行き倒れを助けたら、追放された王子様でした

22

翌朝、目が覚めて隣を見ると既に起きていたらしいラインハルトの姿がある。彼はこちらを振り返ると笑顔で挨拶をしてきた。


「おはよう！」


その笑顔を見ていると胸の奥が温かくなるような感覚に陥りながら俺も挨拶を返すと朝食の準備を始めた……

食事を終えた後、俺たちは散歩をすることになった。チビ助は歩くのが楽しいのかいつもよりも元気いっぱいな様子だ。


「散歩、楽しいね！」


笑顔で話しかけてくるラインハルトの言葉に俺も笑顔で頷くと、手を繋いで歩き始めた……


（ああ……幸せだなぁ）


そう思いながら歩いていると目の前に公園が見えてきたので寄ってみることにした。遊具で遊ぶ子供たちを見ながらベンチに座って休憩することにしたのだが、その際に隣に座っていたラインハルトに軽く肩にもたれ掛かるようにして身を委ねてみると彼は優しく頭を撫でてくれた。


「今日は甘えんぼさんかな？」


そう言って微笑む彼の姿を見て俺は思わずドキッとしたが、同時に安心感を覚えた。


（ああ……やっぱり好きだな）


そんなことを考えているうちに自然と瞼が下りてきたので目を閉じると眠りに落ちていった……


「寝たね……」


スヤスヤと眠る彼をそっと抱き寄せると膝の上に乗せて頭を撫で始める。彼は幸せそうに微笑みながら眠っている様子はとても可愛らしいのだが少し無防備すぎるような気がするのも事実だ。


「全く、君は無防備すぎるよ」


そう呟きながらも優しく撫で続けると不意にラインハルトが目を覚ました。


「次は服屋に行こうか？」


俺の提案に彼は頷いてくれたので、街の服屋に行くことにした。店内に入ると商品を見ながら歩き回る。その中でイケてるジャケットを見つけたので手に取って見ているとラインハルトが尋ねてきた。


「その服が欲しいの？」


俺が頷くと彼は微笑んで言った……


「じゃあ、買ってあげるね」


そう言ってお金を出すと一緒にレジに向かう。店員に渡している時にふとあることに気付いた俺は思わずニヤけてしまった……


（これ、ペアルックだよな？）


そう思うとますます嬉しくなってくるのだった……その後、昼食を食べるために近くのレストランに入った。メニュー表を見ながら注文を決めることにしたのだが、ラインハルトが食べたいものが決まらない様子だったのでオススメを教えることにした。


「これなんかどうかな？ 美味しいよ」


メニュー表を指差すと彼は笑顔で頷いた後で注文した。しばらくして運ばれてきた料理を食べると、とても美味しかったようで満足そうに微笑む彼の顔を見ていると自分も幸せな気持ちになった……

その後も街を散策したり、チビ助を散歩させたりして楽しく過ごした後、家に帰ることになった俺たちは帰路についたのだった……


「ただいまー……」


帰宅した俺達はそれぞれの部屋に入ると着替えを済ませてからリビングで合流することにした。

夕食を終えた後、風呂に入った後はチビ助を寝かせるために一緒に寝ることにしたのだが、相変わらず擦り寄ってくる姿が可愛かったので抱きしめてあげると嬉しそうに鳴いていた。


（ああ……癒されるなぁ）


そう思いながら頭を撫でているうちに瞼が重くなってきたので目を閉じることにした……