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ある日のこと、いつものように授業を受けていると、突然教室が暗くなり始めた。

「なんだろう?」

クラスメイト達もざわつき始める中、私は何かが起こるのではないかと身構えていた。すると次の瞬間、教壇にスポットライトが照らされる。そこに立っていたのは見知らぬ男性だった。年齢は30代後半くらいだろうか? 整った顔立ちをしているが、どこか不気味さを感じさせる雰囲気を放っている。男性は私達を見回した後、口を開いた。

「こんにちは皆さん」

その言葉にクラス中の空気が張り詰めるのを感じた。何を言い出すのか警戒していると、男性は笑みを浮かべつつ話を続ける。

「驚かせてしまいましたかね? 申し訳ありません」

彼は謝罪の言葉を述べるが、全く悪びれた様子はないようだ。クラスのみんなは無言のまま彼の話を聞いていた。

「実は私はある実験のためにここに来たのです」

男性が語り始めた時、窓の外から激しい音が響いた。驚いて窓の外を見ると、そこには巨大な影があったのだ! それはまるで物語に出てくるような怪物のようだった。体長は約10メートルくらいで紫色の鱗で覆われている。背中には大きな翼が生えており、鋭い爪や牙が目を引く。

「あれが実験の対象です」

男性はそう言って満足げな表情を浮かべている。クラスのみんなはパニック状態になっていた。

「嘘だろ! あんなの相手にできっこない!」

「早く逃げないと!」

などと叫び声が聞こえてくる。私も恐怖で震えが止まらなくなっていた。そんな中、男性は落ち着いた様子で私に話しかける。

「あなたは確か……フィーナさんですよね?」

名前を呼ばれて背筋が凍った。どうして知っているんだろう? 私が疑問を抱いていると、男性は続けて話しかけてくる。

「あの魔物を倒してください」

彼は平然とした顔で言い放った。私は言葉を失う。私が魔物を倒す? そんなの無理だ! そもそもどうやって倒すんだ!

「どういうことなんですか?」

私が尋ねると、男性は微笑みながら答えた。

「あなたには特別な力が与えられています」

彼の言葉の意味がわからず戸惑っていると、今度はクラスメイト達が騒ぎ出した。

「魔物が近づいてくるぞ!」

窓の外を見ると、巨大な黒い影がこちらに向かってきているのがわかった。このままでは全員殺されてしまうかもしれない……私は覚悟を決めて立ち上がった。

「わかった……」

私はみんなに聞こえるように大きな声で言う。

「私が魔物を倒すよ!」

クラスメイト達は一斉に私の方を見る。その中には泣き叫んでいる者もいたが、私は気にせずに続けた。

「サンダーボルト!」

魔法を唱えると、杖から稲妻が迸り魔物を貫いた。魔物は大きなうめき声を上げて倒れる。
しばらく様子を見ていたが、起き上がる気配はなかった。

「すごい! さすがはフィーナだ!」

クラスメイト達が歓声を上げる中、私は複雑な気持ちになっていた。自分が魔物を倒したという事実を受け入れられなかったのだ。そんな私の様子を察してか、男性は静かに笑っていた。

(一体この人は何者なんだろう……)

そんな疑問を抱きつつも、私は勝利の喜びを噛み締めていたのだった。

「皆さんのお陰で無事に実験が成功しました」

男性が微笑みながら言うので、みんなは少し困惑しながらも喜んでいた。彼は満足げな表情を浮かべて言葉を続ける。

「それでは皆さん、今日はお疲れ様でした。もう帰っていただいて結構ですよ」

男性はそう言って教室を出ていった。残された生徒達は呆然としていたが、一人また一人と帰り始める。

「一緒に帰ろう」

私は友人達に声をかけて教室を出た。そして家に向かって歩き出す。帰り道も話題は魔物の話ばかりだった。

「あの魔物本当に凄かったな」

「もしあのまま私達が襲われていたらと思うとゾッとするわ」

みんなは興奮冷めやらぬ様子で話しているが、私はどこか複雑な気持ちだった。

(私が倒したんだよな……)

そんなことを考えているうちに自宅に到着した。中に入るとすぐに自室へ行きベッドに倒れ込む。

(なんか疲れた……)

私はそのまま眠ってしまったのだった。
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