【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I

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レティシア12歳 飛躍

第57話 決戦

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 ついにオークキングとの決戦が始まった。

 先ず先手を切ったのは相手方……!


『『『ブギーーーっ!!!』』』

 オークメイジ3体が魔法発動、石礫や火の玉が飛来する!!

 しかし、それらはライルが展開していた魔法防御の結界に阻まれ、味方に到達することはなかった。


 オークメイジ……と言うより、魔物が扱う魔法は人間が使う『詠唱魔法』とは区別して『原初魔法』と呼ばれる。
 その魔物固有の生まれつき能力として使うことが出来るのだ。
 それは逆に言えば……魔物の知識さえあれば対処はし易いということでもある。
 ただ、詠唱は不要である上に威力も大きい傾向にあるので油断は禁物だ。



 オークメイジの魔法が不発に終わったのを確認して、両陣営の前衛が前に出る。

 棍棒や石斧で武装したハイオーク5体に対するのは、フランツとジャンの二人。
 数の上では不利だが……それを補うようにロミナの魔法が飛ぶ!


「[氷霜]!!」

 使ったのは強烈な冷気を浴びせる中級魔法だ。
 空気中の水分を凍結させ、キラキラと輝く冷気がハイオークの一体に襲いかかる!!


『ブギャーーーッッ!!?』

 瞬く間に全身が氷と霜で覆われて、その巨体が凍りつく!


「うしっ!!止めだっ!!!」


 バキィンッッ!!


 そこにジャンが振るったポールアクスが叩き込まれ、凍結したハイオークの身体を粉々に打ち砕いた!!



 ロミナとジャンが連携して一体を倒している間に、フランツはもう一体に肉薄して……相手の棍棒の大振りを躱しながら逆袈裟に斬り上げる!!


 ザシュッ!!!


『プギャッ!?』

「む?……浅いか?」

 フランツの斬撃はスピードこそ申し分なかったものの、オークの分厚い脂肪に阻まれて致命傷とはならなかった。


『ピギーーーッッッ!!!』

 ガインッ!!!

 即座に反撃に転じたハイオークの棍棒を、フランツは剣で弾き飛ばす!!


「っ!流石にパワーはあるな。だが……!!」

 がら空きになったオークの首を狙って、神速の突きが放たれる!

 ヒュッ……ドスッ!!


 フランツの剣が首を貫いて、ハイオークは絶命する。




 残ったハイオーク3体は怯むことは無いものの、あっさりと仲間を倒されたことによって慎重になった様子。
 迂闊な攻撃は危険であると理解したのだろう。
 後衛のオークメイジと合わせて、連携を取り始めた。

 流石にそうなると、冒険者サイドも迂闊に攻める事は難しくなる。






















「ね、ねえ……あれヤバくない?」

 後方で戦いに巻き込まれないように様子を見守っていたレティシアが、不穏な空気を感じ取って傍らに控えるエリーシャに聞く。

「……確かに。皆さんも気がついてるとは思うのですが……」


 取り巻きのオークたちが思いの外的確な連携を見せ始めた事により、フランツたち冒険者との攻防は拮抗しているように見える。


 そして、その間にオークキングと言えば……
 

「力を……溜めてる?何だか光ってるし!!」


 レティシアが言う通り、オークキングは取り巻きたちが冒険者チームを抑えている間、踏ん張って全身を震わせ……薄っすらと燐光すら帯び始めている。



「チッ……!でかいのが来るぞ!!」

「みんな!!下がれ!!」


 フランツとジャンが警告を発する!!

 そして、次の瞬間……!!



『ブォーーーーーーッッッッ!!!!』


 オークキングの咆哮が坑内に響き渡る!!

 そして渾身の力で両腕を振り下ろす!!!


 ドゴォーーーーーンッッッ!!!


 爆音とともに衝撃波が襲いかかる!!!



 既に後方へと退避しようとしていたフランツとジャンであったが、攻撃範囲から完全に逃れることは出来ずに衝撃波を浴びる!!


「ぐっ!?」

「うおーっっ!?」


 二人は大きく吹き飛ばされ、壁に強く身体を打ち付けてしまう。


「フランツさん!ジャンさん!」


「大丈夫だっ!」

「嬢ちゃん!下がってろ!!」

 思わずレティシアが悲鳴を上げるが、二人は何とか心配させまいと声を張り上げて無事をアピールする。


 一先ず二人が返事をしたことにホッとするレティシアだったが……


(ちょっと……状況が悪いかも?)


 命は取り留めたとは言え、少なからずダメージは負ったはず。
 前衛二人が抑えられなくなれば……数の上でも不利な上、まだノーダメージのオークキングも残っている。
 明らかに状況が悪い。

 起死回生の一手を打つか……あるいは撤退か。
 判断が求められる。



 それはレティシアも素人ながら感じていた。

(……こうなったら私も)

 そして、彼女は密かに決意するのだった。
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