別れの理由

梨花

文字の大きさ
上 下
13 / 27
男の話

5

しおりを挟む
「まるであんたの片思いみたいね。」
翠はそう言った。
彼女の珍しい態度にショックを受けた俺はランチなんて気分ではなくて、コーヒーだけを注文していた。
「1週間、毎日彼女の会社に通ってようやく口説き落としたんだ。」
あの頃よりずっと離れている感じがする。
大事にしてきたつもりだったのに。
何が悪かったんだろう。


「バーベキュー?」
「ゴールデンウィークに入る前にさ、やらねえ?」
アウトドア好きな同期が企画したバーベキューは彼女との約束の日だ。
「その日は彼女と約束があるんだ。」
「連れて来ればいいじゃん。
将来を考えてるって言ってた子だろ?」
「ああ、そうなんだけど…。」
彼女は行くと言ってくれるだろうか。
俺は不安に感じながら彼女にLINEを送った。

返事は夜きた。

『人見知りではありませんが見ず知らずの方と出掛けるということに抵抗がありますので遠慮します。
日曜日の午前中にご自宅に伺いますのでよろしくお願いします。』
 社葬があった日曜日といい今回といい、彼女ははっきりと自分の意見を言う。
ただしお断りの言葉ばかり。
それでも。
日曜日の午前中には会えるのだとそれだけを期待して同期に俺だけの参加の連絡をした。


バーベキューはバーベキュー台の備え付けられた公園で行われた。
同期の中には結婚した奴もいて子連れもいたし、彼女彼氏を連れてる奴もいて、ワイワイ楽しくやった。
翠だけがひらひらした格好でやってきて、女どもから顰蹙を買っていた。
バーベキューパーティと聞いて勘違いしたんだろう。
そこは独身男性の翠信者がフォローしていたが俺は冷めた目でそれを眺めていた。


バーベキューが終わった後、車を出した3人と今回のバーベキューを企画した奴が残り物や近所のスーパーで買ったつまみを持って俺の部屋になだれ込んだ。
「明日の朝彼女がくるからやめてほしいんだが。」
「お前の彼女の顔見たい!」
「美人なんだろ?」
勝手なことを言いやがる。


朝、目が覚めたのはチャイムの音だった。
マンションの入り口でキーを使ってロック解除すると部屋にチャイムが鳴るシステムだ。
こんな朝早くから誰だろうか。
時計を見れば10時。
10時!
俺はスマホを探し見つけ出せば彼女からのLINEが来ていた。
1時間前だ。
慌ててTシャツにハーフパンツを穿いていると玄関のチャイムが鳴り、部屋の鍵を開ける音が聞こえた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。

猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。 『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』 一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。

先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…

ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。 しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。 気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

お兄ちゃんはお医者さん!?

すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。 如月 陽菜(きさらぎ ひな) 病院が苦手。 如月 陽菜の主治医。25歳。 高橋 翔平(たかはし しょうへい) 内科医の医師。 ※このお話に出てくるものは 現実とは何の関係もございません。 ※治療法、病名など ほぼ知識なしで書かせて頂きました。 お楽しみください♪♪

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

処理中です...