【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I

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レティシア15歳 輝く未来へ

第144話 対抗戦初日の終わり

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 『武術対抗戦』の最初の勝利者となったルシェーラ。
 武舞台を降りる彼女を、クラスメイトたちが大きな歓声と泊手で迎える。


「ルシェーラちゃん、お疲れ様!凄かったよ!」

「ありがとうございます。幸先の良いスタートが切れて良かったですわ」

 レティシアが労いの言葉をかけながら手を高く掲げると、ルシェーラはそれに合わせてハイタッチで応じる。
 他のクラスメイトたちも集まってきて、同じように勝利の喜びを分かち合った。



 そして武舞台には次の対戦者たちが上がる。
 今度は男子の一回戦だ。

 すると……

「1年2組!!勝つぞーーっっ!!!それっ!ガ・エ・ル!!ガ・エ・ル!!」

 メリエルを団長とした1年2組の応援団が、大きな声でエールを送る。
 ちびっ子が一生懸命応援する姿に、会場中がほっこりとした空気になった。

 しかし武舞台の選手たちは真剣そのもの。
 お互いに闘気を高め試合開始を待っていた。



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆



 初戦の盛り上がりのまま、その後も武術対抗戦の試合は消化されていった。
 その他の会場においても各種競技が予定通り進められ、対抗戦初日は終了となる。


 レティシアの1年1組は武術対抗戦で男女ともに一回戦に勝利。
 その他の競技でも好成績を収め、一年生ながら現時点で上位に食い込んでいた。


「順調なスタートよね。これは優勝を目指せるかしら」

「もちろん狙うでしょ」

「当然ですわね」

 シフィル、カティア、ルシェーラが当然のように言う。
 他のクラスメイトたちもやる気に満ちていた。


「みんな燃えてるね~」

「そうね。でも、私もやるからには全力を尽くすわ」

「もちろん私も全力は尽くすんだけど、ちょっと自信ないな……」

 やはりやる気十分なステラに対して、レティシアの言葉は少し後ろ向きだ。
 今日の武術対抗戦の試合を見て、いかに自分が実戦に向いてないと言うことを改めて痛感したのだが……


「もう、まだそんな事を言ってるの、レティは。大丈夫よ、メリエル以外はあなたの敵じゃないわよ」

 やや呆れながらも、シフィルが太鼓判を押す。
 クラスメイトたちは、普段の魔法実技の授業の様子などからレティシアの実力を高く評価している。
 魔法対抗戦の選手選定の際も、まったく異議はでなかった。

「そうかなぁ……」

 しかし当の本人はそこまで言われても半信半疑の様子だ。

 果たして、シフィルの言う通りなのか……
 いずれにしても、それはレティシアが実際に武舞台に立てば分かること。
 そんか期待と不安が入り交じる魔法対抗戦は、3日目から始まる予定だ。





 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


 対抗戦初日が終わり、学生たちはその場で解散となる。
 すぐに帰宅する者もいる一方で、熱戦の興奮冷めやらぬまま校内に留まって談笑する者たちも多かった。


 レティシアは談笑する友人たちをその場に残し、自分の教室に向かう。
 昨日から教室に置き忘れていた荷物を取りに行くためだ。

 騒がしい学内にありながら、対抗戦の期間中はほとんど使われることのない教室棟は閑散としていた。

 そして、彼女が廊下を歩いている途中、ばったりとフィリップに出会った。


「やぁ、レティ。今日はお疲れさま」

「あ、ジャック先生・・・・・・。こんにちは~。お疲れ……と言っても、私の出番はまだですけど」

「魔法対抗戦に出るんだっけ?」

 誰がどの競技に出るのかは、掲示板に張り出されたり、大会プログラムも配布されている。
 なので当然、彼はレティシアの参加競技は押さえている。


「ええ。自信はあまりないですけど……」

 友人たちに話していたのと同じように、彼女は言う。


「そうなのかい?レティの魔導士としての実力は、宮廷魔導士以上と聞いてたけど。噂によると、魔力放出だけでボンクラ貴族を黙らせたとか……」

「……知ってるんですか、ソレ」

 彼女は、フィリップに黒歴史を知られていたことに頭を抱える。
 国外の彼にも知られるほど噂が広がっていたのか……と。


「ははは!まぁ、いいじゃないか。貴族の責務の何たるかも理解せずに民を侮辱する者には、良い薬になっただろう。アンリさんもそう言ってたよ」

「情報源は父さんか……もう、お喋りなんだから」

「まあまあ……(それに、良い男よけになっていたみたいだし、僕としては助かったよ。流石にもう有効期限が切れてたみたいだけど)」

 起工式での様子を思い出し、もう『魔除け』の効果は無くなった……そんな事を彼は考える。


「まあとにかく、魔法対抗戦は楽しみにしておくよ。応援に行くから頑張ってね」

「はい、できるだけやってみます」


 そこでフィリップとは別れる。
 そして忘れ物を取ったあと、再び友人たちと合流してから帰宅するのだった。


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