに向かう。そこには、血だらけになった冒険者が横たわっていた。顔は崩れており、手足はもがれ、この状態で生きてるのかが不思議なくらいな状態だ。


『こいつはもう助からん。殺してやるのがせめてもの慈悲だろう』


こいつを食べれば協力なスキルが手に入るかもしれない。俺が食おうが見捨てようが、どのみちこいつは死ぬのだ。見殺しにする選択はない。


「悪いな、これも生き残るためだ」


俺は冒険者の体に手を触れる。すると、冒険者の体はみるみるうちに再生していった。こそげおちた肉が戻り、四肢が元通りになる。


『何をしたんだ?』


「【ステータス操作】で俺のHPを分け与えただけだ」


『てっきりこいつの肉を食ってスキルを奪うと思ったのだが、ずいぶん優しいな』


「人を見殺しにして、スキルを奪っても心は晴れない」


やがて冒険者は完全に再生した。そこにいたのは金髪で巨乳のエルフの美少女だった。再生の影響か真っ白な肌が露わになっている。


「目のやり場に困るな」


アイテムボックスからマントを取り出し、彼女に被せる。


「うぅん……」


エルフの少女は目を覚ました。俺は急いで立ち去ろうとする。


「お待ちください! あなたが私を助けてくれたのですか?」


「そうだが……」


俺は振り向くことなく答える。


「ありがとうございます!」


「気にしなくていい」


「……私の名前はフィーナと申します。あなたのお名前は?」


「俺の名は新城直人だ」


「ナオト様ですね。助けていただきありがとうございます」


「気にするなと言ったはずだ。それじゃあ俺は先を急いでいるから、ここでお別れだ」


「お待ちください! お礼をさせてくださいませ!」


「そんなもの要らない」


「それでは私の気が済みません! 恩人には礼を尽くせと先祖代々から言い聞かされてます!」


「俺はただ気まぐれで助けただけだ。恩義なんて感じる必要はない」


「なんて素晴らしい方なんでしょう。私に恩義を感じさせないために、あえて冷たい態度を取っているのですよねっ?」


フィーナは涙を流しながら言う。どうやら彼女には何を言っても無駄のようだ。


「……何をやっても、お前の中では俺は素晴らしい善人のようだな」


「そうじゃなかったらなんだというのです? ナオト様は私の命の恩人なのですから、素晴らしい方なのは当たり前です!」


『くくっ、素直に認めたらどうだ? 可哀想だと思ったから助けてやったとな』


デュランダルがそう囁く。ちなみにデュランダルの声は俺にしか聞こえない。


「う、うるさい」


俺は小声で反論する。


「ナオト様? どうかなさいましたか?」


「何でもない……」


『連れて行ってやれ。こやつは何を言ってもお主に付いてくるぞ。それに色気も欲しかろう?』


「もういい、好きにしろ」


「やっぱり素晴らしきお方! 私を好きにしてくださっても構いませんわ!」


フィーナは俺に抱きついてくる。大きな胸が顔に当たって苦しい……。俺は彼女の両肩を掴み、引き離す。


「別にそんなことしなくてもいい」


「このフィーナ、誠心誠意を持ってナオト様にお仕えいたします♪」


「……勝手にしろ」


こうして俺は新たな仲間を手に入れたのだった……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

転生賢者の異世界無双〜勇者じゃないと追放されましたが、世界最強の賢者でした〜

平山和人
ファンタジー
平凡な高校生の新城直人は異世界へと召喚される。勇者としてこの国を救ってほしいと頼まれるが、直人の職業は賢者であったため、一方的に追放されてしまう。 だが、王は知らなかった。賢者は勇者をも超える世界最強の職業であることを、自分の力に気づいた直人はその力を使って自由気ままに生きるのであった。 一方、王は直人が最強だと知って、戻ってくるように土下座して懇願するが、全ては手遅れであった。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

世界最強の勇者は伯爵家の三男に転生し、落ちこぼれと疎まれるが、無自覚に無双する

平山和人
ファンタジー
世界最強の勇者と称えられる勇者アベルは、新たな人生を歩むべく今の人生を捨て、伯爵家の三男に転生する。 しかしアベルは忌み子と疎まれており、優秀な双子の兄たちと比べられ、学校や屋敷の人たちからは落ちこぼれと蔑まれる散々な日々を送っていた。 だが、彼らは知らなかったアベルが最強の勇者であり、自分たちとは遥かにレベルが違うから真の実力がわからないことに。 そんなことも知らずにアベルは自覚なく最強の力を振るい、世界中を驚かせるのであった。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

「おっさんはいらない」とパーティーを追放された魔導師は若返り、最強の大賢者となる~今更戻ってこいと言われてももう遅い~

平山和人
ファンタジー
かつては伝説の魔法使いと謳われたアークは中年となり、衰えた存在になった。 ある日、所属していたパーティーのリーダーから「老いさらばえたおっさんは必要ない」とパーティーを追い出される。 身も心も疲弊したアークは、辺境の地と拠点を移し、自給自足のスローライフを送っていた。 そんなある日、森の中で呪いをかけられた瀕死のフェニックスを発見し、これを助ける。 フェニックスはお礼に、アークを若返らせてくれるのだった。若返ったおかげで、全盛期以上の力を手に入れたアークは、史上最強の大賢者となる。 一方アークを追放したパーティーはアークを失ったことで、没落の道を辿ることになる。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

処理中です...