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レティシア12歳 飛躍
第55話 巣窟
しおりを挟むオーク撃退後、引き続き探索を進めていくが……
「……これで5体目か」
「こりゃ確定ですかね、旦那?」
最初にオークと遭遇した地点からそれ程進んでないにも関わらず、また別のオークに遭遇しこれを撃退。
やはりこの廃坑を根城としている可能性が高いものと思われた。
「そのようだな。まあ、やることは変わらないが……王種がいるかもしれんから要注意だぞ」
王種。
ゴブリンやオーク、オーガなどの人型の魔物に稀に現れる変異個体だ。
通常種とは隔絶した力を持ち、『王』の名の通り多くの配下を従える。
「オークキングって……どれくらい強いんですか?」
「脅威度としてはAランクだな。個体の強さもそれなりだが、群れを指揮するという点も含めての評価だ」
「群れというのはどれくらいの……?」
「結構幅があるんだがな、概ね数十~数百くらいまでと言われてる」
「この廃坑を根城にしてるのであれば、そこまでの数はいないとは思いますけどね」
(確かに……この鉱山は開山してから比較的早期に休止となったから、それほど掘り進んではいないね。それでも魔物が住み着くくらいの広さはあるのだけど)
「近隣に人里は無いから、攫われた女性もいない……と思いたいわ」
それは誰もが思うことであった。
そして更に探索を進めるが、やはり遭遇するのはオークばかりである。
ここがオークの住処になっていることは、もはや確定であろう。
「そうすると、親玉がいそうな場所はどこだろうな?」
「小部屋のようなものは幾つかありますけど……やっぱりボスともなれば、それなりの大きな部屋にいますよね」
「そうだろうな。多分、上位種の護衛で固めてるだろう」
オークの上位種とは、ハイオーク、オークメイジ、オークナイトなどである。
これまで遭遇していないが、王種がいる場合はその護衛として側にいるケースが多い。
「そうすると……ここですかね。どうします?先に一番の脅威を排除しておきます?」
「いや、ボスとの戦闘中に背後を突かれるリスクは避けたい。雑魚を一掃するのが先だな」
レティシアという護衛対象もいるので、尚更無理は出来ないところだろう。
そうして、探索順としてはボス部屋と思しき場所を最終地点と定めて、それ以外の場所を虱潰しに探索・掃討することとなった。
「よし。これであらかた掃除できたか?」
「そうね。残るは大部屋だけよ」
「さ~て、大詰めだが……いくらなんでも、流石に俺らの存在には気付いてるよな」
坑道の中での戦闘の音は響くので、当然ながら気付かれてるだろうと予想された。
「まぁ、そうだろう。途中から遭遇する敵も減ったし、多分キングのところに戦力を集めて迎え撃つ構えなんだろう」
そんな予想を立てながら、最後の場所へと向かう一行。
「エリーシャさん、数が多いと抜けてくるヤツもいるかもしれないわ。最終ラインの防衛はお願いするわね」
最終ライン……ようするにレティシアの護衛の最後の砦はエリーシャに任せる、ということだ。
道中でトロールを一刀のもとに斬り伏せた腕前ならば、任せても問題ないだろうとの判断だろう。
「はい、もとよりお嬢様をお守りするのは私の役目ですから」
「な、なんだかすっかりエリーシャが頼もしいよ」
(普段は割とおっとりしてるのに……キリッとして、まるで別人だなぁ……)
小さい頃からずっと側に付いていてくれた……ともすれば姉のように慕っていたエリーシャの意外な一面を見て、改めて不思議な気分になるのだった。
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