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2月に入って実習が終わり、自習の授業が増えた。
自習といえども国試に向けた勉強の時間だ。
しかし何故か一部の女子が浮き足立ってる感じ。
「バレンタイン?」
すっかり忘れていた。
「今のやよいには関係ないか。」
言うのは実習で一緒になったことで仲良くなった澤田さんだ。
「うん。そうだね。」
そんなことは、ない。
那賀さん…。
帰りの電車の中であたしはネットショップを眺める。
チョコだけでいいだろうか?
一口にチョコって言っても職場で綺麗な人にブランドのチョコを貰うんだろうか?
どんなのを渡したら喜んでもらえるのか。
それともいっそチョコじゃないものはどうだろうか。
……あたしは。
何を悩んでいるんだろう。
「義理チョコ」なんだし、スーパーやコンビニの1000円ぐらいので充分なはずだ。
でも。
あたしは那賀さんからそんなモノには代えられないことをしてもらっている。
せっかくの機会なのだから、ちゃんとしよう。
あたしはスマホで買い物をした。
バレンタイン当日は平日。
那賀さんの職場がどこなのかは名刺を見ればわかるけどあたしが約束もなくそこに行くのはためらわれる。
だからその前の土曜日に渡すことに決めた。
普段の週末と変わらない時間に那賀さんの住むマンションに行く。
インターホンをならすと那賀さんが出てきた。
「いらっしゃい。」
今日の那賀さんは白のざっくりニットにチェックのジョガーパンツ。
スーツ姿の那賀さんからは想像出来ない組み合わせだ。
「おはようございます。お世話になります。」
「いえいえ。
やよいが来てくれるとちゃんと食事が取れるから助かってる。」
「どういう意味、ですか?」
まるで普段食事をしてないようなっ。
「ちゃんとしたお昼ご飯が食べられるってコト。
今日は仕事持って帰ってきてるから、ランチは下のカフェでもいい?」
「…はい。」
那賀さんが休日のランチを外でなんて珍しい。
あたしがこの部屋に来るようになってから基本那賀さんの手料理なのに。
あたしはダイニングで、那賀さんはソファで、それぞれ勉強と仕事に集中した。
その日1日渡せるよう機会を見つけられないまま夕方になってしまった。
「送るよ。」
あたしが那賀さんの家にいるのは6時までと決めていた。
あまり遅いと親が心配するからと那賀さんがいうから。
それに家でご飯を家族と食べられるのは少しだけだから。
家族で食卓を囲める時間を大切にしなさいって言われた。
那賀さんは先にダウンを着て玄関で待っていた。
あたしはコートを着てカバンからチョコとプレゼントを出し、ダイニングテーブルの上に置いた。
これであたしからだってわかるはず。
忘れ物がないか確認して明かりを消し、あたしも玄関に向かった。
家に帰って、夕食を食べ、お風呂に入って部屋に戻って。
スマホを見るとメールがきていた。
那賀さんからだった。
「ありがとう。大事に使わせてもらいます。」
あたしが那賀さんに贈ったのはネクタイピン。
ブランドものだけどそんなに高くはなかった。
「どういたしまして。いつもお世話になっているお礼です。」
あたしは返信した。
自習といえども国試に向けた勉強の時間だ。
しかし何故か一部の女子が浮き足立ってる感じ。
「バレンタイン?」
すっかり忘れていた。
「今のやよいには関係ないか。」
言うのは実習で一緒になったことで仲良くなった澤田さんだ。
「うん。そうだね。」
そんなことは、ない。
那賀さん…。
帰りの電車の中であたしはネットショップを眺める。
チョコだけでいいだろうか?
一口にチョコって言っても職場で綺麗な人にブランドのチョコを貰うんだろうか?
どんなのを渡したら喜んでもらえるのか。
それともいっそチョコじゃないものはどうだろうか。
……あたしは。
何を悩んでいるんだろう。
「義理チョコ」なんだし、スーパーやコンビニの1000円ぐらいので充分なはずだ。
でも。
あたしは那賀さんからそんなモノには代えられないことをしてもらっている。
せっかくの機会なのだから、ちゃんとしよう。
あたしはスマホで買い物をした。
バレンタイン当日は平日。
那賀さんの職場がどこなのかは名刺を見ればわかるけどあたしが約束もなくそこに行くのはためらわれる。
だからその前の土曜日に渡すことに決めた。
普段の週末と変わらない時間に那賀さんの住むマンションに行く。
インターホンをならすと那賀さんが出てきた。
「いらっしゃい。」
今日の那賀さんは白のざっくりニットにチェックのジョガーパンツ。
スーツ姿の那賀さんからは想像出来ない組み合わせだ。
「おはようございます。お世話になります。」
「いえいえ。
やよいが来てくれるとちゃんと食事が取れるから助かってる。」
「どういう意味、ですか?」
まるで普段食事をしてないようなっ。
「ちゃんとしたお昼ご飯が食べられるってコト。
今日は仕事持って帰ってきてるから、ランチは下のカフェでもいい?」
「…はい。」
那賀さんが休日のランチを外でなんて珍しい。
あたしがこの部屋に来るようになってから基本那賀さんの手料理なのに。
あたしはダイニングで、那賀さんはソファで、それぞれ勉強と仕事に集中した。
その日1日渡せるよう機会を見つけられないまま夕方になってしまった。
「送るよ。」
あたしが那賀さんの家にいるのは6時までと決めていた。
あまり遅いと親が心配するからと那賀さんがいうから。
それに家でご飯を家族と食べられるのは少しだけだから。
家族で食卓を囲める時間を大切にしなさいって言われた。
那賀さんは先にダウンを着て玄関で待っていた。
あたしはコートを着てカバンからチョコとプレゼントを出し、ダイニングテーブルの上に置いた。
これであたしからだってわかるはず。
忘れ物がないか確認して明かりを消し、あたしも玄関に向かった。
家に帰って、夕食を食べ、お風呂に入って部屋に戻って。
スマホを見るとメールがきていた。
那賀さんからだった。
「ありがとう。大事に使わせてもらいます。」
あたしが那賀さんに贈ったのはネクタイピン。
ブランドものだけどそんなに高くはなかった。
「どういたしまして。いつもお世話になっているお礼です。」
あたしは返信した。
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