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エピローグ
カルヴァード大陸鉄道史
しおりを挟む《鉄道開業前》
・イスパル王国の第二都市イスパルナ、モーリス公爵邸にて。
当時まだ5歳に過ぎなかった公爵令嬢レティシアが設計したトロッコ列車が試作される。
これが鉄道の原点と言われている。
・アスティカント学院の学生リディーが書いた論文をもとに、レティシアとリディー、マティス、マルクらのモーリス商会技術開発部の研究・開発によって、世界初の魔導力モーターが作られる。
・モーリス商会技術開発部により、現在の標準規格の二分の一のスケールで、世界初の魔導力機関車が作られる。
後年、アクサレナで開催された技術開発品評会にて、この魔導力機関車を用いたデモ走行が実施され、モーリス商会は初代『レティシア・モーリス賞』を授与される。
・標準規格による初の魔導力機関車、901型が客車とともに落成。
同時期にイスパルナ~トゥージス間に試験線が敷設され、実用化試験が開始される。
・トゥージス~アレシア大河西岸までの工事が完了。
・アクサレナ~アレイスト(アレシア大河東岸)までの工事が完了。
・アレシア大河に鉄橋が完成。
これにより、イスパルナ~アクサレナの線路工事は完了し、関連各施設が『イスパル邦有鉄道』に移管される。
営業に向け、全線を用いた試験が開始される。
《鉄道開業以後》
・イスパルナ~アクサレナ間にて正式に鉄道の営業が開始される。
運行は『レティシア鉄道』により、一日5往復が設定された。
全て各駅停車で、平均所要時間は約6時間。
営業運転における最高速度は80km/h。
起終点の両都市にて大々的に開業式典が行なわれ、アクサレナ発の一番列車には国王一家の他、鉄道の生みの親であるレティシアも乗車した。
・開業一ヶ月後に貨物輸送が開始される。
モーリス商会、アズール商会などの名だたる大商会が荷主となり、ダイヤ改正のたびに増発を重ねていく。
・開業一年後、初の定期急行列車が運行を開始する。
イスパルナ~アクサレナ間の停車駅はアレイストのみで、一日3往復が設定される。
平均所要時間は約5時間。
・イスパルナ~ブレゼンタム間の工事が開始される。
・アクサレナ~アスティカント~レーヴェンハイム間の工事が開始される。
・02型魔導力機関車が落成。
・最大35‰の急勾配が続く難所である、フィラーレ峠越えのために開発された専用補機、51型魔導力機関車が落成。
・イスパルナ~ブレゼンタム、アクサレナ~レーヴェンハイムが開業。
・アクサレナ~イスパルナ~ブレゼンタム間に初の定期特急列車『ディザール』が運行を開始。
アクサレナ~ブレゼンタム間に2往復設定、停車駅はイスパルナ、フィラーレ、ゴルナード。
02型の登場によって最高速度は110km/hまで引き上げられ、特急列車によるアクサレナ~イスパルナの所要時間は約4時間、イスパルナ~ブレゼンタムは約6時間となる。
・イスパルナ~レーヴェンハイム間に、国際夜行特急『リヴェティアラ』が運行を開始する。
一等・特等寝台車で編成され、王侯貴族や政府高官が利用することが多かったようだ。
・イスパルナ~トゥージス間で、初の脱線事故が起きる。
幸いにも死傷者は出なかった。
原因として、連日の猛暑によってレールが歪んだ事が調査によって分かった。
以後、対策の為ロングレールが開発される。
・03型魔導力機関車が落成。
鉄道草創期の傑作機関車であり、その優美な姿から鉄道の母の異名にあやかって、『モーリス女公爵』と呼ばれた。
フラッグシップ機として、主に特急の牽引機に充当された。
特に有名なのは、イスパル王家所有の特別列車の牽引機として指定され、美しい青と金の縁取りの専用塗装が施された15号機、『プリンセス・カティア』であろう。
・ブレゼンタム~アテムアルト間、アスティカント~オスクシュ間、アクサレナ~ブリュネ間、イスパルナ~ルックル間が次々と着工。
これ以後もカルヴァード大陸の各国各地で計画・着工が進み、鉄道の建設ラッシュを迎える。
・アクサレナ市内線が開業。
初の軌道線、かつ地下鉄となる。
・東大陸のグラナ帝国・帝都パニシオンに向かう路線が計画される。
レーヴェンハイムから北上しアールヴ山脈を超えるルートは、後年の歴史において人類史上最大の工事と呼ばれることになる。
・鉄道開業10周年を迎える。
開業日が『鉄道の日』として、イスパル王国の祝日になる。
・レーヴェンハイム~パニシオン間が開業。
カルヴァード大陸各地からの直通列車が多数運行されるようになる。
・東大陸の各国から、アドバイザーとしてレティシア夫妻が頻繁に招かれるようになる。
後年に見つかったレティシアの手記には、『最近船旅ばかりで全然列車に乗れないんですけど……』と、愚痴が書かれていた。
しかし、旅先を観光して楽しんでいる様子も多く書かれていたので、充実はしていたようだ。
・レティシアとリディーの息子であるクリストフを中心としたチームが開発した、新たな動力方式を用いた車両が試作される。
これにより、鉄道は次の時代を迎えることとなった。
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