41 / 151
剣聖の娘、後宮に入る……?
お喋り
しおりを挟むユニオールの首都・リユニオンに着いたどー!
道中は魔物と遭遇する事もなく、国境超えもギルドカードのおかげで問題なくパス。平和なものだった。……揺り返しが怖いくらい平和だったんだが、これマジで大丈夫なのか?
「何をビクビクしていますの? 不審者と間違われても文句言えませんわよ」
と、言われましても……。お前はこの何も問題の無い現状に思うところは無いのか? 平和すぎるんだぞ!?
「貴方こそ何を仰っているのか……。平和ならそれに越したことはないでしょうに」
「とりあえず魔物エンカウント率が異常すぎるんだよ! 無ぇよ二週間、昼どころか夜さえ遭遇しないとか!」
普通は魔物避けの香とか焚かないと野宿とか無理って本で読んだぞ! いくらダンマスのダンジョンを宿にしてるからって襲撃が一度も無いとかおかしいだろ!
……レベル上げてぇのに獲物が来ない。待ちの姿勢がイカンのか? 攻めの姿勢で行かないと駄目なのか? 討伐依頼の時みたいに。
「絶対に何か巻き込まれるフラグだこれ……」
「単に私達に魔物が恐れをなしただけではありませんの?」
「駆け出しのくせになんでそう自信満々なんだ……このお嬢様は!」
俺らのレベルどんくらいだと思ってんだ? 少なくとも俺のレベルはまだ20にも行ってないぞ。ゴブリンの巣潰しは戦闘訓練には適してたんだが、レベル上げにはそれほど役立たなかった件ェ……。まあ、某RPGでいうところのスライムだもんな。
それにしてもエンカウント無しの原因を……原因を誰か教えてくれ――
スキル『威圧』発動中。(発動者:神山龍司)
発動者のレベルプラス5以下の害意ある魔物や獣を近寄らせない様にする。自動発動スキルのため、オフにするには『まりょく』が10以上必要。
なんか森羅さんのお陰でアッサリ解決……この二週間悶々としてた俺の気苦労って一体……?
いつの間にか新たなスキルをゲットしていたらしい。最近、ステータスのスキル欄見てなかったから気付かなかった……。それにしても俺って、気配遮断といいこの威圧といい、非戦闘スキル多くない? 戦うなって事なん?
*
冒険者ギルドは首都にあるだけあって、めっちゃ広い役所のような場所だった。
一階が総合受付カウンター。二階が図書室。三階より上は関係者以外立ち入り禁止の詳細不明スペースな四階建て。お約束の酒場はとなりに併設されていた。ほかにも訓練場とか学習塾まである。広い街なので支部とかもあるらしい。都心の冒険者ギルド、まじですごいな。
俺たちはとりあえず、受けられそうな依頼が無いか探すために総合カウンターへ向かった。
「いらっしゃいませ! 本日は依頼をお探しですか?」
にこやか営業スマイル! すげえ、某ファーストフード店もビックリなマニュアル対応だ! ファンタジー世界なのに!!
「あの……?」
驚愕のあまり俺が動かなくなったので、戸惑う受付嬢。
「彼は無視して良いですわ。何か初心者向けの依頼はあって?」
俺の代わりにシータが手続きを進めた。なんだかんだいって彼女の度胸は俺以上なのだ。
「あ、はいっ。それでしたらこちらになります」
受付嬢が取り出したのは、やたら重量感のある分厚いファイル。流石におののくシータさん。俺もちょっと引いた。|初心者向け依頼(おつかい)だけでも、こんなにあるのかよ! 軽く人が殺せるぞ、これ!?
「……ぶ、分厚いんですのね」
「何しろ大きな街ですから!」
雑用が多いんですね、わかります。でもって処理速度が追いついてないのな。この街、近場にダンジョンがあるから、みんなそっちに流れるんだろうなー。雑用よりは実入りがいいっぽいし。
「とりあえず俺は荷運び系かねぇ。こんな大きな街には草刈りとか需要なさそうだ」
「いやにこだわりますわね、草刈り」
「そらまー、はじめて受けて成功させた依頼だからな。思い入れもあるさ」
あと報酬が割とオイシイんだよなー。みんなやりたくねーけど、いつかはやらなきゃいけない系だから。
「――草刈りをご所望……なんですか!?」
――ん? どうしたんだ受付嬢さんよ。なんか目がキラキラし始めてるが。え、なにその意外な反応。
「――貴方が神か!!」
カウンターから乗り出し、俺の手をガシッと掴む受付嬢。目がらんらんとしていてヤベぇ。
――というか…………………はい? いや確かに俺、神さまですけど。
5
お気に入りに追加
1,167
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。
勇者パーティを追放された聖女ですが、やっと解放されてむしろ感謝します。なのにパーティの人たちが続々と私に助けを求めてくる件。
八木愛里
ファンタジー
聖女のロザリーは戦闘中でも回復魔法が使用できるが、勇者が見目麗しいソニアを新しい聖女として迎え入れた。ソニアからの入れ知恵で、勇者パーティから『役立たず』と侮辱されて、ついに追放されてしまう。
パーティの人間関係に疲れたロザリーは、ソロ冒険者になることを決意。
攻撃魔法の魔道具を求めて魔道具屋に行ったら、店主から才能を認められる。
ロザリーの実力を知らず愚かにも追放した勇者一行は、これまで攻略できたはずの中級のダンジョンでさえ失敗を繰り返し、仲間割れし破滅へ向かっていく。
一方ロザリーは上級の魔物討伐に成功したり、大魔法使いさまと協力して王女を襲ってきた魔獣を倒したり、国の英雄と呼ばれる存在になっていく。
これは真の実力者であるロザリーが、ソロ冒険者としての地位を確立していきながら、残念ながら追いかけてきた魔法使いや女剣士を「虫が良すぎるわ!」と追っ払い、入り浸っている魔道具屋の店主が実は憧れの大魔法使いさまだが、どうしても本人が気づかない話。
※11話以降から勇者パーティの没落シーンがあります。
※40話に鬱展開あり。苦手な方は読み飛ばし推奨します。
※表紙はAIイラストを使用。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる