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レティシア15歳 時代の変革者たち
【番外編】レティの鉄道講座 そのきゅうっ!
しおりを挟む「ど~も~!今回もやってきました!鉄道講座の第9回です!」
「こんにちは~!アシスタントのK……こと、カティアでっす!」
「おぉ……ついにKさんの正体が明らかになったんだね」
「第一回から名前バラしてましたけど。……ということで、今回本編でついに登場した私、カティアが主人公として活躍する大長編冒険活劇『転生歌姫の舞台裏』の方も、ぜひ読んで下さい!本編完結済です!」
「宣伝乙」
「ということで今回のテーマは……『客車列車』です!」
「客車?私達が乗った列車みたいな、機関車に牽かれて走るやつ?」
「そう!……もう日本ではあまり走らなくなったけど、鉄道列車の原点とも言えるね」
「え~と、電車とかディーゼル車とかの、『動力分散方式』が日本では主流なんだよね」
「おぉ!?どうしたの?良く知ってるじゃない」
「へへ~……これでもちょっとは勉強してるんだよ」
「えらい!もう鉄仲間だね、カティアも。……それで、いま言った通り日本ではもうあまり客車列車は見なくなってきたんだけど、その理由はわかる?」
「え~と……終点とかで機関車の付替えが手間だから……だったかな?」
「そう、それも理由の一つ。高頻度運転の妨げになるということだね。他にも、機関車の最高速度や加減速性能の限界だったり、機関車自体の重量の問題だったり……様々な要因があるんだ。電車やディーゼル車の動力分散方式はこれらの問題を解決できるってこと」
「ふむふむ……あれ?だったらレティシア鉄道(仮)も、そうすれば良かったんじゃ?」
「レティシア鉄道はやめれ。……そうだけどね。ただ需要を考えると、まだまだその段階じゃないかな……と。技術的にも未発達だから、これから分散方式も考えるときが来るかもしれない」
「そっか~」
「それに、さっき挙げた客車列車の問題点は、動力分散方式じゃなくてもある程度は解決できるんだ」
「そうなの?」
「例えば機関車付替えなんだけど……ぶっちゃけると、別にそのまま付け替えずに折り返したって良いんだよ。それを推進運転って言うんだけど」
「えっ!?……そうなの?じゃあ、何で日本ではわざわざ付け替えるの?」
「単純に機関車をバックさせるだけだと、運転席の運転士とは別に客車側先頭に監視要員が必要になるし、連結器の問題もあってそこまでスピードが出せないんだよ」
「あ~、なるほど」
「推進運転の例としては、かつての上野駅が有名かな?(※)上野駅で長距離列車が発着する地上ホームは、頭端式だから機回しができない……だから車両基地から回送するときに推進運転で入線させる必要があったんだよ。で、客車側の先頭に監視要員を配置して、無線で連絡しながら運転するんだけど……25km/hくらいしか出せないんだって」
※今でも臨時列車の『カシオペア紀行』で見られる。
「そんな遅いんじゃ、とてもじゃないけど通常の運行には使えないね……」
「そうだね。日本でも観光列車なんかでは見られるんだけど……高速運転には向かない方法なんだ」
「なるほど~」
「ところが、ですよ」
「ん?」
「外国なんかだと推進運転は珍しくないんだ。中には200km/h以上の高速運転する列車だってある」
「えっ!?……どうやったらそんな事ができるの?」
「まず運転席の問題。これは簡単。客車側にも運転席を作って、遠隔で機関車を運転すれば良いんだ。そういう客車は『制御客車』って言うんだ」
「なるほどね」
「でもう一つの問題は連結器なんだけど……日本の連結器は自動連結器とか密着連結器とかが主流なんだけど、これって車両間の衝撃が結構あるんだよね。あと、押す方向の力をあまり想定してない。で、一方の推進運転が盛んに行われてるヨーロッパなんかだと、ねじ式連結器が主流なんだ」
「本編に出てきたやつだね。レティシア鉄道(仮)も採用した」
「それは止めなさいって。……そう、割と原始的な連結器なんだけど……特徴的なのは、連結器とは別に『バッファー』っていう緩衝装置が付いてること。これがあるおかげで、客車同士が密着して衝撃が少ないんだ。乗ってみると実感するんだけど、連結器起因の衝撃はほとんど感じられない」
「ほ~……乗り心地が良いってことだね。日本もそうすればいいのに」
「昔は日本もねじ式連結器だったよ。だけど、デメリットもあるから、ある時期に一斉に自動連結器に交換されたんだ。まあ、それは置いといて……制御客車やバッファーのお陰で、推進運転でも安定して走行が出来る……大雑把にはそういうこと」
「なるほど~、面白いね。じゃあ、レティの鉄道でも推進運転を考えてるの?」
「そう。1/2スケールでは実績があって、フルスケールの方でもこれから制御客車を組み込んだ試験を開始する予定だよ。ちなみに……牽引運転から推進運転で折り返す運行形式を『プッシュ・プル』とか『ヴェンデツーク』『ペンデルツーク』なんて言ったりするんだ」
「なんか響きがカッコイイ」
「んだね」
「ということで、今回の講座はここまで!」
「おつかれさま~」
「本編の方は次回より15歳編の後半が始まります!いよいよ話も大詰め、開業に向けて突っ走ります!」
「私たちの学園生活の話もお楽しみに~」
「それではまた!」
「さようなら~!」
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