68 / 191
レティシア12歳 飛躍
第58話 決戦2
しおりを挟むオークキングとの決戦。
苦戦を強いられている冒険者たち。
その状況を見たレティシアは、自らも戦いに参加することを決意する。
……しかし。
彼女は、魔法の才能は桁違いだが……戦闘の経験など全く無い完全な素人だ。
下手に手を出せば冒険者たちの連携を乱し、むしろ足を引っ張りかねない。
それはレティシア自身にも良く分かっている事だ。
それでも……この状況で手を拱いているだけなのは我慢ならなかった。
「エリーシャ……皆に加勢出来ない?私も魔法で支援する」
「お嬢様……ですけど……!」
レティシアの護衛に徹してるエリーシャも、冒険者たちが苦戦する様子を見て焦っていた。
しかし彼女はあくまでもレティシアを護るのが役目。
不用意に主の元を離れる選択は取れないでいるのだった。
彼女たちがこうして悩んでいる間にも、戦いは続いている。
少なくないダメージを負った前衛二人は、どうにか体勢を立て直して戦線に復帰している。
しかし、やはり先程までと比べれば動きの精彩を欠いているようだ。
中衛後衛のサポートによってどうにか抑えている状態。
一方のオークキング達といえば……開戦当初こそ早々と駒を失ったものの、今は互角以上に冒険者たちと渡り合っている。
「あの強さ、指揮能力……もしかしたら、キングじゃなくてエンペラーかも……」
「オーク……エンペラー?」
「はい。キングをも遥かに凌駕する能力と、他種族さえ従える支配力を持った……脅威度Sランクの魔物です。放っておけばどんどん配下を増やして……軍団となる事も」
それを聞いたレティシアは、ついに決断を下す。
「戦おう。私達も……!今ならまだ、巻き返せるよ!」
「お嬢様……分かりました!!私は前衛に加わります!!」
「うん!お願いね、エリーシャ!!」
レティシアの願いを聞き入れ、エリーシャも覚悟を決める。
そして、一気に飛び出して……
「加勢します!!はぁーーーっっ!!!」
前衛二人の間に飛び込んで、渾身の一撃をハイオークに叩き込んだ!!
『プギャッッ!!!?』
突然割り込んできたエリーシャに反応が遅れたハイオークは、まともに唐竹の斬撃をまともに頭に食らう。
それは致命の一撃となり、ハイオークは絶命して地に沈む。
「エリーシャか!!助かったぞ!!」
「嬢ちゃんの護りは!?」
「攻撃こそ最大の防御ですっ!!一気に畳み掛けましょう!!」
男たちを鼓舞するエリーシャ。
彼女の参戦によって……更にはハイオークを一体撃破したことにより、敵味方の前衛の数的優位が逆転する。
(……何気に後ろのオークメイジの支援が鬱陶しいね。私はあいつらを……!)
それほど強力な魔法は使ってこないようだが、こちらの連携を寸断するような嫌らしいタイミングで攻撃してくる。
メイジを何とかすれば、勢いに乗れる……そう考えたレティシアは素早く魔力を制御して……
「[[雷龍]]!!」
雷撃の上級魔法を放った!!
「ら、雷龍!?二体同時に!?しかも無詠唱って!?」
思いがけず高度な魔法……しかもそれが無詠唱で放たれた事に驚愕の声を上げるロミナ。
レティシアが優れた魔法の才能を持っていることは分かっていたが、それはロミナの想像を遥かに超えたものだった。
レティシアの魔法によって生み出された雷撃の龍は、左右に分かれて戦いの場を迂回し……後衛のオークメイジに襲いかかる!!
(これなら皆の連携を乱すこともないでしょ!!)
そして狙い違わず、雷龍たちはオークメイジ2匹に食らいつく!!
バリバリバリッッッ!!!!
『『グギャアーーーーッッ!!??』』
オークメイジの全身を強烈な電撃が駆け巡り、瞬時に絶命させる!
そして尚も健在な二体の雷龍は、残るもう一体のオークメイジにも襲いかかりこれを撃破!
三体いたオークメイジは瞬く間に全滅するのであった。
そして、オークメイジの魔法による支援が無くなった事で、前衛三人の連携が機能し始める。
そうなると一気に戦況は冒険者たちに傾き、程なくハイオーク二体を撃破する。
エリーシャとレティシアの参戦によって形成が逆転した冒険者たち。
あとはオークキング……いや、オークエンペラーただ一体を残すのみとなった。
10
お気に入りに追加
178
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる