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買い物に行きました。

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「あの…。」
キッラキラの指輪が目の前に数点。
あたしはカフェの隣のジュエリーショップに連行されていた。
「どれでも深和の好きなの選んで?」
店員さんは穏やかな表情で見つめている。
目の前に並んでいるのはどう見ても婚約指輪だ。
「だけどね?」
これでは12年前の再現に等しい。
きちんと大樹とお付き合いをして初めての休日のデートでもあたしは騙されてジュエリーショップに連れて行かれて指輪を買ってもらったことは忘れていない。
「オレが側にいられるのは日曜までだから。早く買いたかった。
個人的にはこれがいいんだけど。」
勧めてきたのは一粒だけダイヤの乗った指輪。ダイヤを両手で包み込むように見えるデザインだ。
「こっちはエタニティリングで石がいっぱいなんだけど。仕事にはつけやすいのかなぁ、とか。」
「大樹…。」
「本当にオレの我儘で悪いんだけど、婚約指輪だけは今買う。」
「わかった…。」

迎えに来た篤志と合流する。
「じゃオレこれから接待だから。」
「え?」
「向こうのオッサン共の相手。
明日も今日みたいな地味な格好でいいから。」
「え?」
「あいつらの相手なんかそれで充分っ!
じゃ、篤志、頼むね。」
「あぁ、いってらっしゃい。」
大樹はドアを閉め車を見送ってくれた。
「なんかいろいろと大変だった?」
あぁ…。
そういえば嵐のような1日だった。
「大変でした。特に最後が。」
「また指輪与えられましたか?」
「うん。」
「マジか…。そのうち引っ越しまでさせられたりしてな。」
「勘弁してよ…。」

実家に帰って両親に報告した。
「はあ…。」
やはり2人とも呆れている。
今日は篤志も一緒に車を降りた。
「やるなぁ、あいつ。」
「そういえば篤志くんは友達なんだっけ。」
父が言う。
「ええ、向こうにいる間は世話になりましたから。」
「どんな人なの?」
今更そこなのか、うちの両親は。
「深和に対しては過保護ですよ。」
そんなことが聞きたいんじゃないと思う。
「あの年で課長なんだから仕事もよくできるんじゃないですか?何年前からか日本に来ないかって言われてたみたいですし。
女遊びは一切してなかったですね。」
「過保護な人で大丈夫かしらねぇ?」
「そうでもしないと深和は人を頼る事が苦手だから。」
「昔から我慢強い子だったからねぇ。」
姉が自由奔放だったから、あたしはあんなふうにならないように頑張っていたのは誰にもいっていない。
「まあ、お互い支えあっていけるんだったらいいんじゃないか。
…向こうのご両親への挨拶はどうしたものかな。」
「一応聞いてみとくけど。
カタがついてからになるんじゃないかな。」
「そうだな。」
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