【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I

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レティシア15歳 輝く未来へ

第134話 クラブ見学

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 職員室を出たレティシアは、カティアたちと合流してクラブ活動を見学する。

 彼女が興味を示していた『魔道具研究会』では、学生ながら様々な魔道具を開発していた。
 特に写像の魔道具は、機能も使い方も前世のカメラに近しく、カティアともども非常に驚いたものだ。
 応用すれば、ホームルームの時に考えていたコピー機も作れるだろう……と、さっそく提案したりもした。

 また、当然といえば当然かもしれないが……魔道具研究会の先輩たちはレティシアの事を知っていて、新入生ながら魔道具開発者として多大な実績を持つ彼女に尊敬の眼差しを向けていた。


 『化学クラブ』はステラの希望。
 様々な実験を通してモノの性質を明らかにする……というものなのだが……そこに魔法が絡んでくるので、レティシアはイメージ的に錬金術を思い浮かべた。

 そのあとは、カティアの希望で『アパレル研究会』を見学。
 カティアはかなりオシャレ好きらしく、活動内容に興味を持ったようだ。


 意外だったがシフィル希望の『料理研究会』だ。
 武神杯での豪快な戦いぶりや、初対面のイメージからは想像もつかなかったが、彼女は料理が得意らしく、ステラも太鼓判を押していた。

 そしてレティシア的にもっと意外だったのは、カティアも料理が得意ということだ。
 こちらはルシェーラが認めていた。
 同じく前世男の自分は料理はからっきしだから……というのが意外と思った理由のようだ。

 なお、レティシアは一回だけ家族に料理を振る舞ったことがあるのだが……しばらく厨房への出入りが禁止されてしまった程の腕前である。



 『乗馬クラブ』では、ステラとカティアが見事な乗馬技術を披露した。
 二人の少女が華麗に馬を操る姿は、非常に絵になる光景だった。


 『武術クラブ』では、武神杯の優勝者であるカティアの来訪に部員たちが沸き立ったが、当の彼女は入部するつもりはないらしい。
 しかし、入部希望のルシェーラが同じ新入生のガエルと言う巨漢の男子生徒と実際に模擬戦を行い、大いに盛り上がる。
 彼女は体格差をものともせず、得意のハルバードを振るって勝利を収めた。
 一方、対戦相手のガエルも敗れはしたものの、恵まれた体格から繰り出される大剣の一撃は驚異的であり、将来有望な戦士であることをうかがわせた。



 シフィルの希望である『攻撃魔法同好会』では、実際に競技の一つを皆で体験した。
 空に飛ぶ円盤のようなターゲットを魔法で撃ち抜く『ターゲット・シューティング』という競技だ。
 最も好成績をおさめたのはシフィルとステラで、二つ外しの命中率28/30という成績には、先輩部員たちも驚愕していた。
 彼女たちは弓が得意なので、それも好成績に関係しているのかもしれない。
 次点はメリエルで、命中率27/30。
 こちらも驚くべき成績である。

 レティシアは命中率25/30で、これも非常に優秀ではあるのだが、他の三人には一歩及ばなかった。
 扱える魔法の種類の多さや威力などであれば彼女も自身があるのだが、高速で飛び交う小さな的に当てるというのは違った技術が求められるのだ。
 魔法には自信を持っていたので、彼女はかなり悔しがっていた。

 なお、カティアは30/30でパーフェクトを達成したのだが……使用した自動追尾の[雷龍]が禁止魔法だったため、反則により失格となった。


 『演劇クラブ』の見学を希望したのはカティアである。
 彼女は『エーデルワイス歌劇団』に所属しているが、演劇に出演したことはない。
 なぜなら彼女は……大根役者だからだ。
 レティシアはそれを聞いたとき、あれほど表現力豊かに歌を歌う彼女が何故……と不思議に思ったものだ。
 カティアがエーデルワイス歌劇団の稽古の様子や裏話などをすると、部員たちは大いに喜んでいた。



 そして最後に訪れたのは『合唱クラブ』。
 こちらもカティアの希望によるのだが……憧れの歌姫の来訪に、先輩部員たちの歓迎ぶりは、その日一番のものとなった。

 それから実際に、先輩部員たちが新入生歓迎を兼ねて合唱を披露。
 コンクール上位入賞の常連と言われる彼らの合唱は圧巻であり、レティシアたちはもちろん、普段は観客を虜にするプロのカティアでさえも感動しきりであった。

 その後は入部希望の新入生たちが歌うことになった。
 少年少女ちが素晴らしい歌声を披露し、こちらも大いに盛り上がったのだが……アリシアという女生徒が歌い始めた瞬間、その場の空気が一変する。

 それまではどこか気弱な様子だった少女が、打って変わって凛とした雰囲気で美しく伸びやかな歌声を響かせ、それを聴く者たちを一瞬で虜にしたのだ。

 稀代の歌姫であるカティアにも匹敵するほどの歌声……
 それはレティシアのみならず、誰もが……当のカティア本人でさえも、そう思った。

 アリシアが歌い終わったあと、先輩部員たちもカティアが手放しで大絶賛すると、彼女はあたふたと慌てふためき恥ずかしがっていた。
 歌っている時とはかなりギャップがある。

 そして、カティアは周りがドン引きするほどの勢いで彼女をエーデルワイス歌劇団に勧誘するのだが……部長にやんわりと注意されていた。

 そのあとはカティアも歌声を披露し、さらに先輩部員と入部希望の新入生たちも一緒になって歌いながら大いに盛り上がる。

 レティシアは一緒に歌うことはなかったが、体でリズムを取ったり、メロディを口ずさんだりして一緒に盛り上げ、大いに楽しむのだった。





 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆





 こうして、レティシアの学園での最初の一日は終わりを告げる。

 初日から友人もでき、明日から本格的に始まる学園生活を大いに楽しみにしながら、レティシアは帰路に着く……その前に、商会に顔を出すことにした。

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