冷酷非情の雷帝に嫁ぎます～妹の身代わりとして婚約者を押し付けられましたが、実は優しい男でした～

29

次の日の朝、私たちはホテルの朝食を食べ終わると外出の準備を始めた。昨日話していた通り海に出かけるのだ。


（どんな水着を着ていくんだろう？）


そんなことを考えているうちにドキドキしてきちゃった……準備を終えた私たちは馬車に乗って海へ向かった。しばらく馬車を走らせると、海が見えてきた。浜辺には大勢の人たちがいて、賑わっているようだった。


「着いたぞ」


ライトニングが馬車を止めると、私たちは外に出た。目の前に広がる光景は圧巻だった── 見渡す限りの青々とした大自然が広がっているのだ。どこまでも広がる水平線を見ていると吸い込まれそうな感覚に陥るほどだ。


（すごい……）


私が感動しているとライトニングが話しかけてきた。


「どうだ？ 気に入ってくれたか？」


私は笑顔を浮かべたまま答えた。


「はい！ とっても素敵です！！」


私が嬉しそうにしていると、彼も満足そうに微笑んでいた。二人で歩いていると、一人の男性に声を掛けられる。彼は体格が良くて日焼けしていた。どうやら地元の漁師のようだ。


「お嬢さんたち、デートかい？」


ライトニングは優しく微笑むと答えた。


「ええ、そうですよ」


すると漁師の男性は人当たりのいい表情を浮かべたまま言った。


「どうだい？ うちで新鮮な魚を買っていかないかい？」


ライトニングは興味津々な様子で話に耳を傾けていた。私は彼に提案する。


「せっかくなので買ってみたらどうですか？」


するとライトニングは大きく頷いた。彼女は漁師の男性に視線を向けると言った。


「じゃあ、いくつか見せてもらってもいいですか？」


男性が笑顔を見せて頷くと、私たちは商品を見に行くことにしたのである──


（面白かった……）


私は海の家でかき氷を食べながら楽しむと満足した気持ちになった。そして店を出ると近くの売店に立ち寄ることにする。そこには貝殻を使ったアクセサリーが売っていた。


（綺麗……！）


私は思わず手に取って眺めていた。ライトニングも興味深げに見入っているようだ。


（これ、お揃いで買ったら楽しいかもしれない……！）


そう思った私は思い切ってライトニングに提案してみることにした。


「あの……お揃いのもの買いませんか？」


すると彼は嬉しそうな表情を浮かべた後、笑顔で言った。


「俺もそう思っていたところだ」


私たちはそれぞれ気に入ったアクセサリーを購入して店を出た──


「グォオオオオオオオオオオオオオオッ！」


海から巨大な怪物が現れ、砂浜をのし歩き回る。


「きゃああっ！？」


人々は悲鳴を上げて逃げ惑う中、一人の少女が取り残されていた。巨大な化け物は少女に向かって歩み寄ると大きな口を開けた。


「ファイヤーボール！！」


私は咄嗟に魔法を唱え、炎の塊を放った。化け物はその一撃で怯み後退する。


「大丈夫ですか？」


私は少女に声をかけると、彼女は安心したように笑みを浮かべた後、礼を言ってきた。


「ありがとうございます」


彼女の名前はリリーと言い、海辺の別荘に向かう予定だと話してくれた。私たちは一緒に目的地へ向かうことにしたのである──


「リリーを助けてくださって本当にありがとうございます」


彼女の両親だという夫婦は私たちに向かって頭を下げた。


「いえ、当然のことをしたまでです」


ライトニングが微笑みながら答えると、リリーも嬉しそうな表情を浮かべた。


「本当に助かりましたわ」


彼女の母親は微笑みながら感謝の言葉を述べる。そして私たちは別荘のリビングでくつろいでいた。


「それにしてもあんな化け物が出るなんて……」


私が呟くと、リリーが不安げな表情を浮かべながら口を開いた。


「最近、魔物の活動が活発になってきてるのよ」


彼女の話によると、最近では魔物の動きが活発化しており、被害が増えているらしい。街の近くにも凶暴化したモンスターが出没しており困っているのだとか。


（これは早く対策した方がいいかもしれないな……）


そんなことを考えているとライトニングが話しかけてきた。


「これからどうする？」


私は少し考えた後、彼に答えることにした。


「とりあえず街に戻ってみましょうか」


「そうだな。何か手伝えることがあるかもしれないからな」


私たちは別荘を出て、街に戻ることにした。道中では魔物に遭遇することもなく無事に辿り着くことができたのである──