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28 罠
しおりを挟むSIDE:メリア
「ロザリンデ王女のお部屋をもう一度見せてもらっても?」
「それは別に構わないが……何かあるのか?」
「呪いをかけるための起点になったものが無いか。それを調べようと思いまして」
王女に呪いをかけた方法。
それが分かれば、犯人の手がかりとなる。
彼女の部屋に何かしらの手がかりが無いか……
だれも原因を突き止めることができなかった呪法だ。
もしかしたら証拠を処分する必要もない、なんて考えてるかもしれない。
それくらい詰めが甘い相手なら助かるのだけど。
例えばそれが、誰かからの贈り物に罠が仕掛けられていたと言う事であれば……そこから犯人を辿ることもできるかも知れない。
「そういうことであれば是非お願いしたい。ここには、メリア殿以上に呪いの類に詳しい者はおらぬからな」
「では早速……と言いたいところですけど、まだお休み中かしら……まだ本調子じゃないでしょうし、あまりガサゴソやるのも気が引けるわね」
「だがあまり時間を置いても証拠を隠滅されかねん。ロザリーには悪いが、調査を優先させてもらおう。……あぁ、調査は私も立ち会わせてほしい」
「分かりました。では行きましょうか」
そうして私は再びロザリンデ王女の部屋に伺うことになったのだけど……
「ならば、儂は……いま目星を付けてる者たちの動きを監視しておこうかのぉ」
そう言って、前デルフィア王陛下……ゼフィール様が先に出ていかれた。
「……父の手を煩わせるのは本意ではないのだがな。今はとにかく手が欲しいから、致し方ない」
……私は使えるものは何でも使う主義だけど、王の立場としては複雑なのかしらね?
ともかく、私達も手がかりを得るために行きましょう。
SIDE:???
不味いことになった。
まさかあの呪いの正体を見破る者がいようとは……
東方の邪神を崇める教団に伝わるという強力な呪い。
しかし、そうと知らなければ呪いということすら分からなかったはず。
ましてや、解呪してしまうなど……
『森の魔女』はあらゆる病を治すと言われているのは聞いてはいたが、呪いにまで通じているなど想像もしていなかった。
万が一を考えて暗殺を決行して、それが失敗してしまったのも輪をかけて不味い状況だ。
これまで極力目立たず、あくまでも病気に見せかけてきたのが……もはや害意を持って暗殺しようとしているのは明白となってしまった。
おそらく国王や前王は、ある程度は怪しい者の目星を付けているはず。
その中には恐らく私も含まれているだろう。
……どうする?
呪いが見破られる事は無いだろうと高を括っていた。
証拠を隠滅することも出来ていない。
もはや私のもとに辿り着くのも時間の問題か……?
ならば……慎重に動いてきたこれまでの努力は無駄になってしまうが、先手を取って強行手段に訴えるべきかもしれぬ。
忌々しきはあのメリアとか言う小娘……!
『緑の王』などと僭称していたが、身の程知らずもよいところだ。
こうなれば、王女ともども葬ってくれよう!!
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