【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I

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レティシア12歳 飛躍

第59話 決戦3

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 廃坑の魔物との戦いは、いよいよ決着の時を迎えようとしていた。

 個々の能力もさることながら、魔物とは思えない程の的確な連携によって、冒険者たちは苦戦を強いられていたが、エリーシャとレティシアの参戦により形勢を逆転。
 ついには総大将たるオークエンペラー、ただ一体を残すのみとなった。


「最後まで油断するな!!一体だけでも強力な魔物に違いはないぞ!!」

「前衛三人で囲むぞ!!俺たちの攻撃の合間に魔法を叩き込んでくれ!!」

 前衛のフランツ、ジャン、そしてエリーシャが敵を取り囲む。
 エリーシャは、冒険者二人の息のあった連携を邪魔しないように立ち回りながら、自らも斬撃を叩き込む。
 そして、中衛後衛のメンバーも、前衛の攻撃が途切れるタイミングを補うように弓矢や魔法で牽制。

 如何にタフネスを誇る魔物といえど、こうなれば後は時間の問題だ。
 反撃に注意を払いながら、確実に追い詰めていく。


 そして……


「大きいの撃つよ!!」


 レテァシアの掛け声で前衛三人が散開する。

 それを見た彼女は、手を前に突き出して最後のトリガを引いた!


「[[虚空槍]]!!!」

 物体を消失させる虚無の光が槍となってオークエンペラーに襲いかかる!!


 ボッッ!!


『ぶがぁーーーーっっ!??』


 それは魔物の腹に大穴を開け、堪らず絶叫が上がった!!



「決まった!!」

「まだだっ!!止めを刺すぞ!!!」

「はいっ!!」


 一時後退していた前衛三人が再び間合いを詰め、渾身の斬撃を叩き込む!!


 ザンッ!!

 ザシュッ!!

 ドシュッッ!!


 フランツが首を切り裂き、エリーシャが背後から袈裟懸けに、ジャンの斧が胴を薙いだ。


『ブ、ギィ……』


 それぞれが致命の威力を持つ攻撃を同時に受け、さしものオークエンペラーも、ついには断末魔の声を上げて動きを止め……


 ズズン……


 地響きを立てて地面に倒れ伏すのであった。

















「ふぅ……どうにか倒したな」

「いやぁ、嬢ちゃんたちの加勢が無かったら……どうなってたか」

「本当ね……護衛対象に助けられるなんて、冒険者失格だわ」


 戦いが終わり一息ついたところで、冒険者たちが反省の弁を述べる。
 勝利の余韻に浸る余裕も無いようだ。


「そ、そんな事!どう考えてもアレはイレギュラーだったんじゃ……」

「それはそうかも知れんがな……まぁ、ギルドにはありのままを報告して査定は任せるさ」

「ともかく、これで魔物は一掃出来ただろ。さっさと街に帰ろうぜ」

 そう、ジャンが話を締めくくった。








 レテァシアの初めての冒険はこうして終わりを告げた。

(う~ん……転生したからには冒険でしょ、なんて軽い気持ちでついて来たけど……現実は厳しいね。今回はたまたま何事もなかったけど。やっぱり私には向かないって事が良く分かったよ) 

 そう結論づける。
 そして、これ以後に彼女が冒険に出ることは無かった。

 ただ一度を除いては。
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